人力でGO

経済の最新情勢から、世界の裏側、そして大人の為のアニメ紹介まで、体当たりで挑むエンタテーメント・ブログ。

オタクアニメが化けた?!・・・大沼心の演出が冴える『のうりん』

2014-02-28 23:12:00 | アニメ
 




【警告】本日紹介するアニメは良識ある大人の方はご遠慮下さい。でも、美濃加茂市は地域振興として推奨しているんだけどね。


■ 「農業高校エンタテーメント」という新ジャンル ■

『銀の匙』が切り開いた「農業高校エンタテーメント」という新ジャンルですが、はやくも追随する作品の登場です。

ラノベ原作の『のうりん』の舞台は岐阜県立田茂農林高等学校(たぶん美濃加茂市)。

農業高校に集う個性的な生徒達の物語です。

■ オタクアニメが化けた!! ■

『ココロコネクト』の大沼心の監督作品という事で期待していたのですが、3話目までは、ちょっとエッチなオタクアニメ・・・。

でも、「バカらしさ」が振り切れていて、いい子ちゃんぶっている『そにアニ』よりも見ていて楽しい。

ところが4話目からこの作品が大化けします。



立田茂農林高校の2年生、畑 耕作(はた こうさく)はアイドルの草壁ゆか(くさかべ ゆか)の大ファン。

ところが草壁ゆかは突然芸能活動を止めてしまいます。失意の耕作の前に現れたのは木下 林檎(きのした りんご)という転校生。でも、これどう見ても草壁ゆか・・・・。無口な彼女は、何故だか耕作にだけに懐きます・・・。いえ、耕作LOVE状態。



りんごの登場に心穏やかで居られないのが、自称「耕作の嫁」の幼馴染の中沢 農(なかざわ みのり)。小さな山村出身で耕作の幼馴染の農(みのり)は、リンゴに農業勝負を挑みます。勝負って・・・スク水着て田植え対決かぁーーー!!



・・・ここまでが3話までの内要。農(みのり)が健康的なポッチャリキャラで、岐阜弁(美濃弁?)で話す農(みのり)の魅力だけが取り柄の様な作品でした・・。

ところが、りんごの「アイドル活動を休止」の理由が明かされる4話目から、ただのオタクアニメとバカに出来なくなります。



畑を荒すサル退治がメインの第四話。サル退治に呼ばれた吹き矢の名人のキャラ立ちだけで抱腹絶倒!?

上の画像でピンと来たアナタは、オタク決定!!

一方、サル退治のドタバタと同時進行するのは、絶対に笑わないリンゴを笑わせるという作戦。ところがリンゴは絶対に笑ません。いえ、笑えないのです・・・・。

アイドルだった彼女は、何故だか「笑えない」という原因不明の症状に陥ります。最初は表情が暗い程度でしたが、だんだんと芸能活動にも支障が出て、とうとう活動を休止します。そんな彼女の事情を知った耕作達は、リンゴをとある場所に連れて行きます。

バスが付いた先は・・・作物の生育しない畑。無理な連作によって土壌の活性が失われてしまた畑です。その土を触ってリンゴが言います。「パサパサしてる・・・」

一方、その畑の横ではトマトがタワワに実っています。実はこちらの畑も以前は「死んだ土」の畑でした。代々、3年生達が農業研究のテーマとして土壌の再生に取り組み、どうにかトマトが実る土まで回復させたのです。

耕作達に言わせれば、未だ完全に回復した訳では無いのですが、それでも真っ赤に熟したトマトを口にしたリンゴは微かに微笑みます。

枯れてしまった土壌でも再生する・・・。
その事実が、リンゴに希望を与えたのでしょう。そして、3人の友達のリンゴを思う心に振れた瞬間でした。



■ 「ドタバタ」から「シリアス」の展開が見事 ■

『化物語』や『まどか☆マギカ』の新房監督の元で修業を積んだ大沼心監督の演出が上手いなと思ったのは『ココロコネクト』からでしした。

「テンポの切り替えの上手な監督」というのが第一印象。特に「シリアス」な展開の「らしさ」の作り方が上手い。これは『私がモテないのは全部おまえらが悪い』でも如何なく発揮されています。

