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映画・演劇のレビュー

Micro To Macro『落下のエデン』

2013-11-06 21:16:58 | 演劇
こんなにもシンプルでストレートな芝居になっていることに驚く。これこそが石井さんの求めていた演劇の在り方だったのではないか。ストーリーは1行で説明できる。簡単な話だ。大体『エデンの東』そのものなのだから。だが、このあからさまなストーリーはパクリではない。この話自体がある種の定型なのだ。どこにでもある。でも、とても大切なこと。 兄と弟の話だ。父は出来のいい兄を贔屓する。弟は何とかして、父の愛を勝 . . . 本文を読む
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あさのあつこ『レーン ランナー3』

2013-11-06 21:11:52 | その他
 先の2冊はもちろん読んでいるのだが、読み始めて、しばらくはどんな話だったのか、忘れていた。少し読むと思い出したけど、別に単発で読んでも、十分に楽しめる。それくらいに新鮮なのだ。  主人公の4人の高校生たちが、とても愛おしい。こんな風にして、あの頃を生きていたのだと、改めて思う。高校2年生という時間が好きだ。人生で一番輝いている。そんな時に何かに打ち込んでいる姿を見ると、何が何でも応援してあげた . . . 本文を読む
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超人予備校『エリマキトカゲ心中』

2013-11-05 23:12:25 | 演劇
 いつものことだが、よくぞこんなことを思いつくものだ。今回は忘れられた動物シリーズである。もちろん、中心を担うのは当時一斉を風靡したエリマキトカゲだ。脇を守るのは、ミノムシ(これは動物か?)とか紅茶きのこ(これは動物ではない!)とか、チクロ(ここまで行くと、動物とかそういうレベルではない)で、彼らのエピソードが、実は本当の主人公(もちろん、うその主人公なんかいないけど)である心中志望のカップルの道 . . . 本文を読む
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SSTプロデュース『窓を開ければ港が見える』

2013-11-05 23:08:31 | 演劇
 当麻さんによるサザンシアターでの別役シリーズ第5作。これまでは、2,3人での芝居だったが、今回は6人からなる大所帯。この小さな劇場で、これまでささやかだけど、胸に沁みる作品を作り続けてきたが、今回は初めての「ちょっとした大作」となる。とはいえ、別に特別なことはない。6人でも2人でも、変わらない。描くことも、いつも同じ。そこが素敵だ。当麻さんはささやかな幸せについて、別役脚本を通して、語りかけてく . . . 本文を読む
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飛鳥井千砂『UNTITLED アンタイトル』

2013-11-05 23:07:20 | その他
 すごくいやな小説だ。好き好んでいやな話ばかりを選んでいるわけではないけど、こういうのが続くと落ち込む。  31歳。桃子は実家暮らしで未婚。父と母、今は家を出ているけど実にやっかいな弟。4人家族。厳格なルールを作り、正しい生き方をしてきたという自信がある。だが、なんだか寂しい。自分は間違ってない。周囲はいいかげんな人間ばかりだけど、自分はそうはならないし、彼らとは違う。そう思って生きてきた。まず . . . 本文を読む
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綿矢りさ『大地のゲーム』

2013-11-05 23:02:49 | その他
いやな小説だ。読みながらどうしてこんな小説を書くのだろうか、と作者の神経を疑う。震災を扱う近未来が舞台になった恋愛小説。綿矢りさがこんな題材を扱うということ自体が不思議だ。だが、彼女の覚悟のほどがそこにあるはずで、何が彼女をそこに突き動かしたのかを目撃したくて読み進めたのだが、なかなか見えてこない。ただ不快なばかりで、読んでいて気分が悪くなる。別に残酷とかグロテスクだ、とかいうわけではない。そう . . . 本文を読む
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『スティーブ・ジョブズ』

2013-11-04 21:30:37 | 映画
僕はいろんなことに疎い人なので、このジョブズさんという有名な人がどんな人なのか、まるで知らなかった。アップルの創始者で、Macや、なんだかんだを作った人らしいが、よく、わからない。だいたい僕はコンピュータが苦手だ。というか、いろんなことが出来ない。今こうして触っている癖に、まるでわかってない。  そんな僕なので、この映画に描かれる世界は想像を絶する。でも、とりあえずはこの人に対してまるで先入観 . . . 本文を読む
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『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々 魔の海』

2013-11-04 20:45:11 | 映画
 別にこんな映画見たくもない。でも、たまたま2時間、時間がぽっかりと空いてしまった。そこを埋めることが出来る映画がこれと『スペック』しかなかったのだ。梅田でひとりで2時間も時間をつぶすのは難しい。本屋に行く手もあるし、喫茶店で読書するのも悪くはないけど、なんか時間がもったいない。見れるものなら映画がいい。しかも、映画を見ていたら、一瞬で2時間が経つ。でもでも、今、見れる映画はこれらしかない。究極の . . . 本文を読む
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コトリ会議『いい匂いの人がブラブラしてる』

2013-11-03 22:55:41 | 演劇
 ありえないようなことがある。その瞬間を目撃したい。コトリ会議の新作のチラシを見た瞬間、なんだ、これは、とたまげた。何かの間違いではないか、と目を疑う。で、ゆっくりと、もう一度見た。そして、ようやく、理解出来た。この人たちはバカだ。  無謀なことに挑戦するのは、若さの特権だ。田中将大が6戦の完投から、引き続いて今日もKスタのマウンドに立った。勝ち試合のご祝儀ではない。もし、ここで負けたならお終い . . . 本文を読む
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『潔く柔く』

2013-11-03 00:48:38 | 映画
残念だが、あまりお客が入っていないようだ。同時期によく似たラブストーリーが続くと、どうしてもお客はどちらかに集中してしまう。しかも、おこずかいのあまりない高校生なんかをターゲットにした映画の場合は当然のことだろう。そういうことで、今回は先行した『陽だまりの彼女』に軍配が上がったようだ。キャストもあちらの方が松本潤だし、若い女の子が押し寄せるのは道理だ。だが、映画としては当然の話だが、こちらも負け . . . 本文を読む
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朝井リョウ『世界地図の下書き』

2013-11-03 00:35:09 | その他
施設で暮らす子供たちを主人公にした長編小説。こういう題材を朝井リョウが手掛けるなんて、意外だ。だが、それがまた、とてもいい。今までの自分と同世代を主人公にした学園ものとは一線を画する。 小学3年生の時、この施設に預けられた太輔。同じ班の4人の子供たちとの交流。最初はまるでなじめない。だが、6つ年上のお姉さんである佐緒里をひそかに好きになる。このプロローグのエピソードの後、6年生になった彼の、 . . . 本文を読む
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