
台北に行く飛行機の中で久しぶりにこの映画をほんの少しだけ見た。なんとなく、冒頭の20分までを見たのだ。機内の映画リストにこんな古い映画が入っていて驚く。
冒頭のシーンが大好きだったからついつい見たけど、デジタルリマスター版で、きれいな映像に復元されていてうれしい。それだけにできることならラストまで見たかった。台北に着くのが遅くなってもいい。だけど、無情にも着陸体勢に入ったというアナウンスが流れてくる。無念。
この映画は僕のオールタイム・ベストワンの映画である。だから、ほんとはこんな感じで再会したくは(見たくは)ないけど、偶然今回からこんな再会となった。
初めてこの映画を見た時、ラストシークエンスでは号泣してしまった。映画を見て、あんなに泣いたことはない。恥ずかしいから嗚咽しながら声を押し殺していた。あの祖父とふたりのシーンだ。そのラストシーンだが、記憶とは少し違っていた。あれっ?(時間がなく、途中を飛ばしてラストも見た。飛行機が着陸体勢になるからイヤホンが使用不可になったけど映像だけで)
懐かしい風景が描かれる。87年の映画だけど、そこからさらに昔の少年時代が描かれる。それがゆっくりとしたタッチで淡々と話は綴られる。このリズムが素晴らしく、心地よい。ふたりの幼なじみで同級生男女の小さな恋の物語。やがてふたりは大人になり、彼は入隊し、2年の歳月が流れる。歳月はふたりを別つ。彼女が知らない男と結婚した。
70年前後の台湾。平渓線で通学するふたりの住む町は十份。今から20年くらい前になる。映画を見てから10年。初めてここを訪れた。素晴らしいところだった。映画風景そのままの田舎町だった。
今回久しぶりに行く予定。観光地として注目されて、今ではすごい人数の人が訪れるようになったから、あれ以来行ってない。九份も、だ。行って幻滅したくないけど、今回子どもたちは初めての台湾だから一緒に行く。楽しみ。
追記
やはりすごい人だった。もう昔の面影はない。完全な観光地で、僕は無理だった。