今日は小休止。
わずか1ダースほどの記者クラブから日本国民に流れてくるTPPの情報は「自国のエゴ(関税)を取り払った完全自由貿易」で製造業はプラス、農業はマイナスとなるが5年間で2.6兆円のメリットが日本国にある。といったもの。
(注1)「わずか1ダースほどの記者クラブ」
これはニューヨーク・タイムズが取材しようとして日本政府に「貴社は記者クラブに所属していないので取材には応じられません」と断られた時のニューヨーク・タイムズの言い回し。
(注2)TPPに参加すると「5年間で2.6兆円のメリット」
こういった政府試算発表の数字は良く吟味しなければならない。
①政府が出してくるメリット試算の信憑性
良い例が、政府は狭い国土47都道府県にメリットあり(採算合う)との試算で、98もの空港を造ってきたが、結果は「日本航空」を見れば歴然としている。
②5年間で、と発表する誤魔化し。
5年間で出るメリットとしているが、年間に換算すると、今の日本のGNI(国民総所得)に与える影響は
0.1%しかなく、この試算を信用するとしても日本が受けるメリットは、すずめの涙。
(注3)TPP参加問題を製造業と農業の問題として取り上げるマスコミが多いが、これも誤魔化しです。
今日はそのことをこれからお話していきます。
このTPPに関しては地方テレビ(愛知テレビ)が「政府はウソをつく」の特番で報道したことに尽きます。
何故、他のテレビ・新聞でこの様な報道をしないのか?
「そうですね。テレビ・新聞が権力者に押さえつけられているからなんですね。こわいですね~、恐ろしいですね~。では又来週お目にかかりましょう。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」(淀川長治調で手をニギニギしながら読んで下さい)
この愛知テレビの番組については、他のブログで画像を含め、詳しく分かりやすく載っていますので、それを参照して頂きたいのですが、私なりにまとめて、要約してみました。(以下)
「TPPのおさらい」
TPPというのは、アメリカやベトナム・チリ等11カ国で交渉中の『例外なし』の関税撤廃を目指す経済連携協定のことで、サービス・金融・投資・食品・医療等24分野の作業部会がある。
つまり、私たち日本人の生活全てに影響を与える協定なのですが、このTPPについて「国民は事実を知らされているのでしょうか?」(キャスター)
解説:このTPPには必ず「ISD条項」が付いてきます。完全自由貿易ですから、相手に投資や品物を輸出する場合、相手国の政策によって自由な貿易が出来ず、損害を被ったら、相手国を提訴することが出来る、損害賠償も請求出来る、というものです。
既にこのISD条項を適用している「北米自由貿易協定」での事例を紹介。
アメリカの石油会社A社が有害な化学物質を添加した石油をカナダに輸出していました。カナダがこの物質の使用を禁止したところ(アメリカA社からの有害物質入りの石油輸入を取り止めたところ)、アメリカA社はISD条項に基づいてカナダを提訴、規制緩和と損害賠償を求めた。
その結果、カナダが敗訴、損害を賠償し、規制緩和することになりました。
この「北米自由貿易協定」でのISD条項による提訴・損害賠償の件数と結果をみると、以下のことが分かりました。
《「北米自由貿易協定」に於ける訴訟件数と結果》
◎アメリカ企業がカナダに対して起こした28件の訴訟=カナダが全敗、全て損害賠償を支払い。
◎アメリカ企業がメキシコに対して起こした19件の訴訟=メキシコが全敗、全て損害賠償を支払い。
◎カナダ・メキシコの企業がアメリカに対して起こした19件の訴訟=アメリカが全勝、従って損害賠償ゼロ。
以下、テレビでのやりとり:
堤「このISD裁判は控訴できない、一回負けたら終わりなんです。」
山浦「これをTPPに関しても乗っけようと?」
堤「普通に入っていますよ。いまのところ」
山浦「今のところ入っているわけですか?・・・略・・・このままTPPに参加したら日本はどういう恐れが具体的に?」
