男はつらいよ・寅次郎紅の花〈第48作〉松竹ホームビデオこのアイテムの詳細を見る |
第48作 1995年作品
かなり泣けます。
何でなけるかというと、みんな後がないという思いでやっているからなのかもしれません。
元気のない寅さん、途中で横になっちゃうシーンも何度かあり・・目も辛そうだし、言葉もゆっくり出し・・・
さくらさんが寅さんに「リリーさんしかいないじゃない!」と説得するシーン。本当に何十年も思いつづけた魂の叫びのようで・・・ここでダメになったらもう後はないのよという現実とオーバーラップするような気持ちの入り方でした。
リリーさんもすごい魅力的な人だし・・・これでハッピーエンドかと思わせといて、やっぱり寅さんはずっとあの寅さんでいなくちゃいけないとばかりに、リリーさんの元を離れてしまいます。いなくなったと思ったらひょっこりあらわれてまたどこかにいなくなってしまう。寅さんは最後まで寅さんで終わります。
阪神大震災のあとの応援の意味もあったのでしょう。神戸にも足を運びます。
それで、そういった、劇中と現実とかが重なり合う複雑な気持ちになりますが・・・
泉ちゃんと満男の恋模様がいいですね。海辺のシーンはうまくできてますね。満男を問い詰める後藤さんの表情が美しいのです。そして、それに応える吉岡さんのカッコのつかないかっこよさ。「もう一度言って!」という泉ちゃんの言葉にも応えることができないだめっぷりですが、そうなってしまうぐらい一生懸命動揺する満男の良さですね。動揺したら日本一だね。満男は。
後で見てる寅さんとリリーさんの心の中も感じるし、素敵なシーンです。景色もいいし。
島唄のところ、元ちとせさんの名前が書いてあいりました。
恋はぶざまでいい。ぶざまでこそ恋だというのが「男はつらいよ」ですが、リリーさんがこの年ではそうもできないとつぶやくシーンはなんか深いなあ・・・
いろいろ経験しているし、社会的にも固定化されている中で、恐れも知らず飛び込める満男の若さは本当にうらやましかったのかも。