これも近畿大学舞台芸術科有志団体による新入生歓迎公演。前回の『鬱憤』も見事だったから期待は高まる。これは熱意溢れる学生による拙いけど気持ちのいい芝居ではない。それどころか、そのへんの中堅劇団なんて到底及ばない力作であり大傑作だ。脚本、演出、役者、スタッフワークも含めて完璧。実に見事だった。90分、最初から最後まで中弛みなく緊張を持続させる。意外な展開を含めて納得のいくドラマは小劇場演劇の王道を行く . . . 本文を読む
今更書くのも何なんだが、今年の1月、リンチが亡くなった。あれから3ヶ月が経つ。先日ビリー・ワイルダーの『アパートの鍵貸します』を見てふとリンチを思い出した。リンチはあの映画が好きだったらしい。あれを再見した時、僕はテリー・ギリアムの『未来世紀ブラジル』を思い出した。あれは今見たら50年代のアメリカが近未来の世界に見えるSF映画だった。さらに先週、坂本サクの2作品を見て、やはりリンチを思った。そんな . . . 本文を読む
下巻は49歳になった空子。あれから14年後の世界が描かれる。しかも今回は完結編である。20歳まで、35歳と続いて49歳。しかもこれが420ページ越えの大長編。一応4章が続くがこれは空子が亡くなった後のエピローグでしかないし、10ページにも満たない。読んでいるとここで描かれるあり得るかもしれない未来に吐き気がする。これはますます異常なディストピア小説だな、と感じる。「上」の20歳の部分を読みながら感 . . . 本文を読む