何十年ぶりという好天に恵まれたゴルデンウィーク。
その連休が終わった翌々日の7日、絶え間なく雨が落ちる生憎の空模様だったが、茶道のお仲間と奈良の法華寺に出かけた。
奈良は今、平城遷都千三百年祭で様々な行事が行われている。
法華寺では、光明皇后千二百五十年大遠忌法要が執り行われ、裏千家お家元が献茶された。
降りしきる雨の中、お御堂の前に特別に設えられた舞台で、古式に則った舞楽が奉納された後、声明が静かに響くなか、厳かに二椀を献じられた。
私が茶道を好きになったのは、遠い昔のこと。
お茶をいただく時、茶碗を二度廻す所作に意味があることを知ったからだ。
人間にも身体の前と後ろがあるように、茶碗にも正面という表の顔がある。
その、お茶碗の一番良い顔の正面でいただくのは神仏。
だから、私たちは敬虔な気持ちで、正面でいただくのを遠慮し、二度ほどお茶碗を廻し正面をはずす。
廻すことで、私もお相伴させていただきますと、一杯の抹茶を感謝しながら、神仏とともにいただく感覚がよい。
日曜礼拝、ミサの最後に神父から、「キリストの体」として与るホスチア(聖体)とワイン(聖血)。
それにも似た感覚があって面白い。
面白いといえば、茶道は、陰陽にもとづき道具を置くことが多く、一つひとつの所作にもその陰陽と関係がある。
そのことについては、また、別の機会に書いてみたい。()