ブレンド日記

世の中の出来事・木馬での出来事・映画の感想・本の感想・観るスポーツ等々ブレンドして書いてみました。

「悪党」・薬丸岳著(角川書店)を読む。 (8/17読了)

2009年08月23日 | 本の事
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 「あんたにぴったりの題名の本見つけたよ。」
といいながらトンボが見せてくれた本。ったく!!

あらすじは・・
自らが犯した不祥事で職を追われた元警官の佐伯修一は、今は埼玉の探偵事務所に籍を置いている。決して繁盛しているとはいえない事務所に、ある老夫婦から人捜しの依頼が舞い込んだ。自分たちの息子を殺し、刑期を終え社会復帰しているはずの男を捜し出し、さらに、その男を赦すべきか、赦すべきでないのか、その判断材料を見つけて欲しいというのだ。この仕事に後ろ向きだった佐伯は、所長の命令で渋々調査を開始する。実は、佐伯自身も、かつて身内を殺された犯罪被害者遺族なのだった……。(書評より)
ということなのだけど、罪は社会的には刑務所に入ることで償われるけれど、被害者家族にとっては、そんなことでは到底心の傷は癒えない。
刑務所を出て加害者がのうのうと生きているなんてことは、あまりにも不公平だと思うけれど、それだからといって復讐していいのかといわれると それはそれで難しい。昔のように仇打ちがあるわけでもないしね。

犯罪者は何をもって罪を償ったといえるのか? 犯罪被害者遺族は何をもって罪を赦すべきなのか?
凄く難しくて、おいそれと素人が答えを口に出せないような気がする。

裁判員制度が発令されてこういう小説が多くなったのか、それとも裁判員制度がすでに始まったから、今まで何の気なしに流し読みしていた内容に興味が出てきたのかよくわからないが、最近読んだ本は、私ならどうするというようなシチュエーションが多いような気がしてならない。

 話はすごく飛躍するのだけど、陪審員制度が始まり、昔からあるアメリカの陪審員制度とよく比較されるのだけど、私は陪審員制度といえば、映画の「十二人の怒れる男」を思い出すのだ。あまりにも有名な映画だから内容等は書かないけど、私がこの制度は怖いなぁと思う理由の一つに、思想的な問題があると思う。

この映画でも作中の12人のうち、最後まで有罪を唱える人が2人いた。一人は人種差別的な思想を持つ人間。そしてもう一人は、自分が持つ家族関係のトラウマから、歪んだ考えしかできない人間。

日本の裁判員制度でも、法律関係の職に就いている者は裁判員にはなれない、けど思想的なことは本人が黙っていればチェックしようがないし、誰にもわからないものね。

感想文とはずいぶん話が飛躍してしまったけど、そんなわけでなにか、今の世の中、被害者の気持ちがないがしろにされているような、被害者のプライバシーのほうがあからさまにされているような、そんな不安が、そのまま書かれたような本でした。