堤「例えばですよ、遺伝子組み換え作物とか日本人って大嫌いじゃないですか。でもTPPに入った時点で、多分(今日本でパッケージに表示されている)「遺伝子組み換え作物ではありません」とかいう表示が禁止されます。アメリカから遺伝子組み換え作物が入ってきたときに、日本国内で「遺伝子組み換え作物ではありません」のパッケージをした商品があったら、(アメリカの業者から訴訟され日本は損害賠償を払わされます。=多少私の付けたしあり)
ここで問題なのは、損害賠償もそうだけど、そういう日本の規制を撤廃させられる訳ですよ。さっきのカナダの例じゃないけど、遺伝子組み換えの作物です、といったパッケージ表示をするしないは、われわれの勝手じゃないですか。それがアメリカの企業の言いなりになっちゃう。これは完全に主権侵害なんです。」
無風注:狂牛病のアメリカ肉もそうである。以前のように日本が「全頭検査」を要求したり、今の「子牛の年齢制限」をしたりしたら、アメリカの企業から訴訟され損害賠償を払わされることになるのです。それがTPPです。
(テレビ内容、中略)
山浦「よく政府はTPPに関して、一旦交渉のテーブルには付くけれど、それで都合が悪ければ、バックすることも出来ますよ、引き下がることも出来ますよ、と言う。これ本当に出来るんですか?」
堤「今の時点で入ったら、もう交渉に参加。今まで決まった分は全部丸呑みしなければいけないというレベル段階まできている。今から入って、じゃあこれは嫌だ、これはいい、ということがもう出来ない段階になっています。」
山浦「ですよね。そうすると、これはもうどんどん参加の道に今進んでいる、という形ですかね。」
三橋「まさにその通りです。それと・・・(後略)」
このテレビを見たら、今のテレビ局・大新聞が如何に真実を伝えていないか、情報を国民に知らしめていないか、隠しているか、が分かるだろう。
最後に記者クラブに属さない「日刊ゲンダイ」7月29日付けの記事より引用して筆をおく。
見出し:TPP初会合 やっぱり日本は「交渉余地」なし
内容要約:霞ヶ関官僚100人を現地(マレーシア)に派遣して初交渉に望んだ日本。現地では初参加の日本だけに集中会合が設定された。
それなのに大新聞・テレビが「タフ・ネゴシエーター(手ごわい交渉相手)」と持ち上げていた鶴岡主席交渉官は日本がTPPに参加する際に譲れない「主要5品目の例外」どころか日本の立場の主張さえしなかった。
小見出し:「主張しない日本」に他国は「シメシメ」
他国の出席者は「主張しない日本」の代表者に首をかしげていたが、内心は「シメシメ」と喜んでいたに違いない。
「農水省(無風注:だからあ~、農水省だけの問題じゃないんだってばあ~!)は徹底抗戦の構えを見せているが、まとめ役の主席交渉官はアメリカのほうばかりを向いている外務省出身。
日本の主張を通すことなど考えていないのでしょう。
余計な発言で他国を刺激したくない。(とする態度)あまりに露骨過ぎます。」(鈴木宣弘・東大教授)
これでは農業団体が『今後の展開が全く分からない。重要5品目の聖域は本当に守れるのか』と不安を漏らすのも当たり前。
そもそも日本政府は、国民が「TPP」の情報公開を求めても「参加していないので分からない。だから早く参加したい。」と説明してきた。
それが今回参加したら「守秘義務」で明かせないとなった。国民を馬鹿にするにもホドがある。
「日本国民の多くは、日本の大交渉団の姿を見て『交渉の余地あり』と思ったかも知れませんが、もはや交渉の余地は残されていません。
今の日本政府が出来ることは、協定の原案文書をきちんと国民に公開し、議論を促すこと。
国民生活に関わる重要な事柄が何ら明らかにされないまま協議に突き進む。主権国家としてあり得ません。」(孫崎亨氏)
次回会合は8月22日からブルネイで始まる。
交渉余地もなく、主張すらしない日本が「守るべきもの」を守れるはずがない。
以上、日刊ゲンダイ7月29日記事より。
今日は、小休止。きょうはここまで、またね。
