まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第623回定期演奏会

2018-05-21 18:35:03 | kyokyo
2018年5月19日(土)14:30 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 広上 淳一(常任指揮者) / 独奏 : 河村 尚子(ピアノ)/ 管弦楽:京都市交響楽団


            *  *  *  *  *

● バーンスタイン : 交響組曲「波止場」
元々は、1954年公開の同名映画のために書かれた音楽。 主演は、若き日のマーロン・ブランドだそうです。
ニューヨークの港湾を舞台にした社会派のドキュメンタリー・タッチの作品で、オスカーにも輝いた名作らしい。

港湾の情景や労働者の心象風景など、映画のシーンが思い浮かんでくるような音楽で、想像力をかき立てられます。
確かに、作曲者の言葉のように「映画の録音スタジオのくずかごに捨てられる」には、もったいないレベルの作品。

● ショスタコーヴィチ: 交響曲第9番 変ホ長調 作品.70
当初は、ベートーヴェンの「第9」にちなんで、戦争の勝利を称える「合唱付き」の交響曲という構想だったとか。
どこでどうなったのか? 出来上がったのは、過去の大作曲家たちの「第9」とは隔絶した、何とも軽妙洒脱な作品。

ソビエト共産党の幹部、文化官僚、批評家たちの、苦虫を噛み潰したような、怒りの滲む顔が目に浮かぶようです。
天才作曲者の真意のほどは、どこにあったのでしょうか? 独裁体制批判の標的とされることも、覚悟の上のこと?

作品自体は、難所が幾つも現れる楽曲だろうと思われますが、指揮されている広上さんはとても楽しそうでした。
少々グロテスクであり、ユーモラスでもあり、官能的にも聴こえる曲想は、まさに広上さんの独壇場というもの。

● バーンスタイン : 交響曲第2番「不安の時代」
生誕100年というメモリアルイヤーに限らず、もっと普通に採り上げられてもいい、クオリティーの高い作品。
独奏ピアノ付きの交響曲。 世界的な詩人の長編詩に触発されたとのことですが、関連性はイマイチわかりません。

圧倒的な存在感を示した河村尚子さんのピアノ。 ライブでの高い燃焼度は、期待に違わぬ素晴らしいものでした。
頻繁に登場するジャズのイディオムも全く違和感がなく、ぐいぐいとドライブしていく。 広上さんとの好相性も!

他の音楽ジャンルのアーティストとの共演も多彩な京響。 今日も、エンターテイメント性あふれる演奏力を披露。
今年は初登場の外国人客演指揮者が目立ちますが、さすがに常任の広上さん!といったコントロールぶりでした。



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