人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

SF(似非科学)の崩壊・・・ガンダム00

2008-12-24 06:51:26 | アニメ
■中3はオタク化の始まり?■

最近中3の息子のオタク化が著しい。
「オタクの息子はオタク」という事でしょうか。
頼むから、萌えキャラ系に走らないで欲しい。
私のオーディオセットで、萌え萌えのアにソンを掛けないで欲しい。
やはり男はガツンとガンダム!!

私も中3の時、受験そっちのけで、オリジナルのガンダムに夢中でした。
息子に聞くと「クラスではガンダム00は人気だよ、人間関係も複雑だし。」との事。
ちなみに00と書いて「ダブルオー」と読ませるらしい。
「ゼロゼロ」かと思ってました・・・。

■「オヤジ・ガンダム00を見る」■

「ガンダム・大地に立つ」的見出しにしてみました。
当然、頭の中では、チャチャチャーーン、チャチャチャチャンと鳴っています。

休日を利用して早速インターネットで最新ガンダムをチェック。
最新ガンダムは2ndシーズンで、続編でした。

ソレスタルビーイングという組織は4機のガンダムを所有し、
反重力炉のGMドライブを搭載して、圧倒的戦力で国連軍に対峙。
武力介入による危機誘発で、大国間の利害を一致させて地球連邦を樹立させ
争いの無い世界を創出する。
ソレスタルビーイングとガンダムは悪役に徹して「破壊による再生」を目指します。
ここまでが、1stシーズンの内容のようです。
(最終話だけチェックしてみました。)

2ndステージは、地球連邦樹立から5年後の世界。
連邦軍の精鋭部隊、独立治安維持軍「アロウズ」は連邦を維持する為に
非人道的な武力行使によって、連邦に参加しない国家や、
反対勢力を弾圧しています。
ガンダムの破壊によって再生した世界は、
結局、「暴力に支配された世界」に他ならなかった・・・。
そこで再び、ソレスタルビーイングが立ち上がり、
世界に真の平和をもたらそうと「アロウズ」に敵対していく。
(4話まで見たところ、こんな内容でしょうか)

00の技術的コアはGMドライブという反重力炉のようです。
GM粒子は電波撹乱やビーム撹乱効果もある様です。

■オヤジ・おおいに憤る■

オリジナルガンダム世代のオヤジには、ガンダム00は許せない内容でした。
ガンダムSEEDが、オリジナルガンダムの酷いリメイクならば、
ガンダム00は、Zガンダムの酷いリメイクでした。

サンライズはガンダムという資産をこんなに簡単に蹂躙して良いのでしょうか?
以前からガンダムには亜流がいくつも存在しますが、
オリジナル・Z・ZZ・シャーの逆襲へと続く、
「宇宙世紀」初期の歴史と世界観は確固としたものがあったはずです。

ガンダム00はどう見ても、連邦樹立期の宇宙世紀前史ですが、
技術レベルはオリジナルガンダムを遥かに凌いでいます。
いくら、オリジナル世代がもうガンダムなんて見ないとは言え、
ガンダムはサンライズの大事なコンテンツ資産であり、
ゆくゆくは、「世界のガンダム」として、
日本のコンテンツ資産となる代物です。
その世界観や歴史観は大事に扱われるべきです。

ディズニーは彼らのキャラクターや世界観を非常に大事ししています。
それが、世代を超えてディズニーが愛され、
全世界に浸透していく原動力となっています。
ディズニーランドにおいて、ミッキーは同時に同じ場所に二人は現れません。
ミッキーは一人(一匹)しかいないからです。
ディズニーランドの草花は枯れていません。(手で1本1本摘み取られます)
おとぎの国に枯れた花は無いからです。

コンテンツ・ビジネスはコンテンツが荒れてしまわないように、
細心の注意と管理が必要です。
サンライズは、儲けに走るあまり、コンテンツの価値を貶めています。

ガンダムSEEDを見て、富野は激怒してターンAを製作したようですが、
ターンAは、細心の注意を払って、オリジナルガンダムの資産を利用しています。

■科学亡国日本■

ガンダムは曲りなりにもSFです。
SFは似非科学ですが、似非科学なりのリアリティーが必要です。
ファーストガンダムのミノフスキー粒子はSF的発明です。
電波撹乱により通信を無効化した結果、宇宙における接近戦が必要になり、
接近戦よう兵器としてのモビルスーツが必要になる。
この初期設定は非常に重要です。

