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映画・演劇のレビュー

『青春18×2 君へと続く道』

2024-05-13 08:46:00 | 映画

藤井道人監督最新作。台湾と日本を舞台にした青春ラブストーリー。これではあまりに甘い青春恋愛映画で受け付けない、という人も多数あるだろうが気にしない。藤井監督は今回確信犯である。

ベタな設定を駆使して、青春映画の王道を往く。台南を舞台にした22歳の旅。日本から台湾にやって来たアミ(清原果耶)を好きになるジミー(シュー・グァンハン)。18歳の少年の初恋。あの夏、初めてふたりで見た映画は岩井俊二の『Love Letter』だ。

18年後の再会。36歳になったジミーはアミに会いに日本に行く。台湾から東京へ。最悪の仕事をこなした後、彼はひとりで鎌倉、松本、新潟、福島を旅する。大好きだった『スラムダンク』や『Love Letter』の聖地巡礼、そしてアミの実家へと旅する。

こんなのはただの感傷でしかないけど、亡くなったアミとの約束を果たすために行く18歳だった自分を葬るための旅。あの時、彼女はたったひとりで初めての海外への旅に出た。世界中を旅して周りたいという夢を実現するための第一歩を台湾から始めた。だが彼女にとってあの旅は最初で最後の旅だった。

彼女の旅と18年後の彼の旅。これはそんなふたつの旅を描く映画。それだけでいい。18歳の夏、36歳の冬。台南と福島。旅することで生きていく。ジミーは確かな一歩を踏み出す。「お元気ですか?」という声は確かに彼女に届く。


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