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習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

テノヒラサイズ『不老不死セレブレイション』

2013-11-18 21:33:56 | 演劇
 湯浅崇さんの脚本、演出によるテノヒラサイズ公演。湯浅さんは今回、初めての作、演出に挑んだようだ。初めてだなんて、少し意外。今まで様々な劇団で芝居をしてきた彼だから、その経験値の高さが確実に生かされるはず、と思い、楽しみにしていた。今までのオカモトさんによる世界観を踏まえて(そこを外すと、もうこれはテノヒラサイズではなくなる)どんなオリジナルの世界を提示できたのかが、興味の争点となろう。  無理 . . . 本文を読む
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遊劇舞台二月病 『Night Way 苗を上へ』

2013-11-18 20:55:49 | 演劇
にかわ工場(!)を舞台にして非差別出身者を主人公にする。不景気の影響で工場は閉鎖される。社長はなんとかして、主人公の雇用先を見つけてあげたいと思う。そういうほのぼのとした芝居なのか、と、一瞬思わせる。だが、この地区の小さな町工場の現状を背景にする芝居はそこだけでは収まらない。どんどん暴走していくのだ。  これはかなりやばい芝居だ。こういう芝居を平気で作れるって凄い。若さ故か。同和問題 . . . 本文を読む
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島本理生『よだかの片想い』

2013-11-18 20:53:51 | その他
 こんなにも軽やかな青春小説だなんて、思わなかったので、意外だった。島本さんなので、もっと重くなるのか、と思ったのに。しかも、顔に大きな青い痣のある女の話なので、コンプレックスとの確執とか、結構暗くなりそうと変な予防線を張っていたけど、そういう偏見を打ち破る等身大の恋愛小説。  うまいなぁ、と思った。読み手の意識の裏をかく。差別とか偏見とか、触れてはならないこととか、子供のころから、いろんなこと . . . 本文を読む
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Fling Fish Sausage Club『 ジオラマサイズの断末魔』

2013-11-16 20:32:44 | 演劇
 4話からなるオムニバス。上演時間は全部で60分ほど、という小振りな作品としてコンパクトにまとめられてある。舞台美術は四隅に配されたそれぞれのエピソードを象徴する4つのジオラマと、中央のドーナツ状のオブジェ。シンプルだがとても美しい空間で、10分から20分程度の短いエピソードが綴られていく。いずれも、2人から3人による会話劇。そして、タイトルにあるように彼らの断末魔の叫びがそこからは聞こえる。 . . . 本文を読む
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『ルームメイト』

2013-11-16 20:30:52 | 映画
 こういう地味な映画が東映系全国一斉公開されるって、なんだか信じられない。先週の『ばしゃ馬さんとビックマウス』と劇場規模を分けての公開なのだが、それでも、今の時代の情勢を考えると、単館公開が妥当だろう。昔ならこれは2本立公開というバターンのプログラムピクチャーだ。  でも、こういう地味で、でも、もしかしたら、と期待を抱かせる作品が映画館に登場するのはうれしい。監督は、『オトシモノ』(まだデビュー . . . 本文を読む
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松田青子『スタッキング可能』

2013-11-16 20:28:28 | その他
 こういうタイプの小説は乗れないと、最悪なのだが、この作品はなかなか上手いから、大丈夫だった。この仕掛けに乗っかり、後は流されていくだけ。ただ、いろんなところに、細工がなされていたり、トラップがあったり、というパターンの作品ではない。ジェットコースターだと思えばいい。方向性が明確だし、そこをちゃんと理解して、彼女が連れて行ってくれるところに、振り落とされることなく付いていけばいいのだ。  記号化 . . . 本文を読む
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A級MissingLink  トライアクト 『あの町から遠く離れて』

2013-11-12 22:00:34 | 演劇
 A級MissingLinkの トライアウト、3作目。この特別公演には毎回とても楽しませてもらう。一つの作品を2度味わうことの快感。しかも、同じ作品のはずなのに、まるで切り口の違う物になるのだから不思議だ。トライアクトから本公演に向けてブラッシュアップすることで、作品は進化していくばかりか、大きく変化さえしてしまうのだ。その変貌ぶりが面白くて、いつも、楽しみにしている。単なるラフ・スケッチではない . . . 本文を読む
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市川拓司『こんなにも優しい、世界の終わりかた』

