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映画・演劇のレビュー

『ルームメイト』

2013-11-16 20:30:52 | 映画
 こういう地味な映画が東映系全国一斉公開されるって、なんだか信じられない。先週の『ばしゃ馬さんとビックマウス』と劇場規模を分けての公開なのだが、それでも、今の時代の情勢を考えると、単館公開が妥当だろう。昔ならこれは2本立公開というバターンのプログラムピクチャーだ。

 でも、こういう地味で、でも、もしかしたら、と期待を抱かせる作品が映画館に登場するのはうれしい。監督は、『オトシモノ』(まだデビューしたばかりの沢尻エリカが可愛い)や『Another アナザー』の古澤健監督。今回もホラータッチの作品なのだが、もう少しリアルに描いて欲しい。緊張感が持続しないし、最初のルームシェアまでが、あまりに安易なんで、説得力がない。出会いから、そこまで、という導入部がうそくさいから、乗り切れないのだ。もちろん、それはそれで理由はあるのだが、その理由を先にはばらせないので、そうである以上、ちゃんと2人の関係性が形作られていく過程を描かなくてはならないはずだ。そこをはしょると、先に述べたように緊張感がなくなるのだ。

 終盤の大どんでん返しも、それほどの衝撃ではなくなる。それまでが、ずっと、なんでもありで描かれるからだ。北川景子と深田恭子の2人はとても頑張っている。それだけに、どこかおかしい、という気分をどこまでも持続できるような演出と、脚本が必要だった。最初のネタばれが早すぎる。おかげで、深田恭子の芝居に深みが生じない。これは、どこまでも日常が持続しなくてはならないタイプのお話なのだ。だから、何も起きないほうが怖い。

 冒頭で事件が起きて、その3か月前から、お話が始まるのだが、そうすると、すべてがたった3ヶ月の間での出来事になってしまう。これだけのボリュームをその3カ月の中に盛り込むのは難がありすぎだろう。大体、事故で足を骨折して満足に歩けない、という設定がスリルを呼ぶのではなく、まどろっこしいだけ、というのはどうよ。ドラマを作る上での枷にしかならないのなら、意味がない。しかも、終盤別に杖がなくても、大丈夫だし。

 多重人格もの、って今までもいろんな映画で散々やっているから、余程の新機軸を打ち出さなければ、意味をなさない。今の時代なのだから、こういう映画でこそ、新しい実験が必要で、そうすることで、映画の可能性が開けるのではないかと思うのだが、どうなのか。悪いけど、こんな消化試合のような映画はいらない。





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