聖人

ボクが米沢に出張してまで、何の作業をしているのかというと、商品を入れるプラスチックケースをハンダゴテで溶かしているのである。

写真下のように、ケースの蝶番部分には金属のピンが差してあるが、これが抜け落ちることがないよう、写真上のように穴をハンダゴテで溶かして閉じている。

他に、ウレタンをカッターで切って加工とか、一つ一つに名札を取り付けたり、簡単だが面倒な作業を色々としている。すべて顧客の要望である。

こういう面倒な作業を、「出来ません」と断ってしまうのは簡単だ。会社として、こんな作業は受けていないし。しかし、せっかくウチの商品を選んでくれたのだから、できるだけのことはしてあげたいじゃないか。実際、これらの作業は無償で受けているし、かかる経費もボクのポケットマネーから出ている。

そこまでしても顧客に喜んでもらおうとは、なんと誠実な男なのか。さすが、釣り仲間に聖人と呼ばれてしまうだけはある。仕事の鬼は聖人でもあったのだ。

腹黒い男や悪辣な貴族に、爪の垢を煎じて飲ませたいものだ。