2013-11-12 21:43:50 | その他
『いま、会いに行きます』の頃から、まったくぶれがない。というか、市川拓司は変わらない。僕はまず、映画から入ったから、(映画化された作品が最初だった)少し、誤解があったのだが、彼の描くリアルが、ただのファンタジーではなく、差し迫った事情であることが、わからなかった。でも、どんどん読んでいくうちに、それは明確な姿を取る。彼の心の病が、彼にこういう小説を書かせる。彼は読者のためではなく、自分のために書 . . . 本文を読む
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うわの空・藤志郎一座『水の中のホームベース』

2013-11-11 21:17:58 | 演劇
 大阪公演は3年連続、今年で3回目になる。そして、いつもウイング・フイールドで上演される。東京では大きな劇場でも上演しているようだが、ウイングで見る小さなサイズの芝居がとても心地よい。客席と舞台との距離感がとてもいい感じなのだ。とても、近いのに、近すぎず、遠すぎず、適正な距離を保っている。それが、彼らの芝居のよさなのだ。もし、もっと、近かったなら、なんだか慣れ合いになりそうだ。でも、このサイズ以上 . . . 本文を読む
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三浦しをん『政と源』

2013-11-11 20:51:26 | その他
 この小説は雑誌コバルトに連載されていたらしい。というか、今の時代にまだ、コバルトって存在したのだ、という事実に驚く。あのコバルト文庫のコバルトだよね。きっと。たぶん。昔、少女たちのための小説入門書として、一斉を風靡した。ジュニア小説の世界って、実はかなり面白いと、子供ながら教えられた(というか、ジュニア小説って子供が読むものだろうけど)あのコバルトでこの小説がティーンのオンナの子たちが読んでいた . . . 本文を読む
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『凶悪』

2013-11-09 22:29:32 | 映画
噂の犯罪映画をようやく見た。ファースト・ランでは、見逃したので、もうDVD発売を待つしかないか、と思われたのに、今週イブニングショーで1回だけテアトル梅田で緊急公開された。おかげで、なんとか、見ることが叶った。 だが、期待が大きすぎて(だって、キネ旬でなんか、『復讐するは我にあり』を凌ぐ傑作だなんて、誰かが書いていたのだ。それはないやろ、とは思ったけど、いろんなところで目撃した、たくさんの評 . . . 本文を読む
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『トランス』

2013-11-09 22:27:22 | 映画
最近は『スラムドッグ$ミリオネア』『127時間』と感動的なヒューマン・ドラマを連打するダニー・ボイル監督の犯罪映画。今回は初心に戻るようなクールでスマートな作品。101分、ずっとドキドキを持続させる。刺激的な音楽と映像がクール。先の読めない展開。急ピッチで、あれよ、あれよと話は先の先へと進む。そして、すべてがひとつにつながる大団円。そういうことだったのか、と感心させられる。 まぁ、そういうの . . . 本文を読む
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壁井ユカコ『2・43 清陰高校男子バレー部』

2013-11-09 22:25:11 | その他
『レーン』に続いて、「高校生のクラブもの」を読む。たまたま、なんだが、実は来週の近畿大会に向けて、僕自身のモチベーションを上げることも、目的のひとつだ。 この5年間で3回目となる近畿大会なのだが、最初の時のような緊張がもうない。初めての時は、凄いことだ、と浮かれたけど、慣れてきたからなのか。飽きてきたからなのか。子供たちにとっては、人生に1度あるか、ないかの、大事件なのだが、僕はもうそうは思 . . . 本文を読む
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『ばしゃ馬さんとビックマウス』

2013-11-09 22:20:51 | 映画
こんな題材でこのタイトル。劇場用長編、しかも、商業映画としてこれを成立させるなんて、しかも、こんな時代なのに。もうあり得ない話だ。どこで、どう間違ってこの企画書が通ったのだろうか。想像を絶する。 これはよく素人がやりたがる自己満足でしかない自伝的ドラマだ。自主製作の個人映画でなら掃いて棄てるほどあるだろう。もちろん、そんなもの誰も見ないし。しかも、シナリオライター志望なんていうマイナーな主人 . . . 本文を読む
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浮狼舎ひよこ組+ひね鳥組『朝顔御殿』

2013-11-09 22:13:07 | 演劇
1時間ほどの中編作品なのだが、ここには神原さんのあらゆるエッセンスが凝縮されている。最初からクライマックスで、どんどん人が死んでいくし、死者と生者が出会い、時代を遡り、戻ってきて、と激しく行き来する。いつもの原っぱを巡る小さなお話と、大河ドラマにもなるような壮大なロマンが、交錯し、一瞬の小さなお芝居を豪華に彩る。(でもまぁ、それっていつもと同じ、と言えばそれまでなのだけど) 忘れていた記憶が . . . 本文を読む
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