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「荒い値動き」の理由が異なるダウと日経平均

2019-02-19 01:41:00 | 時事/金融危機
 

■ 「荒い値動き」のダウと日経平均 ■


NYダウの株価と出来高



日経平均の株価と出来高

私は投資とは無縁ですから、株価などは天気予報の気温程度の認識しかありません。だから、気温の変化から季節の推移を知る様に、チャートを眺めながら景気の推移を楽しむ。

「今日は昨日より寒いね」とか「明日は暖かくなりそうだ」などと言いながら天気予報を見るのが一般の投資家だとすれば、私などは「去年よりも今年の冬は暖冬になりそうだね」などと言いながら株価チャートを眺めている。

2017年までは「ゴルディーロックス相場」などと呼ばれ株価の値動きが少なかったダウですが、2018年からは荒い値動きが続いています。それに吊られる様に日経平均株価の値動きも大きくなっています。

■ ダウと日経平均の「荒い値動き」の原因が違う ■

株価だけ見ていると、ダウも日経平均も同様に「荒い値動き」で、日経平均はダウの影響を受けているとも言えます。

しかし、出来高を比較すると、全く異なる事に驚きます。ダウは2018年以降、顕著に出来高が拡大しています。大量の資金が動く事で株価の変動幅が拡大している事が分かります。

一方、日経平均の出来高は、むしろ少なくなっています。なのに値動きが激しくなっている。

■ 日銀やGPIFが大量に株を保有する事で値動きが荒くなる日経平均 ■

日銀やGPIFは大量の日本株を保有していますが、日経平均に影響を与え易い値かさ株も当然大量に保有しています。ファーストリテーリングやソフトバンクなどです。

日銀やGPIFは株を長期で保有しますから、これらの値かさ株の市場での流通量は当然減ります。すると、少量の株の売買でも大きく値動きが起こります。海外勢はこの状況を理解していますから、先物市場を絡めて日経平均株価を自由に操作する事が出来る。

1) 海外の投資家が日本の値かさ株を売り仕掛け、日経平均を下げる
2) 連続して下落が続くと、日銀とGPIFが株を大量に買い入れる
3) 海外勢は日銀がGPIFが底値を支えてくれるので安全に日本株を売り抜ける
4) ある程度値が下がった所で、値かさ株を買い、日経平均を吊り上げる

まあ、こんな事の繰り返しで、日経平均は自由に海外勢に操作されているのです。そしてカモは日銀とGPIF。

■ 米国への資金還流によって加熱するダウ ■

一方、2018年以降の出来高を見ればダウは資金流入によって加熱感が有ります。これは世界の資金が米国に還流している事の裏返しです。

米国内でダブついている資金は、金利上昇によって損失が発生する可能性が有る債権市場に滞留し難くなっている。昨年末以降はジャンク債市場は新規の社債の発行が極端に減り始めています。結果的に株式市場に資金が集中し易い状況です。

この様な状況で本来なら株価は右肩上がりに上昇するのですが、FRBの利上げが株かの上値を重くしています。FRBの利上げ予測に過剰に反応して、大量の資金が株式市場から出たり入ったりする事で、株価の動きが荒くなっているのが現在の米株。ただ、全体的には米国への資金還流が続いているので、株価は大きく下落しても、ジリジリと値を戻して行きます。

■ 株価を支えているのは庶民のお金 ■

個人の投資家は「ボラが大きい方が儲かる」などと言っているかも知れませんが、相場の動きが荒くなるのはバブル崩壊の前兆です。

多分、バブルを仕掛けた連中は、とっくに資金を引き揚げています。現在の市場は金融緩和で膨れ上がった「実体の無いマネー」が徘徊しているだけの状況でしょう。これは、バブルが弾ければ消失するマネー。

面白いのは「実体の無いマネー」を最初に利用していたのはバブルに仕掛け人達ですが、彼らはとっくに利確して、今は個人の投資資金や年金資金などが株価を支えています。これらの資金はバブルが崩壊すれば棄損しますから、バブルの仕掛け人は、緩和資金を利用して個人の資産をかすめ取った事になります。

幾度となく繰り返される「バブルの仕掛け」ですが、そろそろ収穫祭というか、清算の時期が来るのでしょう。「荒い値動き」は収穫祭のファンファーレなのかも知れません。


【追記】

米社債市場ですが、2018年は投資適格の中でも最低のランクのBBB格の金利上昇(価格下落)が顕著で、さらに年末にはジャンク債市場の新規起債がほとんど行われない状況。これはFRBの利上げで金利差が縮小して、リスクに見合う金利が得られないと判断された事と、企業の債務の拡大に警戒感が高まった事に起因しています。

ところが、今年に入ってから、ジャンク債市場とBBB格の社債は人気を取り戻しています。原因は簡単で「価格が下がったから利回りが期待できる」と判断された事と、FRBが利上げ速度を緩めるのでは無いかという観測(期待)が高まった事。

市場に溢れるマネーは少しでもマシな金利に飢えていますから、何かに怯えて引き上げられたマネーも、ほとぼりが冷めと再びリスクの高い市場に戻って来ます。

ところで、私が定点観測しているゴールドマンサックスの債券ファンドの「妖精物語」ですが、投資先の上位にBBB格の社債が登場する様になりました。それと、フレディーマックなどのモゲージ債がいくつも登場しています。こういった「運用をせざるを得ない」資金が、リスクマネーを供給していますが、元を辿ると日本の老人が銀行に騙されて買った投資信託だったりします。

椅子取りゲームの椅子が減る中で、ゲームを降りた人達は勝組となりますが、ゲームに参加している事にすら気づかない個人が何時も犠牲になります。