いろんな意味で謎が多い宣伝体制の映画シリーズ第2弾(もちろん第1弾は『君たちはどう生きるか』だろう)という感じだが、こちらは行定勲監督がメガホンをとった初のアクション映画大作。事前の情報がほとんどなかった謎の映画。(このパターンがこれからは流行っていくのか?)
映画はなかなかの緊張感でグイグイと前半を引っ張る。何が起こっているのか、わからないまま話が進むのだが、綾瀬はるかの演じる謎の女を見守っていくだけでドキドキする。しかも丁寧で贅沢なセットが惜しげもなく作られていて、その中で綾瀬はるかによる華麗で美しいアクションが展開される。彼女が少年を助けて陸軍の追っ手と戦う。赤線のアジトとそこにいる仲間たち(女ふたり)というこれもなんだか謎っぽいのもいい。彼女のサポートをする長谷川博己の弁護士も含めて彼女のチームがひとりで行動をする彼女を援護する。
話自体はあまり面白くはないし謎解きの話もイマイチだけど、クールな綾瀬はるかがあまりにカッコよく素晴らしいから、スクリーンからは目が離せない。ただ彼女を見てるだけで満足する。
たが終盤の展開はよくわからないし、納得いかない。陸軍と海軍の争いがどういう形で収まっていくのかもわからないし。豊川悦司の演じた理想に燃える男(綾瀬が唯一心を許す恋人!)とかも、なんか空回りしている。
『グロリア』みたいに子どもを守りながら戦うのだが、アクションが派手なだけで説得力はない。霧の中やってきて戦うシーンは最初何が映っているかもわからない中で大胆にも展開する。(あれはスクリーンでしか見ることができないだろう)
それにしてもラストで海軍はなんでたった一人で(長谷川博己たちはいるけど)戦う彼女を見てるだけなんだろうか。助けたれや、と思ったが。最後、山本五十六(阿部サダヲだし)が「この金で戦争をなんとか遅らせる」とか言うけど、なんだかなぁ、である。自分も手を汚してなんかしろ、と思ったけど。
先行するトム・クルーズ『ミッション・インポッシブル』の女性版って感じ。スケールでは少し負けているが、日本映画としては頑張っている。