のうりんでは「シリアス」の表現は「ほんのり」と抑え目な感じですが、コメディーパートとのコントラストが、この「ほんのり」としたシリアスを見事に引き立てています。アニメの特性を上手に生かした演出と言えます。

■ 農業高校に通う娘の日常だった・・・ ■

そんな、ドタバタだけど、ちょっと好い感じの『のうりん』ですが、娘に言わせると「これ、私達の日常」だそうです。だって彼女は農業高校ですから・・・。

畜産科を舞台にした『銀の匙』よりもシンパシーを覚える様です。

「農業における三大栄養素とは何か?」というセリフに、「NPK!!窒素、リン酸、カリ!!」って大声でモニターに応えている姿は微笑ましいものがあります。

一方、飛騨高山出身の家内は、岐阜弁のチェックに余念が有りません・・・・。


■ 「のんロス」状態でイマイチアニメに夢中になれない・・・ ■

前期のアニメがあまりに素晴らしかったので、今期はアニメにイマイチ夢中になれません。尤も、前期から継続の『サムライフラメンコ』『キルラキル』『凪のあすから』はあいかわらず面白いですし、『ゴールデンタイム』もイタ可愛いいヒロインが魅力的。

ただ、「のんのんびより」の無いアニメなんて・・・。

そんな、イマイチ乗れない今期アニメですが、注目すべきは横手美智子の活躍でしょうか。
のうりんではシリーズ構成を担当していますが、その他には『ウィッチクラフワーク』や『凪の明日から』の脚本も何本か書いています。



<追記>

一話目から色々ヤバイ担任のベッキー先生。
最近出番が少ないと思っていたら8話はベッキー回。
イヤー・・・これ放送していいんですかね・・・・色々と・・・。

腹筋が崩壊しました・・・・。

しかし声優さんって、凄いですね。
斎藤千和さんって方だそうですが、『化物語』の戦場ヶ原ひたぎ役もやられているみたいで・・・・ギャップあり過ぎ・・・。凄い・・・。

最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (よたろう)
2014-03-01 06:22:58
『何気ゼーガペインのキャストと被ってる』

横手氏はパトレイバーや銀魂等の単発ギャグ回は良いと思いますが
アニメ版戦場のヴァルキュリアやRDG、特撮ならゲキレンやゴセイの大戦犯でもあり
個人的にシリーズ構成は向いてないイメージです。
直接関係ありませんが戦ヴァルに至ってはその後原作ゲームが急速にオワコン化‥私の心象は更に悪化してしまいました。
まぁ、今回は原作との相性は良いとは思います。
銀の匙が「ありそうで無い」世界観に対して
のうりんは「あり得ないドタバタギャグにちょっぴりシリアスで生々しい描写」という古風なギャグ漫画の文法が用いられて個人的には後者の方が好みですね。
あと農役の花澤さんは方言キャラ多いですね。
てーきゅうで関西弁、ズヴィズダーでは広島弁と。
地元民からも概ね好評みたいですし、コッペリオンの戸松遥さんとは正反対というか‥何故?

今期はログホラは相変わらず面白と思いますし
MXの日曜アニメラッシュではノブナガンとスペース★ダンディが好みですね。
前者はキルラキルには及びませんが良いB級テレビ漫画って感じです。
レトロフューチャーな小道具と原作者の怪獣特撮好き、主人公がミリヲタ女子なのがツボです。
後者は1話の段階では「渡辺監督スベったな。」でしたがゾンビ回辺りから癖になりましたw
あとヴヴヴで暴れ回った大河内氏が1番マトモな脚本なのがなんとも‥でもカオスギャグが本作の真骨頂という‥。

