
シリーズ第4作。短編連作で5人の作家による共作。1話完結だけど、しりとり式でお話が展開していく。まはら三桃から始まって廣嶋玲子、濱野京子を経て、菅野雪虫、工藤純子に至る。現代児童文学の最前線を走っている彼女たちがタッグを組んで子どもたちに向けて本を読むことの喜びを伝える。
今回は図書館や本屋ではなく、ブックカフェ。しかも古い倉を改装したカフェである。今回も読書を通してさまざまな出会いをする子どもたちを描く。自分が持ってきた本をここに寄付するとお茶とお菓子が無料になる、という不思議なカフェ。といっても本がなくても小学生は100円だけど。
お店の本は自由に読んでいいけど、ラテアートが消えるまでしかいられない,というこれまた不思議なルールもある。5つのお話はたわいもない。彼らの日常とつながっている。現実と空想世界が本を通して連動していく。時には大冒険にもなるけど、あくまでも日常生活をベースにしているし、そんな冒険が今の友人関係を明確にする。本はここではない世界に僕たちを連れて行ってくれるけど、必ず再びこの世界に連れ戻してくれる。
この読みやすい短編連作はまだ幼い子どもたちを本の世界に誘う道案内人になる。ちょうど猫たちが彼らを倉カフェへと導いたように。