『あざみの歌』は まだ歌えますか

泣いて、笑って、歌って介護!!そんな日常の過去の記録と
新たに今一度自らを見つめてぼちぼちと戯言なりを綴ります。

春の雨

2006年04月06日 03時26分07秒 | 日々の出来事
下宿先へ戻る愚息を玄関先で見送っていると、いつもなら振り返りもせずに肩を揺らして遠くなるのに、ふいに桜の木を見上げてこちらをくるりと振り返った。すぐにまた桜を見上げるので、「な~にやってんだ、あいつは?」眉間に皺をよせつつ目を凝らしてみると、桜の花弁ではなく花そのものが、ぽとり・・・ぽとりと落ちている。あぁ、すずめの悪戯か・・・。花の蜜をおやつにしているのだったっけ?昨年の今頃どこかに書いてあったけど、詳しい内容は覚えていない。・・・気になる。注意してみるとあちらこちらに桜が花のままで落ちている。

あ~あ、せっかく桜に生まれたのだから風と戯れて散りたかろうに。意にならないのは人の世ばかりじゃないんだなぁ。

かぁちゃんは近頃比較的夜(正確には丑三つ時はすっかり過ぎてから)眠るようになってきた。相変わらず首だけをもたげて足元に見える誰かとお喋りはしているし、夜中の1時を過ぎるとふいに、♪や~まに~はや~まの~♪ と震える声で歌いだすのは変わらないけれど(笑)最近では日中はほとんど言葉を発しなくなっているのに、半分寝ている状態ではしっかりと歌を歌い、日本語に聴こえなくても流暢に語り続けるのがとても不思議だ。何を喋っているのか一応耳を済ませて聞いているのだが、時には分かる言葉もある。昨夜は「あかんだらぁ、あかんだらぁ。」を連発していた。故郷の言葉で「駄目でしょう?」と言うような意味なのだが、呪文のように繰り返されたら聞いている私はたまらない。笑いのツボにはまって声を出さないように笑いを堪えるのに必死・・・夜中にひぃひぃ言いながら一人でお腹を抱えてる自分の姿を客観的にみると、こっちの方がかなりヤバイ・・・まったく、往生しまっせ~。

しかし、「あかんだらぁ・・・。」って何を?何が駄目なのだろう?そういえば、寝ながらシーツをを噛んでいる事が多い。さすがにシーツを噛み切ってしまう事はないが、布団の生地は歯形に所々破けてしまっている。目覚めている時の感情表現は「うふふ。」と笑うだけで一見穏やかなように見えるが、本当は思うように動かない体や心をもどかしく思っているのかもしれない。ただ単に口許に触れるから口にしてしまうのかもしれないが、もしかしたら表現する自由を失ってしまったのが悔しいのかもしれない。


降り続く雨の中、桜の木の下をくぐって歯医者に出かけた。「かぁちゃん、桜だよ!」最初は無視していたかぁちゃんだけど、五回目くらいにやっと気付いて立ち止まった。「上だよ、上!」傘が邪魔したので少し外すと、花をじっと見つめてこくりと頷いた。再び傘を差しかけた拍子に雨粒がかぁちゃんの頬にぽたりと落ちて・・・ここでようやく「うふふ。」と笑った。

・・・かぁちゃんの時の流れは、最近益々速度を緩めたようだ。
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桜咲く

2006年04月04日 09時46分45秒 | どうでもいい話
ようやく桜が咲いた。・・・のに気付いたのが一昨日の夜中だった。
集合住宅の敷地内の桜は川風に吹かれて近隣より若干開花の時期が遅れるのは例年の事なのだが、今年はつぼみが膨らみ始めてから季節外れの寒さですっかり凍りついてしまったようで、いつ咲くのやら気になっていたが命の芽吹きは健在。
 冬の間、枯れてしまったような木や草が復活し始めるこの季節は、眠りを誘う柔らかな陽だまりの暖かさとは相反して、自然の力強さを目の当たりに出来て私も何やら力が湧いてきた気がする・・・。

春だ!春だぁ!!と浮かれ気分で花見をしてもいい・・・でしょ?
良い事と悪い事とは同じ重さであるんだよと、昔誰かかが教えてくれたけれど、それは気持ちの持ち方の事でもあったのかなぁ・・・良いことばかりでも悪い事ばかりでも、どんな事でもそればかり、それだけになってはいけないって事なんだろうなぁ・・・って人生のUターン地点を過ぎてもまだこんな事を言ってるなんて少々情けないが(苦笑)

いずれにせよ、今は桜が呼んでいる~!ふらふらと出向いて行くのを迷っていてはいけない。すぐに花散らしの雨が降る。
一花咲かせて思いっきり人を楽しませ、心残り気にちらちら散って、後に緑の葉を残す・・・何やら心がありそうな・・・夜中にそっと語りかけたら応えがありそうな、そんな不思議な気持ちになる・・・決して楽しいばかりの思い出ばかりじゃないけれど、二度と笑顔で見れないと思った事もあるけれど、桜が咲くと心ひかれてしまうのは、年毎に枚数を重ねる心の風景写真に必ずある花だからなのだろう。

余計な言葉はいらないや~。
桜の花の下をくぐりながらひとっ走り買い物に出かけよう。

ん~、窓越しに手に届く一枝を手折りたい誘惑に負けないようにしなきゃ・・・かぁちゃんじゃないけれど、花弁を口に運びたくなり・・・ませんか?
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