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映画・演劇のレビュー

大崎梢『春休みに出会った探偵は』

2024-05-15 07:56:00 | その他

普通日常生活をしていて探偵なんかに出会ったりはしない。だからこれは特別なこと。中学生の女の子が主人公。父子家庭、父親の海外赴任(シンガポール!)のために曽祖母のところに預けられる。

 
探偵と女の子っていうと薬師丸ひろ子と松田優作の『探偵物語』を思い出す。もちろんTVの優作の同名タイトルドラマは別物。あれは赤川次郎原作の角川映画で薬師丸は女子大生。この小説の主人公を彼女に演じて欲しい。当然今の彼女でも、あの頃の薬師丸でもなく、『野性の証明』の頃のひろ子ちゃんに『探偵物語』というタイトルでこれを演じてもらいたかった。(まぁ無理だけど)

中学3年になる春休みの出来事が5つのエピソードで語られる探偵小説である。ふたりの中学生(主人公の花南子と相棒になる根尾くん)と花南子が住むハイツの2階に住む探偵さん。彼らの出会いと別れ。ご近所さんのさまざまな事件が描かれる。だけどたわいない話ではなく徐々にハードな内容になり、中学生には危険。

話は4話で転換点を迎える。探偵がいきなり引っ越ししてしまい、春休みも終わった時、46年前の盗難事件を知りその謎を解くことになる。ここからラストのすべてがつながるエンディングまで。お話は上手く作られている。いや、上手く作りすぎて嘘くさくなったのは残念。新しい場所でのドキドキする春休みのささやかな冒険物語。

こういう映画があってもいい。まぁこれはまだ映画化されてない小説だが。



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