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映画・演劇のレビュー

『我想和你在一起』

2024-07-15 17:21:00 | 映画

昨年の『成功補習班』には及ばないけど、今年もとてもいい映画を台湾で見ることが出来てうれしい。一見、ベタで定番すぎる展開を平然とするような甘い青春映画だけど、それは確信犯的行為だ。ここまで徹底させるから心地よい。

明るくて、でも少しガサツな女子高生という主人公、高曉南(リン・イントン)がいい。彼女が元気で自由奔放。そして幼なじみとカッコいい転校生のふたり。よくある設定の青春映画だ。彼女はなんと音痴なのに、学校のミュージカルで王子さまキャラの転校生の相手役になるためにヒロインに立候補する。そんな彼女を幼なじみの彼が助ける。
 
そんな懐かしい日々から(高校時代から)15年。彼女はもちろん大人になって、今では家業である美容室を継いでいる。あの頃の幼なじみの親友は有名なミュージシャンになっている。そんなふたりと王子さまのような転校生の3人の恋物語。若かったあの頃のバカバカしい恋を描く。『我想和你在一起』は「私はあなたと一緒にいたいです」という意味。「あなた」って誰かということが映画のポイントになる。

お話はカッコいい転校生との出会い。校門で自転車から吹っ飛んで彼とぶつかり一目惚れして彼に夢中になる、なんていうあり得ない少女マンガの展開。幼なじみは彼女の恋を100%応援してくれる。
 
『戀戀風塵』から40年。やはり相変わらず台湾映画はこういう若い子たちの恋物語が大好きだ。明らかにコメディタッチだけど、節度がありバランスがいい。だからちゃんと切ないドラマになるのがいい。三角関係だけど、彼女は悩まないで突進するし、彼は全力で応援する。だけど本当は、という定番を抑える。それが嘘くさくない。歳月を経て、あの頃のバカは今では思い出になったから、こんなマンガみたいな描写も思い出の誇張として受け止められる。 
 
彼女が「王子さまだ!」と慕う転校生が必ずしも男前ではない、というのもいい。どちらかというと幼なじみの彼の方がカッコいい。(もちろんそれはちゃんと伏線になっている!)
 
ジャイアンのようなタイプの、彼女を好きな先輩(その子分、ふたりも楽しい!)もいい。彼が(まるで小学生みたいに)好きだからイジワルするとか、笑える設定が随所に山盛り用意されている。日本のこの手の青春映画と違い、極端とシリアスな描写が上手くブレンドされている。だからあざとくない。とても楽しくてわかりやすい(中国語がわからなくても大丈夫)し、泣ける。

これはそのうち日本でも(たぶん)シネマートで公開されるだろうけど、必見。

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