
『強制終了、いつか再起動』とこの本を借りてきた。先日の吉野万理子未読の児童書3冊読破(1冊は既に読んでいたけど)に続いて今回はYA本2作。『強制終了、いつか再起動』は2021年2月出版。なんと大麻中毒になる中学生が主人公だ。薬物依存なんていう素材を扱うのか、と驚く。私学の中高一貫エリート中学の3人の同級生。うまくクラスに溶け込めない転校生が家庭教師の大学生から大麻を進められることから話が始まる。彼とユーチューバーの男の子、さらにはふたりとかかわることになる女の子。彼ら3人の小さなお話だ。悪くはないけど、暗い。読んでいてあまり元気になれない。これって吉野万理子としては新境地だろうけど、なんだかなぁ、という一作だった。
その点、続けて読み始めた本作は安心して読める。はずだった。でも、ここでもヒロインの西野さんは暗い。大丈夫か、と心配するが大丈夫じゃなかった。
これは『忘霊トランクルーム』の続編だ。忘霊が見える高校生、星哉のひと夏の恋物語。第二話までは読んでいてなかなか楽しめた。だが三話から急につまらなくなる。しかもそこからがお話の本題なのに。短編連作ではなく、これは長編だった。五話からなる長編。でもそれなら第一章から五章という表記にしたらいいのに、と思う。まぁ、たいしたことではないけど。それよりお話がつまらない。
特に最後が惨い。あんなオチでは誰も納得しないと思う。今までたくさん吉野万理子の小説を読んできたけど、今回の2作は初めて不満だった。「青春ミステリ」って書いてあったけれど、なんか安直。もしかしたらこれも新境地を目指したのかもしれないがこれではガッカリだ。今回の2冊はターゲットがどこにあるのかよくわからない作品だ。
口直しというわけではないけどもう1冊、こちらは児童向け絵本の『二番めにすき』も読んだ。これはまずまずの出来。猫の転校生を巡るクラスメートの猫たちとのお話。「一番好き」を巡るお話は、一番になれなくてもいいし、一番を強制するのではなく、(だいたいそれって結果的に一番かも、というようなお話で、)大切なことは一人でいる時間が大事というお話。きっと子供も納得。