わずか1ダースほどの記者クラブから日本国民に流れてくるTPPの情報は「自国のエゴ(関税)を取り払った完全自由貿易」で製造業はプラス、農業はマイナスとなるが5年間で2.6兆円のメリットが日本国にある。といったもの。
(注1)「わずか1ダースほどの記者クラブ」
これはニューヨーク・タイムズが取材しようとして日本政府に「貴社は記者クラブに所属していないので取材には応じられません」と断られた時のニューヨーク・タイムズの言い回し。
(注2)TPPに参加すると「5年間で2.6兆円のメリット」
こういった政府試算発表の数字は良く吟味しなければならない。
①政府が出してくるメリット試算の信憑性
良い例が、政府は狭い国土47都道府県にメリットあり(採算合う)との試算で、98もの空港を造ってきたが、結果は「日本航空」を見れば歴然としている。
②5年間で、と発表する誤魔化し。
5年間で出るメリットとしているが、年間に換算すると、今の日本のGNI(国民総所得)に与える影響は
0.1%しかなく、この試算を信用するとしても日本が受けるメリットは、すずめの涙。
(注3)TPP参加問題を製造業と農業の問題として取り上げるマスコミが多いが、これも誤魔化しです。
今日はそのことをこれからお話していきます。
このTPPに関しては地方テレビ(愛知テレビ)が「政府はウソをつく」の特番で報道したことに尽きます。
何故、他のテレビ・新聞でこの様な報道をしないのか?
「そうですね。テレビ・新聞が権力者に押さえつけられているからなんですね。こわいですね~、恐ろしいですね~。では又来週お目にかかりましょう。サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」(淀川長治調で手をニギニギしながら読んで下さい)
この愛知テレビの番組については、他のブログで画像を含め、詳しく分かりやすく載っていますので、それを参照して頂きたいのですが、私なりにまとめて、要約してみました。(以下)
「TPPのおさらい」
TPPというのは、アメリカやベトナム・チリ等11カ国で交渉中の『例外なし』の関税撤廃を目指す経済連携協定のことで、サービス・金融・投資・食品・医療等24分野の作業部会がある。
つまり、私たち日本人の生活全てに影響を与える協定なのですが、このTPPについて「国民は事実を知らされているのでしょうか?」(キャスター)
解説:このTPPには必ず「ISD条項」が付いてきます。完全自由貿易ですから、相手に投資や品物を輸出する場合、相手国の政策によって自由な貿易が出来ず、損害を被ったら、相手国を提訴することが出来る、損害賠償も請求出来る、というものです。
既にこのISD条項を適用している「北米自由貿易協定」での事例を紹介。
アメリカの石油会社A社が有害な化学物質を添加した石油をカナダに輸出していました。カナダがこの物質の使用を禁止したところ(アメリカA社からの有害物質入りの石油輸入を取り止めたところ)、アメリカA社はISD条項に基づいてカナダを提訴、規制緩和と損害賠償を求めた。
その結果、カナダが敗訴、損害を賠償し、規制緩和することになりました。
この「北米自由貿易協定」でのISD条項による提訴・損害賠償の件数と結果をみると、以下のことが分かりました。
《「北米自由貿易協定」に於ける訴訟件数と結果》
◎アメリカ企業がカナダに対して起こした28件の訴訟=カナダが全敗、全て損害賠償を支払い。
◎アメリカ企業がメキシコに対して起こした19件の訴訟=メキシコが全敗、全て損害賠償を支払い。
◎カナダ・メキシコの企業がアメリカに対して起こした19件の訴訟=アメリカが全勝、従って損害賠償ゼロ。
以下、テレビでのやりとり:
堤「このISD裁判は控訴できない、一回負けたら終わりなんです。」
山浦「これをTPPに関しても乗っけようと?」
堤「普通に入っていますよ。いまのところ」
山浦「今のところ入っているわけですか?・・・略・・・このままTPPに参加したら日本はどういう恐れが具体的に?」
