■ 地下水の再検査で再び汚染が確認された ■
豊洲市場の9回目の水質検査は検査方法に問題があったとして29か所で再検査が行われましたが、最大値で環境基準の100倍を超えるベンゼンが検出されました。検査方法に問題があった前回の79倍を超える値で、専門家会議も当惑している様です。
9回目の検査方法がそれ以前と異なった事が判明した時は、検査値に異常はそれに起因すると私も確信しましたが、どうやら原因は違う所にあるらしい。
私は9回目の検査でイレギュラーな検査結果が出た時に下の記事を書いています。
豊洲の地下水調査の怪・・・あまりにイレギュラーな数値
■ 地下水の循環が起きたのか? ■
民間の測定会社と言えども、都の仕事を請け負うからにはそれなりに実績のある検査会社でしょう。単純なミスで測定値が上昇したとは考え難い。同様に前回までの調査がねつ造だったとも考え難い。
そうなると、前回までと今回で異なるのは、地下水の管理システムが稼働した点かと。
1) 排水システムが稼働して地下水位が低下した
2) 地下水に排水による循環が生まれた
この2点が前回調査との地下水の状態の相違点です。
地下水位は地下水管理システムが作動する前は、遮水槽を越えて浄化処理した土壌と接触していたと思われます。これは、建物地下の水たまりの存在から推測出来ます。(浄化後の盛土土壌を汚染地下水と接触させない為の遮水層が実際には機能せず、汚染地下水と盛土が接触している可能性がある事自体、ちょっと間抜けではありませすが・・・)
地下水管理システムの排水が稼働した事で地下水位が下がり、遮水層の上の土壌に接触していた水が地下水測定用のレベルまで降下して来たとも考えられます。仮に、盛土にベンゼンやヒ素が残留していた場合、これらが溶出した地下水を測定した可能性は否定できません。
もうひとつの可能性は、地下水の排水システムが稼働して地下水の循環が起きたというもの。ただ、地下水は地下の池の様に存在している訳では無く、含水層という土に水がしみ込んでいるZ応対で存在します。果たして、地下水の排水システムを稼働したからと言って、土にしみ込んだ水に循環は発生するとは容易には考えられません。
9回目の検査会社は、従来と違う検査方法を都から強制され、その為にイレギュラーな数値が検出されたと一時は私も確信しましたが、どうやら今回の再検査で、専門家会議も「地下水管理システムの稼働により地下水の環境に変化が生じた」可能性を指摘し始めました。
■ 追い詰められた小池知事がちゃぶ台を返した ■
都議選まで豊洲問題を引きずって、「悪の石原と戦う正義の小池」を演出するつもりだったであろう(妄想)小池知事ですが、地下水汚染が現実のものとなると予定が大幅に狂います。さらに築地残留も現実的に難しい事が判明し(最初から分かっていたから豊洲移転が持ち上がったのですが)、いよいよ振り上げた拳を下す場所が見つからなくなり始めています。
ただ、さすがわ小池知事、振り上げた拳で石原元知事を八つ当たり的にボコボコ叩き始めました。
百条委員会の喚問で石原元知事が「私が厳しい基準を課し過ぎたのかもしれない」と発言した様っですが、これを見逃す小池知事ではありません。
選挙戦以来、小池知事の発言は修正され続けています。
1)豊洲は危険
↓
2)都民の「安心」が第一
↓
3)「法的には問題が無い」が「安心」が確保されていない
↓
4)「石原都知事が高すぎる基準値を課した」事が問題だ・・・
さらに言うに事欠いて、「石原元都知事が豊洲に過剰な安全基準を課した為に、私はその安全基準を守る為に豊洲移転を遅らせている」的な発言までしちゃいましたよ・・・。
おいおい、どの口が言うんだよ!!
政治家として完全に終わっています。
普通に考えてこの人、人として終わっています。
■ 築地に安全も安心も無い・・・ ■
そもそも論として豊洲移転が決まった背景は、築地が老朽化し、さらには「衛生面」で安全性が可確保できないとの判断があった為です。
1) 施設が老朽化して、地震や火災などで市場機能がストップする危険性が高い
2) 建築にアスベストが使われている
3) ネズミやゴキブリが走り回っている・・・
4) 市場と外気が遮断できず、先進国の先進的な市場の衛生環境から遅れを取っている
さらに最近、新たな問題もクローズアップされています。
5) 敷地内にはかつての米軍のクリーニング施設が有り、土壌が汚染されている可能性は大
そして3月17日には洗浄水に使われる東京湾の海水ろ過施設の故障が発生しています。
6) 洗浄用の水は東京湾の海水をろ過して使っており、地中配管は1961年製。
これに対して、小池知事は「老朽化された施設の補修を怠った歴代都政が悪い」と発言しています。
政治家として完全に終わっています。
普通に考えてこの人、人として終わっています。
築地が使い物にならないから、高いコストを掛けて豊洲を整備し、その一方で廃止が決まっている築地市場の補修は最小限にするのは当然です。
よくよく考えると、こういう話って、皆さんの会社でも起きる可能性は低く無い。
1) 会社のコピー機が壊れそうだ
2) 新しいコピー機を発注しよう
3) 白黒コピーは時代にそぐわないから、少し高いけどカラーコピーにしよう
4) 設置スペースが狭くて安いコピー機の導入は無理だから、少し高いコピー機にしよう
5) やった、来週には新しいコピー機が納入されるぞ!!
ここまで計画が進んでいた所に、総務のお局様が来て文句を言い始めました・・・
6) 新しいカラーコピーを設置する床が何だか汚いわ
7) これでは「キレイなコピー」が取れなくて社員が安心出来ないわ
8) エ?床の掃除はしてある・・・じゃあ、この染みは何なの!!
9) そもそも何で古いコピー機ではダメなんですか
10) 古いコピー機の下の床はもっと汚いって・・・それは問題有りません!!
11) 新しいコピー機、性能が良すぎて値段が高過ぎませんか???
12) そもそもカラコピーを導入しようと決めた前任者に責任があるのよ!!
こいつ、グーで殴ってやろうか・・・そんなヤツの一人や二人、どこの会社にも居るものです。東京都民は自ら進んで、そんな人を首長にしてしまっただけ・・・・。
■ 「厳しすぎる環境基準」を課した事が問題の本質 ■
豊洲問題と福島の放射線問題は全く同じ問題です。
福島を苦しめているのは現実の放射線では無く、ICRPが定めた「厳しすぎる防護基準」が問題ですが、一方で、厳しすぎる基準は原発建設を一部の企業で独占する事に役立ちますし、「除染」や「廃炉」に莫大な費用が掛かる事で、これらの企業や、地元の企業に莫大な利益をもたらします。
豊洲市場も「厳しすぎる環境基準」を導入した事で、土壌対策費や建築コストが跳ね上がりましたが、土建業者は焼け太りしています。
石原元都知事が「課した」厳しすぎる基準ですが、それを望んだのは都民にほかなりません。
本来ならば、「安全」と「コスト」を秤に掛けて妥協点を見つけるのが議会の役目ですが、議会は「安全」と「安心」につぎ込むコストに無頓着でしが。都民も同様です。
今更ながら「厳しすぎる安全基準」なんて言葉が石原元都知事と小池都知事双方から出ていますが・・・・「正論」を吐く二人を見ていると、虚しさを感じます。「都民」は彼らには見えていないのですから。