『最近 倉田のようすがちょっとおかしいんだが』

サムメンコは流石に飽きました。
総理大臣と戦う件は真顔で見てました、怒りも悲しみも湧きませんでした‥
私の周りでも「倉田はこんな事してないでR.O.Dのノベライズ完結させろ!」「戸松は正真正銘本物のプリキュアになった。こんな茶番に付き合う義理はない!」
という声も耳に入りますね‥。
返信する
Unknown (よたろう)
2014-03-01 06:59:55
『ラストエグザイルは花澤さんとキタエリのデビュー作でもある』

斎藤千和さんは長いスパンで代表作に恵まれてますから
ファンの世代毎にイメージが結構異なりますね。
私はラストエグザイルのラヴィや月詠の葉月、ケロロ軍曹の夏美ですかね。
シャフトアニメでは神谷浩史とよく共演するイメージです。
ラストエグザイルはゴンゾが最高にクールだった頃の傑作です。
オープニングの段階で神懸かってます、スチームパンクが好きなら是非。
今やってる飛空士がショボく見えます。
銀翼のファム?見なくて良いです‥。
返信する
Unknown (人力)
2014-03-03 01:16:53
よたろう さん

『レッドデータガール』は酷かったですね。特撮関係もボロクソに書かれていますね。

一方、『イカ娘』は素晴らしかった(水島勉の功績かも知れませんが)。

オリジナル長編よりは短編、単発、原作物で光る作家なのかもしれません。ただ、『カーボーイビーバップ』や『パトレイバー』の様な作品も書けるし、『たまこまーけっと』や『TARI TARI』の様な作品も書けるので、岡田麻理、吉田玲子、小林靖子らに比べると守備範囲が広いですね。その反面、作家性というか個性は薄い。『のうりん』では6話、8話の突き抜けた回は、実は横手の脚本じゃないんですね・・・。

返信する
Unknown (人力)
2014-03-03 01:33:21
『最近 倉田のようすがちょっとおかしいんだが』・・・確かに!!

サムライフラメンコは実は相当本気で書いていて、彼なりに感じている「世の真実」を伝えようとするあまり後半は空回りしている感じ。これはヴヴヴの大河内氏と同じ失敗。

サムライフラメンコの今週のフラメンコ星人の回は、実はSFとしては王道だし、内容としては『グレンラガン』の後半に非常に近い。しかし、1話や2話で出来る話ではありませんね。どうしても『レベルE』的なネタモノに見えてしまいます。

サムライフラメンコはもう一度記事で取り上げるつもりですが、テーマは「個人の正義」と「国家や世界の正義」の対立でしょう。視聴者が感情移入しやすい様に、「個人の正義」の側に立っていますが、実は「国家や世界の正義」を必ずしも否定していない所がミソ。アポロの月着陸船が意味深に描れたりする当たり、『陰謀論』的な匂いがプンプンしますが、倉田氏なりの真剣さを私は感じています。

ただ、それをエンタテーメントに昇華させ切れていませんね。富野氏の様に、思想が妄想の暴走となってエンタテーメント化する作家は稀有な存在なのでしょう。

一方、『最近俺の妹・・・』は倉田脚本的な冴えが全然無いですね。原作がツマラナイのかも知れませんが、ハッとさせられる瞬間が皆無。

今期の一番の期待外れは『ウィッチクラフトワーク』。1話のぶっ飛び具合は良かったのですが、完全に出オチ状態の作品。水島勉、吉田玲子、横手美智子とスターが揃いながらも完全に肩透かしですね。その対局として『のうりん』があるのかなと・・・。

原作物をアニメ化する場合、いわゆる原作厨なる存在が煩わしいのですが、大沼心に関しては『ココロコネクト』も『私がもてないのは・・・』も、『のうりん』も、原作組の評判が良いのは特筆すべきかもしれません。

たかがアニメですが、されどアニメ。
作り手は真剣ですし、見ている人達もそれなりに真剣です。時に真剣さが空回りしてしまいますが、それも含めてアニメなのかなと思ったりしています。
返信する

コメントを投稿