幸福学専門30年 筬島正夫が語る本当の幸せ


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セールスマンの死(限りある身に限りなく欲)

2009-02-28 | 煩悩
セールスマンの死』(原題:Death of a Salesman)という
戯曲を知ってますか?

この作品は、マリリン・モンロー最後の夫でもある劇作家アーサー・ミラー
によるものでピューリッツァー賞
(新聞等の印刷報道、文学、作曲に与えられる米国で最も権威ある賞)
を受賞した作品です。
1949年初演前のフィラデルフィアにおける試演では、観客が涙を流して
拍手もできなかったそうですよ!

そこには人生のリアリティが描かれています。
その一つが「欲しいものを手に入れても寂しい気持ち」です。
以下『セールスマンの死』のワンシーン

(ビフ・・・・・・主人公ウイリー〔63歳〕の長男
 ハッピー・・・・ウイリーの次男)

ビフ   おまえは満足しているのか、ハッピー?
     うまくいっているのか、え? ご満足なのか?

ハッピー どんでもない!

ビフ   どうして? 稼ぎはいいんだろう?

ハッピー 今おれにできることったら、商品部の主任が死ぬのを待つだけよ。
     それに、主任になったところで、どうなんだい?
     やつはおれの親友で、ロング・アイランドにすてきな家を建てた
     ばかりだ。
     それなのに2ヶ月ほど住むと売りとばし、また別なのを作っている。
     できあがってしまうと、おもしろくなくなるんだな。
     どうもそうらしい。
     いったい何のために働いているのか、わからないんだ。
     ときどきアパートで、じっと独りきりで座って、払っている家賃のこと     を考える。ばかげているよな。
     でも、それがおれの望んていたことなんだ。自分のアパート、自動車、     大勢の女。
     そのくせ、やけに寂しくてしようがねぇんだ。」


『セールスマンの死』の主人公ウィリーはセールスマンですが、
借金を返したり壊れたものを修理したり買いなおしたりで精一杯の生活です。

ウィリーの仕事が何のセールスなのかは、明かされていません。
それは、ウィリーが自分自身を商品としていることの暗示だと言われています。

物語の中で、ウィリーはこう言います。

「考えてみるとだね、一生働きつづけてこの家の支払いをすませ、
 やっと自分のものになると、誰も住む者はいないんだな」


ああ、人はどこまでも満ちることのない欲を追い求めては
苦しむのでしょう。
すべて置いていくものと引き換えに私たちは何を得ようとして
いるのでしょう?

「泣くも夢

  笑うも夢ぞ

    人の世は

 限りある身に

   限りなき欲」



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