習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『グッド・バッド・ウイアード』

2009-08-30 08:30:45 | 映画
 ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、チョン・ウソン3大スター共演で韓国では大ヒットを記録したアクション大作がようやくの日本公開である。大阪ではなんとなんばTOHOで上映させる。しかも1番スクリーンである。絶対2週目からは小さな劇場に移されるのは必至なので、無理して公開初日に劇場に駆けつけた。最近はシネコンのせいで、映画は封切られたらすぐに行かなくては見れなくなる。しかも条件がどんどん悪くなる。なんだか嫌な世の中になった。映画までこんな風になるのだ。情けない。

 キャパの大きい劇場の大スクリーンで見なければ、こういうアクションは楽しめない。ただの大バカ映画である。今時西部劇を作ろうなんてアメリカ人でも思わないのに、韓国人が、中国大陸を舞台にしてそれをやってしまうのだ。列車強盗からスタートして、宝の地図の争奪戦。さまざまなキャラが入り乱れてのスペクタクルアクションだ。主人公の3人だけでなく、日本人将校の白竜!までもが、出てきて、しっちゃかめっちゃかを繰り広げる。最後の砂漠での大追跡は延々と凄まじいカーチェイス(馬が中心だが)が描かれる。いつまで続くのか、想像もつかない。見ていてずっと飽きるまでやってなさい、という気分になる。すごいというより、呆れた。でも、その過剰さは嫌いではない。

 こういう単純バカを本気でやるところが韓国映画の底力であろう。昨年日本でも同じようにバカが和製西部劇を作っていたが(もちろんあの三池崇史の『ジャンゴ』だ!あれ以外にない。)スケールに於いても志の高さの於いてもこれには及ばない。それって三池をクサすのではない。アプローチの問題なのだ。だが、きっとこの映画を見て、三池監督なら絶対悔しいと歯ぎしりしたであろう。だって、これこそが三池が目指す映画だからだ。

 CGなしの行け行け映画だ。どれだけ大変な撮影だったかは見ればわかる。だが、みんな楽しそうだ。好きなことを全力でやることの心地よさがここには溢れている。こんなにも幸福そうな映画はなかなかない。まるで子供が大好きなおもちゃでこころよくまで遊んでいるような映画だ。監督はキム・ジウン。娯楽映画を極めながら時々『甘い生活』のような困った映画にも色気を出す。今回は今まで培ってきたすべてを出し切りここまでの映画人生の集大成を果たした。あっぱれだ。

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