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金融危機のメカニズム・・・単純な話なのです

2011-10-06 14:39:00 | 時事/金融危機
 

■ 金融危機はどうして発生するのか ■

金融危機とか、世界規模の経済の崩壊とか、世界恐慌と言っても
一般(私も含め)の方は、ピンと来ません。

銀行の普通預金や、定期預金。
積立式の生命保険などは、元金が保証されていますから、
いくらなんでも、自分の資産が無くなるとは、誰も思いもしません。


そこで話しを単純にしてみます。

1) AさんはB銀行に100万円預けた
2) B銀行はその資金をC企業に融資した
3) C企業は事業に失敗し、資金を返せなくなった

4) AさんがB銀行に100万円引き出しに行った。
5) B銀行はC銀から資金が回収出来ないのでAさんにお金を返せなかった
6) Aさんにお金を返せないB銀行は、債務超過で経営破綻した
7) AさんがB銀行に預けたお金は、結局帰って来なかった

実際の世の中はこれ程単純ではありませんが、基本は変わりません。
銀行預金には利息が付きますが、
これは銀行が預金者に代わって資産運用をしている訳で、
利息に見合ったリスクを預金者は負う事になります。
それが厭ならば、タンス預金しかあありません。

■ 投資先がデリバティブ市場だったら・・・ ■

銀行が投資する先は、利息が付けば何処でも構いません。

1) 資金需要のある企業に融資する
2) 他の銀行に融資する
3) デリバティブ商品を購入する
4) 商品市場に投資する
5) 自国国債に投資する
6) 他国国債に投資する
7) 株式市場に投資する

リーマンショック後の世界には6京円のデリバティブ残高が存在しました。
日本人の預金総額が1500兆円と言われていましたから、
この額は、日本人の預金の40倍に当たります。

デリバティブ市場だけでもこれだけ巨額の「借金」があります。
この「借金」は、誰かがお金を返してくれと言わなければ、顕在化しません。
リーマンショック後の銀行のストレステストで、
各国の金融機関は、これらのデリバティブ商品の損失を隠し、
取得時の金額で、会計処理しまいた。

リーマンショックの際は個人だけ無く、
金融機関も資金回収を活発化させました。
そうしなければ、自分達が資金ショートする恐れがあたのです。

しかし、われ先現金化を急いだので多くの銀行が資金ショートを起こしました。
そこで、国家が銀行に資金を注入し、破綻から救いました。

■ 新興国で顕在化する「危機」 ■

韓国を初め、新興国でドル不足が発生しています。

1) 欧州の金融機関が危機感を深め、
   新興国への投資を引き揚げている。
2) 新興国の銀行は、融資された金額を返済出来ない。
3) 新興国からの資金回収に失敗して、欧州の銀行の破綻危機が高まる。

4) 資金流出によって、決済用のドルが不足する。
5) 新興国の通貨が値下がりする。

 
■ 金融機関の破綻が始まったら、「止まらない」 ■

この様に、世界は実体経済以上の負債を膨らめていますから、
信用の収縮が発生すれば、一気に実態経済に近いレベルまで、
借金を帳消しなければ、経済のバランスは回復しません。

現在は信用収縮が始まったばかりです。

今後予想されるのは、新興国からの資金回収に失敗した大手銀行の破綻です。

ヨーロッパのギシシャ危機の本質は、
ギリシャやPIGSなどの新興ヨーロッパ諸国に、
銀行融資や国債購入などで資金を貸し手いた銀行の危機です。

国債は信用が高く、流動性も高かったので、
投資としては魅力的でした。
特に、ヨーロッパでは単一通貨ユーロによって
PIGS諸国に投資が集まっていましたから、経済発展が著しく、
国債金利も高めでしたので、PIGSの国債は優良な投資先に見えました。

ところが、リーマンショックによって一旦景気が冷え込み、
資金回収の流れが起きると、PIGSの景気は一気に下降します。
当然、債権市場では、これらの国の国債が安値を付けます。

PIGSの国債は、債権市場で買い手が付かないので、
ヨーロッパの銀行は、売り抜ける事が出来ません。

ヨーロッパの銀行の危機に際して、
ヨーロッパの銀行からの資金回収の動きが活発化します。
ヨーロッパの銀行は、韓国やその他の国々から投資を引き揚げて、
その補てんに充てようとしています。

この様に、一度資金の逆転が始まると、それは止める事が出来ません。

■ 政府が貸し手になるのか?■

リーマンショックの際は、政府あ財政出動して、
銀行に資金を貸し付け、危機の拡大を防ぎました。
市場がある程度、冷静さを取り戻せば、資金回収の圧力は後退します。

しかし、現在起きているのは、お金を貸し付けた国の財政破綻です。

この状況で、世界の国々がもう一度銀行を助ける事は、望み薄です。

■ ギリシャのデフォルトよりは、金融機関の破綻が先 ■

世界はギシシャのデフォルトに注目していますが、
人々が一旦、「自分の預金は大丈夫か?」と思いだしたら、
多くの預金が引き出され、資金回収の流れが加速して、
一気に銀行の危機が深刻化します。

それは資金が貸し出された、末端の金融機関から発生するはずで、
先ず、新興国の銀行が、資金ショートしてきます。

■ 韓国の名前が又上がっている ■

こんな状況にあって、韓国の銀行が危ないと囁かれています。

先日、ドイツ銀行が韓国への融資を引き揚げ様とした所、
韓国の裁判所がドイツ銀行の口座を凍結してしまいました。

多分、こ資金が引き揚げられたら、韓国の銀行が破綻したのでしょう。

■ 天秤の反対側には、巨額の負債が積み上がっている ■

現在世界経済の天秤の向こう側には、膨大な額の負債が積み上がっています。
レバレッジというマジックで、支点が中央から大幅にずれているので、
この天秤はどうにかバランスを取っています。

しかし、一度資金回収の流れが本格化すれば、
支点は反対側に動いてゆきます。(デレバレッジ)

この状態になった時、天秤のこちら側に巨額お資金を載せる者が居なければ、
天秤は一気にバランスを失い、転落します。

綱渡りは、ふらふらして冷や冷やさせますが、
転落する時は、意外と思わぬ所で足を不意外すものです。

ヨーロッパのフラフラに視線を奪われていると、
意外な所から世界は奈落に転落するかも知れません。
決まっている事は、ロープの上には誰も残らないという事だけ。


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