まい・ふーりっしゅ・はーと

京都発。演奏会や展覧会、読書の感想などを綴っています。ブログタイトルは、ビル・エヴァンス・トリオの名演奏から採りました。

京都市交響楽団 第614回定期演奏会

2017-07-16 21:10:17 | kyokyo
2017年7月15日(土)14:30 開演 @京都コンサートホール・大ホール
指揮 : 広上 淳一(常任指揮者) / ヴァイオリン : ピンカス・ズーカーマン / 京都市交響楽団


            *  *  *  *  *

● ブラームス : 大学祝典序曲 作品.80
古い歴史を誇る名門ブレスラウ大学から贈られた名誉博士号に対する返礼として、同大学のために献呈した序曲。
いわゆるオペラの開幕を飾る序曲ではなく、演奏会用のために作曲されたもので、堂々としたスケールを有する。

広く歌い継がれてきた4つの学生歌が使われているため、若々しいエネルギーに満ち、明るく親しみやすい旋律。
ブラームスの持つ重厚、陰鬱、憂愁といったイメージとは少し懸け離れるものの、京響は瑞々しく充実した響き。

● ベートーヴェン : ヴァイオリン協奏曲ニ長調 作品.61
世界の「超」の付く一流のヴァイオリニストは、こういう音を出していたのか!! 最初の一音から衝撃的でした。
聴衆に過度の緊張を強いることのない、大らか、かつ伸びやかな音色。 優しく包み込むような「懐」の広さ。

独奏パート以外でも、オーケストラを力強くサポート、誘導していこうとする姿勢にも、強い共感を覚えました。
ユダヤ系ヴァイオリニストには、ヴィブラートの付け方に特長があるそうですが、とても華やかで魅力あるもの。

ズーカーマンさんに呼応するように、京響も単なる「伴奏」に終わることなく、しっかり堂々と渡り合った印象。
隣席の男性は「オケは、そんなに大きな音、出すのかなあ」と少々不満そうでしたが、逆に私としては十分納得。

● ブラームス : 交響曲第3番ヘ長調 作品.90
京響では、2011年11月の552回定期、ギュンター・ノイホルトさんの指揮で聴いて以来。 演奏機会希少。
指揮者生活の長い広上さんでも、この曲を指揮するのは今日で3回目だそうです。 実は、指揮者泣かせの難曲!

プレトークでそういう前振りがあったせいか? 第1楽章は、一画一画を疎かにしない「楷書体」のような感じ。
それでも、随所に聴こえるホルンや木管の含みのある柔らかな響きは、いかにもブラームスらしく魅惑的でした。

プログラムには、「曲が終わってもぜひ拍手を急がず、美しい静寂を存分に味わっていただきたい」との一文が。
残念ながら、一部の客席から起こったパラパラとした拍手。 これは致命的…、指揮者、全然見ていないものなあ。