誕生日

2006年05月16日 | 健康・病気
昨日の朝、人参の作業を始めようとしているとき、
「今日はボクの誕生日です」
とAくんがテレくさそうに私にいった。
「知ってるよ。おめでとう」
「ハイ。ありがとうございます。今日で38歳になります」
私は、昼休みにでも祝福の言葉をいうつもりだったのに、
朝一番でAくんから催促されてしまった。

ダウン症の彼が38歳になる。
以前、送迎の集合場所にAくんを
送りに来ていたお母さんがいっていた。
「この子は大きくなる前に死んでしまうと医師にいわれていたので、
 あまり辛いことイヤなことはさせないで育てよう、
 という思いから結果的に甘やかしてしまった。
 こんなに大きくなるのならもっと厳しく育てればよかった。
 私が死んだあとのことを考えると、夜も眠れません」
Aくんは、お母さんと2人で暮らしていた。
私は何もいえず黙って聞いているしかなかった。

「それじゃ、こんどの20日土曜日はなんの日だ」
そう私がいうと、しばらくAくんは考えていた。
「分かりません」
「おれの誕生日だよ。忘れたの?冷たいなAくん」
「…ハイ。スミマセン」
これまで何回も、
「5月15日はAくんで、20日はおれの誕生日だよ。
 同じ5月だから絶対忘れないね」
と2人で話していたのだ。Aくんも、
「ハイ、ボクも忘れません」
といっていたのにな。

作業所の子たちは、誕生日のことを必ず私にいってくる。
自分の誕生日が大好きだ。
私はというと、毎年忸怩たる思いで誕生日をむかえている。

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