堤「例えばですよ、遺伝子組み換え作物とか日本人って大嫌いじゃないですか。でもTPPに入った時点で、多分(今日本でパッケージに表示されている)「遺伝子組み換え作物ではありません」とかいう表示が禁止されます。アメリカから遺伝子組み換え作物が入ってきたときに、日本国内で「遺伝子組み換え作物ではありません」のパッケージをした商品があったら、(アメリカの業者から訴訟され日本は損害賠償を払わされます。=多少私の付けたしあり)
ここで問題なのは、損害賠償もそうだけど、そういう日本の規制を撤廃させられる訳ですよ。さっきのカナダの例じゃないけど、遺伝子組み換えの作物です、といったパッケージ表示をするしないは、われわれの勝手じゃないですか。それがアメリカの企業の言いなりになっちゃう。これは完全に主権侵害なんです。」
無風注:狂牛病のアメリカ肉もそうである。以前のように日本が「全頭検査」を要求したり、今の「子牛の年齢制限」をしたりしたら、アメリカの企業から訴訟され損害賠償を払わされることになるのです。それがTPPです。
(テレビ内容、中略)
山浦「よく政府はTPPに関して、一旦交渉のテーブルには付くけれど、それで都合が悪ければ、バックすることも出来ますよ、引き下がることも出来ますよ、と言う。これ本当に出来るんですか?」
堤「今の時点で入ったら、もう交渉に参加。今まで決まった分は全部丸呑みしなければいけないというレベル段階まできている。今から入って、じゃあこれは嫌だ、これはいい、ということがもう出来ない段階になっています。」
山浦「ですよね。そうすると、これはもうどんどん参加の道に今進んでいる、という形ですかね。」
三橋「まさにその通りです。それと・・・(後略)」
このテレビを見たら、今のテレビ局・大新聞が如何に真実を伝えていないか、情報を国民に知らしめていないか、隠しているか、が分かるだろう。
最後に記者クラブに属さない「日刊ゲンダイ」7月29日付けの記事より引用して筆をおく。
見出し:TPP初会合 やっぱり日本は「交渉余地」なし
内容要約:霞ヶ関官僚100人を現地(マレーシア)に派遣して初交渉に望んだ日本。現地では初参加の日本だけに集中会合が設定された。
それなのに大新聞・テレビが「タフ・ネゴシエーター(手ごわい交渉相手)」と持ち上げていた鶴岡主席交渉官は日本がTPPに参加する際に譲れない「主要5品目の例外」どころか日本の立場の主張さえしなかった。
小見出し:「主張しない日本」に他国は「シメシメ」
他国の出席者は「主張しない日本」の代表者に首をかしげていたが、内心は「シメシメ」と喜んでいたに違いない。
「農水省(無風注:だからあ~、農水省だけの問題じゃないんだってばあ~!)は徹底抗戦の構えを見せているが、まとめ役の主席交渉官はアメリカのほうばかりを向いている外務省出身。
日本の主張を通すことなど考えていないのでしょう。
余計な発言で他国を刺激したくない。(とする態度)あまりに露骨過ぎます。」(鈴木宣弘・東大教授)
これでは農業団体が『今後の展開が全く分からない。重要5品目の聖域は本当に守れるのか』と不安を漏らすのも当たり前。
そもそも日本政府は、国民が「TPP」の情報公開を求めても「参加していないので分からない。だから早く参加したい。」と説明してきた。
それが今回参加したら「守秘義務」で明かせないとなった。国民を馬鹿にするにもホドがある。
「日本国民の多くは、日本の大交渉団の姿を見て『交渉の余地あり』と思ったかも知れませんが、もはや交渉の余地は残されていません。
今の日本政府が出来ることは、協定の原案文書をきちんと国民に公開し、議論を促すこと。
国民生活に関わる重要な事柄が何ら明らかにされないまま協議に突き進む。主権国家としてあり得ません。」(孫崎亨氏)
次回会合は8月22日からブルネイで始まる。
交渉余地もなく、主張すらしない日本が「守るべきもの」を守れるはずがない。
以上、日刊ゲンダイ7月29日記事より。
今日は、小休止。きょうはここまで、またね。