ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

続・レンブラント ‐ アルテ・マイスター(7)

2016年03月11日 |  ∟ドイツの美術館

 ※ ドイツ/ドレスデン国立美術館編 ‐ 中欧美術館絵画名作選(9)

 オランダ絵画黄金期の巨匠レンブラント・ファン・レイン(1606-1669)の続編。

 その彼が、1635年に描いた 「<微笑むサスキア>」から六年後の41年に描いたとされる 「フローラに扮したサスキア」。

 最愛の妻サスキアの最後の肖像画とされている本作、死期が迫りくるなかで描かれたサスキアは、髪の艶も褪せ、目の下には隈を浮かべ如何にも弱々しく見える。

 そんな状況でレンブラントは、穏やかな微笑みを浮かべ一輪のピンクの花を、気丈にも差し出すサスキアの姿を切り取っている。

 ふたりが結婚した34年、題も同じ 「<フローラに扮したサスキア>」(エルミタージュ美術館蔵版)で、色とりどりの花々に装う新妻サスキアを描いている。

 そこでの彼女は若さが溢れ、見る者に、ポーズと衣装から妊娠していることを覚らせ、ふたりが幸福の絶頂にいたことを窺わせる。

 また、翌35年にも、制作途中で聖女ユディトからフローラへ変更したとされる 「フローラに扮したサスキア」(ロンドン・ナショナル・ギャラリー蔵版)で、圧倒的な存在感を示すサスキアを描いている。

 それに対し本作では、34、35年に描かれた作品との相違が顕著に見て取れ、キャンバスにサスキアへの永遠の愛を込めたレンブラントの想いが胸を打つ。

 とまれ、カタリナ が愛して已まなかったレンブラント描く三つの 「フローラに扮したサスキア」。
 僅か八年、その余りにも早い別れに、歳月が時にして残酷な現実を投げかけることを、本作を前にあらためて思い知らされるのである。
 peter & Catherine’s Travel. Tour No.1105

 ※ 「レンブラント ‐ アルテ・マイスター(6)」へは、<コチラ>からも入れます。


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