さらに、重力下ではモビルスーツは鈍重な存在です。
決して、空など飛べる代物ではありません。
この重量感と鈍重さが、モビルスーツの魅力なのです。

ところが、ガンダム00のモビルスーツは反重力炉を利用して空を飛び回ります。
これは、製作者が既にモビルスーツの魅力の本質を理解していない事を示しています。
空を飛べば、動きが早くなり、セルの節約になり、制作費の節約にはなります。
これはZガンダム時代にサンライズが編み出した節約法ですが、
他社はCGでこの問題を克服しようとしています。

マクロスFのCGは素晴らしいものがありました。(「スタジオぬえ」でしたっけ?)
樋口慎二のGONZOも、CG開発に余念がありません。
CG化に大きく遅れを取ったサンライズはオタクに擦り寄った
キャラクター路線に傾倒しています。

SF的設定事態が今の子供に受け入れられないのかもしれません。
だいたいガンダム00では、スペースシップが宇宙から大気圏に突入し、
減速せずに海中に突入します。
それにより津波を発生させて、敵施設を強襲する・・・・。
そんな、バカな・・・・。
これはSFではなく、単なる子供のアニメです。
だいたい、スペースシップの乗員がったったの8人です。
戦闘艦は24時間体制だから、休息すら取れません。
半舷休息になったら、4人体制になってしまいます。
家族経営の「ザンボット3」の時代に、サンライズは逆戻りです。

そりゃあ、これだけ理科の教科書が薄くなれば、
子供達の科学的知識も希薄になるでしょう。
昔はラグランジェ・ポイントなんて言葉に萌えたもんですが・・・。

子供の頃からアニメを見て育ち、アニメの専門学校に通って
アニメ製作者になった人が作るアニメなんだな・・・ってつくずく思います。
きっと、ハードSF小説なんて読んだ事ないんだろうな・・。
ニュートンなんて雑誌も読まないんだろうな。

■リアリティーの欠如■

ガンダム00はシリアスな世界観を設定しています。
大国間のエゴによる争いと紛争の世界。

しかし、そこにリアリティーが全然ありません。
概念があって、ディテールが無いからです。
絵的には中東であったりしますが、生活感が無い。
戦争のリアルも無い。

オリジナルガンダムの前半は、ひたすら修理と補給の話です。
モビルスーツをひたすら修理し、敵のパーツすら流用し、
敵の勢力化で多大な犠牲を発生させながらも、
マチルダ部隊が兵站を担う・・・。
戦闘の度毎に、傷兵が増え、軍医が駆け回る・・・。

戦争とは「大量の物資消費」であり、勝敗は兵站の確保で決まります。
太平洋戦争で日本は制海権を失い、南方はの兵站路を失います。
日本兵は、戦死では無く餓死で多くの命を失いました。

湾岸戦争においても、日本にアメリカが最初に要求したのは輸送船です。
イラク戦争でゲリラが襲ったのも兵站輸送の車列です。
パキスタンの混乱が悪化すれば、米軍やNOTOはアフガニスタンで苦戦を強いられます。

結局、戦争を知らない世代が、戦争を語る空しさ(私もですが)。
「世界は平和では無い」と声高に主張しても、リアリティーを伴わない。

■人が描けない現代アニメ■

オリジナルガンダムの魅力は何と言っても「人のリアリティー」でした。
安彦良和の作画の力も去る事ながら、
細かな人物の描写の積み重ねが、血の通ったキャラクターを作り出していました。
ブリッジでブライトの制服を繕うミライの些細な仕草に、リアリティーが宿るのです。
結局、小津安二郎の映画です。

アニメを見て育った世代に、そういう描写は出来ません。
派手な動きやカメラワークは出来ますが。

■アニメ教育■

結局、視聴率が取れるからガンダムを再生産する事は
ガンダムを消耗させてしまいます。
サンライズはオリジナルのコンテンツに挑戦するべきです。
今見ても、カーボーイビーバップの面白さは格別です。

アニメも40年以上の歴史を持つ様になりました。
父親達よ、息子達が萌えキャラオタクになる前に、
歴史的名作をしっかり見せようではないですか。
アニメはジブリとディズニーだけではありません。

ガッチャマンのスタイリッシュな絵作りを、
オリジナルガンダムの演出の上手さを、
ボトムスの重厚な世界を、
イデオンのSF的な面白さを、
エバンゲリオンの革新を
カーボーイビーバップの粋を、
しっかり子供達に伝える事が、
アニメコンテンツを輸出ビジネスとする日本のお父さん達に求められています。

アニメの輸出額は鉄鋼の輸出額より多かったと思いますが?



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