習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『トランス』

2013-11-09 22:27:22 | 映画
最近は『スラムドッグ$ミリオネア』『127時間』と感動的なヒューマン・ドラマを連打するダニー・ボイル監督の犯罪映画。今回は初心に戻るようなクールでスマートな作品。101分、ずっとドキドキを持続させる。刺激的な音楽と映像がクール。先の読めない展開。急ピッチで、あれよ、あれよと話は先の先へと進む。そして、すべてがひとつにつながる大団円。そういうことだったのか、と感心させられる。

まぁ、そういうのも含めて、よくあるパターンなのだが、スタイリッシュで、悪くはない。思いもしないどんでん返しという宣伝は嘘ではない。どうなるか、煽りまくっても、裏切られないなんて、凄い。でも、そういうことね、というくらいで驚愕のラストというわけではない。うまく落とし込んだね、というくらい。種明かしをされると、それほどのことではないのだ。でも、そんなこと、どうでもいい。

全編緊張を持続させ、飽きさせないことのほうが重要なのだ。記憶を失った男の心の中に降りて行って失くしたものを、取り戻す。消えたゴヤの名画「魔女たちの飛翔」はどこにあるのか。4人組の強盗団と、主人公の男。精神科医の女性。これだけの登場人物。彼らの騙し合い。何が本当で何が嘘なのか、監督も含めて(トリッキーな見せ方をして、観客を煙に巻くのだ!)誰一人信じられない。本当のことはどこにあるか、最後の最後まで息を抜くこともできない。なのに、途中でトイレに行きたくなって困った。映画に集中出来ないから、しかたなく、ダッシュでトイレに行く。(だから、40秒ほど見ていない。その間何が起きていたのか! でも、たぶん、大丈夫なシーンだったはず)おかげでラスト30分は安心して集中出来た。(何が何だか!)


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