さて、モネを訪ねる旅、何処から始めれば?
印象派というスタイル、美術分野の表現様式が生まれたのは、モネが出展した画題に拠ることは有名。
ならば、その作品を展示するマルモッタン美術館を出発点とするのが相応しい。
美術館を訪ねたのは、午後にパリ東駅(写真上)からストラスブールに移動する日の午前という慌ただしい時間。
ところで、駅名から想像すれば東駅、パリの東部にある駅と思ってしまうのだが、ユーロスターやタリスなどの国際列車が発着するパリ北駅(写真下)と並んでいるのが可笑しい。
フランス南東部のスイス・イタリアに国境を接するローヌ・アルプ地方に、フランス第二の都市リヨンという街がある。そのリヨン駅という名前の駅がパリの東部にある。
パリには七つの鉄道始発駅があるらしいが、なかに行く先を駅名にしているところがあって、差し詰め、天王寺駅を和歌山駅と呼ぶようなものか?
東駅も、ドイツとの国境を接するアルザス地方、フランス東部への列車が発着する駅なのである。
話がそれたが、ホテルから地下鉄で、随分と名前が長いビブリオテーク・フランソア・ミッテラン駅に出て、RER・高速郊外鉄道で、美術館の最寄り駅であるブーランヴィリエ駅に向った。
RER‐C号線、ヴェルサイユ宮殿や印象派の画家たちが名作を残したアルジャントゥイユ、ポントワーズ方面などへ向う電車で、利用された方も多いと思う。
名前負けしたような余り早いとも思えない二階建ての高速鉄道、市街地はほぼセーヌ川の南岸に沿って地下を走る。
途中、サン‐ミッシェル・ノートルダム駅やミュゼ・ドルセー駅、シャン・ド・マルス・トゥール・エッフェル駅など、地名に馴染みがあるものの、舌をかみそうなやたら長い名前の駅を過ぎ、セーヌ川を横切る辺り、エッフェル塔が間近に車窓を横切る。
ブーランヴィリエ駅を出て西へ。
辺りには高級マンションが並び、ブローニュの森へと続く雑木林の公園が広がる。
そのなかほど、青い幟が慎ましやかに架かる建物が見える、マルモッタン美術館である。