尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

フェルメール「青いターバンの少女」の謎

2006年01月05日 20時01分40秒 | 好きな詩と詩論抄
 【CAMERA OBSCURA及び、私というBLACK BOX】

この絵は有名なフェルメールの「青いターバンの少女」です。
日常的な女の人を題材としているにもかかわらず、色合いといい深い陰影といい、瞳や真珠の耳飾りの光点の異様な明るさといい、謎めく不思議な趣があります。
敏感なあなたなら彼女の視線に少し恐いような、
「この世ならざる者」の視線を感じたかも知れません。
それは元をただせば作者フェルメールの特異な視線でもありますが、私達がこの絵を見るときにいわば彼女に魅入られて共有してしまう視線です。
彼女の視線と私達の視線は確かに交わっているのですが、異世界(異空間)の者同士として「ねじれて交わっている」のです。
(極論すれば、その美しい少女が生きているとすれば私達は死んでいるし、少女が死んでいるとすれば私達は生きている…と云った交わり方です)

そのためでしょうか、フェルメールは、写真機の前身である「暗箱(カメラ・オブスキュラ)」を覗きながら、この絵を描いたという説が生まれました。
事の真偽は別にして、私というブラックボックスの中へ射し込む、一筋の光を愛しむことから、絵にしろ詩歌にしろポエジイは立ち上がるのではないか、と思います。
近代の病である、唯我独尊的な、ブラックボックスが問題なのでありません。
それにもかかわらず、異空間から一筋の光が射し込むという場所に
ポエジイは発生するようです。

では、不思議なカメラ・オブスキュラの旅を続けましょう。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
恭賀新年 (神辺 桜花)
2006-01-05 20:51:05
あけましておめでとうございます。

ブログ、模様替えしたんですね。

ロード中に動画だけくるくる回ってて、少し驚きました。

記事もすっきり整頓、というところでしょうか。

どんどんいい感じに様変わりしてますね。



「青いターバンの少女」は

教科書か、テレビか、媒体は覚えていませんが記憶にあります。

改めて、こうして観ているわけですが

どうにも私は直視できません。

でも、視たいんです。

だから彼女の右目だけこそっと、じっと、視ています。

左目まで見つめる度量がないみたいです(笑)

個人的な感覚ですが、彼女の唇の開き方が最も

「どきっ」とする、開き方と感じました。



創作物は新たな創造をよぶ。

作品から影響を受けるたびに思うことです。



返信する
桜花さんへ (ふくろう)
2006-01-06 20:52:21
さっそくコメントをありがとうです。

今年もよろしくね。



なるほど左目だけを見ていると、ぞっとするよな恐い目であることがはっきりしますね。

それに対比して、桜花さんの言うように、半ば開かれた唇がエロティックで生々しいですね。

そういった要素の複合が全体の静寂に満たされた「謎」「不思議さ」を構成しているのでしょうか。



また来てくださいね。
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