■ 「患者の命を助ける」事のジレンマ ■
ちょっとご高齢の方や、地方の方からは怒られちゃうかも知れませんが・・
先日、知り合いの医者と飲んでいたら、「最近では地方の病院に患者が来れなくなって病院経営が厳しくなっている。」とボヤイテいました。地方の人口減少で病院は広域から患者を集めないと経営が成り立たなくなっていますが、あまりに高齢な方は、足腰も立たないし、車の運転も出来ないから病院に来る事すら出来ないそうです。結果的に病院が巡回バスを運行して患者を集めているそうな・・。
この様な状況に陥った最大の原因は高齢化による医療費の拡大を抑える為に国が診療報酬を下げ続けた事にあります。病院は多くの患者を診療しなければ利益が出にくくなりましたが、それに伴ってスタッフの負担も増えるので経営が厳しくなり、地方の病院から経営が行き詰まり初めています。
医者にとっては「そこに患者が居るならば助けるのは当たり前」の行為ですが、今の日本の医療行政では、それが病院の経営を圧迫します。
■ ライフクオリティーを重視するヨーロッパの医療 ■
ヨーロッパなどはこの問題の解決はとっくの昔に終わらせています。方法は簡単で、「無駄な医療を排除して、無駄に寿命を延ばさない」というシンプルなものです。
そこに行き付くまでは医者にも社会にも様々な葛藤があったかと思われますが、結局は限られた医療予算を経済に貢献する人達(若者)に優先的に使う選択をしたのです。ですから、高齢者に無駄な抗がん剤治療などしません。寿命が5年伸びたとしてもライフクオリティーが低下しては意味が無いからです。
この様なドメスティックな変革が日本において出来なければ、日本の医療制度はゆくゆくは崩壊します。
■ アメリカ型の医療改革が実行されそうな日本 ■
戦後日本の医療を支えていた国民皆保険制度ですが、高齢化の進行によって近い将来破綻すると言われています。
現在の様に高齢者に高度医療を施して寿命を伸ばし続けると、医療費の支出の拡大に歯止めが掛らなくなる事は目に見えています。
しかし、厚労省が「65才以上の高齢者には無題な医療を行わない」という通達を出す事は難しいでしょう。従来は厚労省は「診療報酬を下げる」事で、全体のバランスを取って来ましたが、医療現場はこれ以上の診療報酬の低下には耐えられません。
そこで外圧を利用して医療改革を実行すると思われます。それはTPPによってもたらされるはずです。
アメリカの製薬会社は日本の薬価が安過ぎると考えています。新薬が次々に開発されていますが、開発コストは決して安くは無く、さらに適用範囲が狭い薬ともなると量を売る事も難しい。そこで、アメリカ国内では薬価を高く設定して利益を確保しています。
しかし、日本の場合は保険適用される薬の価格は厚労省が決めており、医療費削減の為に薬価は低く抑えられています。保険適用を受けなければ良いのですが、保健診療と自費診療を一緒に受ける混合診療は禁じられていましたので、薬を売る為には保険適用の申請をするしかありませんでした。
混合診療の解禁は段階的に進められていますが、TPPが発効すれば混合診療を求める圧力はさらに高まります。
「TPPは米国内で反対派も多いじゃないか」という意見も有るかと思いますが、それは交渉の過程でアメリカの利益が薄まってしまった事への反発で、彼らは「アメリカに都合の良いTPP}ならばウェルカムです。場合によっては議会が批准せずに「再交渉しろ」とゴネるかも知れません。
■ 保険適用の診療や薬が減って行く ■
医療財政を破綻させず、企業の利益も確保する為には、医療の2極化が必要になります。
安い保険診療か、高い自費診療もしくは混合診療かを患者が選ぶのです。(ゼネリック医薬品の様に)
当然、高い自費診療や混合診療のコストを患者やその家族が負担する事が難しい場合もあるので、医療保険の出番となります。高額医療の医療保険は掛け金が高いので、高額所得者や資産家しか高い保険には入れません。
こうして、所得格差が医療格差に反映される時代がやって来ます。命や長生きは金で買う時代になるのでしょう。
■ 平均寿命を抑制する ■
今までの日本の医療は安価で充実したものでしたから、日本人の平均寿命を世界トップクラスになりました。
しかしこれはは裏を返せば、高齢者の社会福祉コストを医療コストを肥大化させます。限界を超えれば、年金や医療保険が破綻します。(財政破綻かも知れません)
そろそろ日本も「何が何でも長生きする」という願望を捨て、「無駄に長生きしない」という倫理観に変換しても良いのかも知れません。
実施の方法はヨーロッパ型とアメリカ型が在ります。ヨーロッパ、特に北欧諸国ではある程度の平等性が確保されています、。
アメリカ型は金次第で、金持ちは長生きを選択できますし、貧乏人は安楽死の薬を医者が処方します。
どちらが幸せかは誰でも理解出来ますが・・・・どうも日本はアメリカ型になりそうな予感が・・・。
無い袖はやはり振ることはできません
人間は生老病死の逃れられない運命を生きていく・・
受益者と負担者のバランスが悪過ぎます。先進国や新興
国は遅かれ早かれ日本の様な少子高齢化の問題に直面し
ます。
ただ、日本は人口動態のbランスが悪過ぎですよね。こ
こまで放置した政府や行政の無策は攻められるべきいも
のかと・・・。ただ、ヨーロッパも必死の取り組みで少
子化を阻止しようとしましたが、結局は東欧に安い労働
力や中東やアフリカからの移民に依存しています。