
池田千尋監督の第1回監督作。まだ27歳の女の子が作った映画だ。でもこんなにも堂々たる作品で劇場映画にデビューした。凄い。なんでもない映画なのになんだか風格さえ感じさせる。わざと粗い粒子の画像を採用し、このなんとも懐かしく不思議な世界を描いた。
だいたいあのおんぼろアパートってなんだろうか。今時あんな家どこにもない。現代から見放されたような場所で、偶然から3人の男女が(と、いっても3人は別々の部屋でそれぞれ暮らすのだが)生活することになる。そこには年老いた男女がいる。もう十分にボケてしまった老人(高橋昌也)と、今でも十分美しい女性(香川京子)。この2人を配して、暖かい日差しのさすこのアパートの3人の住人の日々が淡々としたタッチで描かれていく。
ここから出ていく日はやがて来る。だが、その日まで彼らはここで暮らす。遠い日のアルバムの中に居るような気分にさせられる映画だ。主人公の3人はいずれも今を生きる若者に見えない。彼らの持ち味がよく生かされる。加瀬亮も西島秀俊もいつも通りでここに馴染んでる。その安心感がこの映画のすべてだ。年老いた2人の秘められた恋のお話もあまり出しゃばらないのがいい。そこを起点にしてドラマが大きく展開するわけではない。というか、ここにはドラマらしいドラマはない。それは確信犯的行為なのだが、おもしろいけど、実は少し物足りない。それって、横浜聡子監督のところでも書いたが、作り方は上手いけど、なんだか小さくまとまり過ぎて気に入らないのだ。なんか、贅沢言ってる気もするから、声高には言えないけどもどかしい。それは若い女性監督だから、と括るのは問題だろうが、でもその辺にも問題はないわけではあるまい。
だいたいあのおんぼろアパートってなんだろうか。今時あんな家どこにもない。現代から見放されたような場所で、偶然から3人の男女が(と、いっても3人は別々の部屋でそれぞれ暮らすのだが)生活することになる。そこには年老いた男女がいる。もう十分にボケてしまった老人(高橋昌也)と、今でも十分美しい女性(香川京子)。この2人を配して、暖かい日差しのさすこのアパートの3人の住人の日々が淡々としたタッチで描かれていく。
ここから出ていく日はやがて来る。だが、その日まで彼らはここで暮らす。遠い日のアルバムの中に居るような気分にさせられる映画だ。主人公の3人はいずれも今を生きる若者に見えない。彼らの持ち味がよく生かされる。加瀬亮も西島秀俊もいつも通りでここに馴染んでる。その安心感がこの映画のすべてだ。年老いた2人の秘められた恋のお話もあまり出しゃばらないのがいい。そこを起点にしてドラマが大きく展開するわけではない。というか、ここにはドラマらしいドラマはない。それは確信犯的行為なのだが、おもしろいけど、実は少し物足りない。それって、横浜聡子監督のところでも書いたが、作り方は上手いけど、なんだか小さくまとまり過ぎて気に入らないのだ。なんか、贅沢言ってる気もするから、声高には言えないけどもどかしい。それは若い女性監督だから、と括るのは問題だろうが、でもその辺にも問題はないわけではあるまい。