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リーマンショックから10年・・・皆が「ソロソロ・・」と思うから崩壊するバブル?

2018-09-17 11:02:00 | 時事/金融危機
 

■ リーマンショックから10年、そろそろ・・。 ■


リーマンショックから10年が経過しました。新聞なども「バブル崩壊が再び近づきつつあるのか?」的な論調が散見される様になりました。

アメリカの過去のバブル崩壊が、ほぼ10年ずつ繰り返されて来たという「経験則」から、「バブル崩壊は近い」という私の様な短絡的な予測は、今後増えて来るでしょう。


■ 「そろそろ」と皆が思うとバブルは崩壊する ■


ダウが市場最高値を継続するなど、市場はバブルの雰囲気を漂わせtえいますが、薄く伸び切った風船でも、指で押す程度では、なかなか破裂しません。

風船が破裂するには二つの原因が考えられます。

1) 空気を入れ過ぎて破裂する
2) 針先など鋭利な突起物が刺さる事で破裂する

空気の入れすぎとは、資金の過剰供給の事を指しますが、これだけでは中々破裂しないのがバブルの面白い所。バブル的状況にあっても「まだ大丈夫」とか「もう人稼ぎ」と考える人が多い間は、市場は簡単には崩れません。


一方、風船が有る程度膨らんだ状態では、針先などのほんの小さな穴が風船を破裂させます。これは風船の表面のゴムが薄く伸び切っている為に、小さな穴から一気に亀裂が風船表面に広がるからです。

「もうしばらくバブルが膨らむ」余地が在ったとしても、それなりに膨らんだ風船は、針の一刺しには耐えられないのです。

人々が「ソロソロ・・・」と身構え始める時には、風船の表面は相当に薄く伸び切っています。こうなると針の一刺しの様な些細な原因でも風船は容易に破裂します。

この「針の一刺し」は往々にして〇〇ショックなどと呼ばれます。

■ 問題は「針の一刺し」では無く、ゴムが伸び切っている事 ■

〇〇ショックなどと呼称すると、バブル崩壊の原因がそこに在る様に錯覚します。しかし、問題の本質はゴムが伸び切るまで風船を膨らませた事に在ります。〇〇ショックというのは破裂の切っ掛けに過ぎず、伸び切った風船は様々な要因で破裂します。

リーマンショックを例に取るならば、リーマンブラザーズの破綻は切っ掛けの一つに過ぎず、仮に、あの時、リーマンブラザーズを米国政府が救済したとしても、別の問題によって金融危機は起きていたでしょう。

風船のゴムが伸びる原因は、中央銀行の資金供給です。風船の破裂を防ぐには市場への資金供給を減らせば良いのですが、そのタイミングが遅れると、「資金供給の低下」が針の一刺しの原因になります。

■ 「好調な米国経済」というオマジナイ ■

「米国の実体経済の指標は悪く無いからバブルなんて起きていない」という主張をする方もいらっしゃいますが、バブルが継続しているから実体経済の数字もお化粧されているとも言えます。

現在の世界経済は実体経済よりも資産市場の規模の方が巨大ですから、実体経済は資産市場に従属的です。世界の資金循環が活発だったり、米国へ資金還流が起きている間はアメリカの実体経済は好調のハズ。

昨今の米国経済のエネルギー元は、新興国市場から回避し始めた資金が米国内に還流している事。程よい米国債金利の水準が資金還流を手助けしています。

■ 10年債金利3%という心地良い金利 ■


米国の実体経済の好調予測でインフレが予想されると米国債が売られ金利が上昇します。一方、10年債金利が3%に近づくと、新興国から回避した資金は米国債に流れ込むので金利の低下要因になります。

こうして、程よい金利が持続する事で、FRBは米国債金利の急上昇に煽られる事も無く、淡々とFRBのペースで金利を上げる(正常化)する事が出来ます。

金利を上げるにしても「FRBは市場の期待を裏切る速度では金利を上げない」という信頼感が有る内は、市場は平穏を保つ事が出来ます。


■ 気が付いたら結構金利が上がっていた・・・ ■



トランプの保護的な通商政策は、輸入物価の上昇によってアメリカ国内の物価を上昇させます。これは金利上昇を促します。


FRBはインフレ抑制の為に金利のゆるやかな上昇を繰り返しますが、ふと気づけば金利が結構上昇していた・・・なんて事態も起こり得ます。

そうして人々がふと我に返った瞬間、「ソロソロ」という恐怖が急激に伝搬して行きます。バブルが弾ける前に売り逃げ様という動きが活発化したら・・・崩壊は一気に進行します。


結局、米の実体経済の動向よりも、FRBの利上げに市場が反応を強めるなならば、「ソロソロ」なのかも知れません。