さよならゴメス

2000年04月19日 | 会社・仕事関係

 たって、中日ドラゴンズのゴメスじゃありません。
 私と一緒に働いてた日系ペルー人の女性です。
 彼女は、仕事が仕上げの女性の中で一番早かった。5時までに530枚から
600枚処理した。遅い人は300枚ほどしかできなにのに。
 昨年の11月頃から、腰痛でときどき休んだ。休まれると私は大変だ。出荷
数にあわせてガラスを仕上げなければならないのですが、やりくりが難しくな
った。
 私が担当しているウィンドウガラスは、樹脂のバリを片刃(カミソリ)でと
ったときにガラスにキズがつくのですが、セラミック塗装のところは15時間
ほどたたないとキズが現れないので、仕上げをやったものを15時間寝かして
から検査する。ですから、翌日に出荷する数量を仕上げておかなければならな
い。毎日1800枚から2000枚出荷してますから、そのうちの600枚や
るゴメスに休まれると大変なんです。
 しかし、病院での診察は椎間板ヘルニアということだった。彼女は若いし、
これから子供も産むでしょう。「仕事のことより、きちんと病気を治したほう
がいいよ」と私は、彼女にいっていた。私がいったからそうするわけではない
のでしょうが、今回ペルーに帰って治療するという。私にとっては痛手ですが、
彼女のためにはいいことでしょう。
 ゴメスは結婚していて、夫も私の会社で働いてた。ガラスの成形をやってい
て、彼は、毎日12時間の契約で仕事をしていた。二人とも働き者だった。
 ゴメスとはいろいろ思い出がある。
 私は、1階から成型品の載った台車が上がってくるエレベーターの近くにだ
いたいいるのですが、ゴメスはそこの近くで仕事をしている。私はフォークリ
フトで忙しく動き回っているのでゆっくり話すことはないが、仕事で必要なこ
とは話す。
 彼女はけっこうわがままな女性です。たとえば、
「明日の出荷数に対してL(左側のガラス)が少ないから、Lをやって」
 と私がいっても、
「ワタシ、コノツギハRデス」
 といって、自分の予定どうりにやる。出荷するには、台車にLとRをセット
にしなければならない。同じ数だけLとRがなければまずいのです。
 あと、仕事をやるスペースを広くとる。隣の人が、あと10センチゴメスの
台車あっちに動かして、といってもけっして動かさない。自分は一番処理枚数
が多いという自負があるからか。去年の6月に今の職場に来て、ゴメスは扱い
ずらい女性だった。
 しかし、こんなこともあった。
 去年の秋の昼休み、私は仕事場でケーナを吹いていた。ゴメスが聴いてた。
 そのあと、ゴメスはペルーで一番ケーナがうまいといわれてるウニャ・ラモ
スのCDを録音したカセットテープを持ってきてくれた。これは私も持ってい
るCDの曲だったが、ありがたくいただいた。
 やっぱり秋だった。雨が降ってきて窓ガラスを叩いた。
 私はゴメスに訊いた。
「雨ってスペイン語でなんていうの?」
「ジュビア」
 私は、なんて綺麗な響きなんだろう、と思った。
 今年になって、ゴメスは私のいうことに協力的になった。
 私はスペイン語をいろいろ教わった。

 ゴメスは、今日の、いやもう昨日か。19日の飛行機でペルーに行った。治
ったらまた日本で働きたいといっていた。ペルーには仕事がないという。
 ぜひ、私のところに戻ってきてもらいたい。

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