ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

ベルニーニ 「聖テレーザの法悦」

2017年02月22日 |  ∟イタリアの美術館

 ※ 続・ローマとナポリにバロックの奇才を訪ねる旅 (17)

 バルベリーニ通りを左へ、坂道を上ると9月20日通りと交わる辺り、サン・ベルナルド広場と呼ばれている。

 その一角、モーゼの噴水を前にするのが、バロック建築の先駆者のひとりカルロ・マデルノ(1556- 1629)が、ボルゲーゼ枢機卿の依頼で建てたサンタ・マリア・デッラ・ヴィットリア教会。
 ちなみにマデルノ、サンピエトロ大聖堂のファサードの設計で知られている。

 この小さな教会の左翼廊、コルナーロ礼拝堂にバロック彫刻の最高傑作のひとつジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(1598-1680)の 「聖テレーザの法悦」がある。

 主題は、<シエナの聖カタリナ>とともに、最初の女性教会博士として列聖された聖テレジアの奇蹟的な法悦、脱魂体験。

 神に魂を触れられることによって恍惚・官能の表情を浮かべる聖女テレーザ。
 それに対置して、微かな笑みを浮かべ乍ら聖女の心臓に火の矢を突き刺す天使のサディスティックな表情が、刺激的に表現されている。

 まさに、聖女が幻の中に見た天使によって自身の心臓に火の矢を突き刺されるも、激しい痛みと共に神の愛撫による絶対的な恍惚・エクスタシーを感じた瞬間を見事に切り取っていて声もない。

 自身 「大理石を純白の密蝋のように扱うことができる」と高言したベルニーニ。
 その彼のもうひとつの傑作 「<福者ルドヴィカ・アルベルトーニ>」(サン・フランチェスコ・ア・リーパ教会)と同様、神との性愛をイメージし乍らも、聊かも聖性を失わないその表現力は、まさにバロック芸術の真髄を示している。
 Peter & Catherine’s Travel. Tour No.1267


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