尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

ことば

2008年12月12日 23時57分03秒 | 詩の習作
言葉を覚え始めた頃
ママの留守を見はからって
ことばは股を拡げて
幾何学的な性器を見せた
見たな
と言って笑った
身の毛がよだった

何度見ても
その曼荼羅図を
覚えられないまま
僕は老いた

ことばは
股を拡げなくなった
それでも
深夜
身の毛がよだつことがある
ことばが来たなと思う
僕は動けない

そのうち僕は寝てしまう
ことばは眠れないだろう
それだけのことは
書いてきたと思うから

日に一度は
死にたいと言ってしまう
僕ではなくて
死ねないことばが
言うのである


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恐竜の声

2008年12月12日 00時49分55秒 | 詩の習作
ジャワ原人も
北京原人も
こんなことしとったんやで
と言って
首根っこを押さえる
ネアンデルタール人も
クロマニヨン人もやで
と言って
首根っ子を押さえる
縄文人も
弥生人もやで
と言って
首根っこを押さえる
君のお父さんも
お母さんもやで
と言って
首根っこを押さえる
恐竜の声ききながら
人間はずっと
こんなことしとったんやで
と言って
首根っ子押さえたら
ビルの間の
恐竜の声を聞いてしまった

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死んでから

2008年12月12日 00時21分32秒 | 詩の習作

目をつぶるとき
目をひらくものが
そこに現れる

死んでから
泣いた男のことを思いだす
黒い縁取りをされた男である

それからゆっくり
その男が
父であったと思いだす
子供も
死んでからゆっくり
泣きたいと思う


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