ブレンド日記

世の中の出来事・木馬での出来事・映画の感想・本の感想・観るスポーツ等々ブレンドして書いてみました。

「最も遠い銀河」・・白川道著・・幻冬舎(7/30日読了)

2009年08月02日 | 本の事
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 物語の中に滑り込む というような感じ。
というか、物語の奔流が読んでいることを忘れさせるほどのすごさで襲う。物語の世界をじかに体験させられた、そしてそういうエンターテイメントな本にはめったに出会えなくなった昨今。
天国の階段から8年ぶりの書下ろし、行間からほとばしる白川道の熱情がひしひしと伝わるような一冊だった。いやぁ~面白かったです。

 上下2巻原稿用紙にすれば2500枚の力作を 持病の睡眠病を抱えているのに、寝る間も惜しんで一気に読み終えた4日間。
このうえなく「懐かしさ」に満たされた4日間でもあった。
そして、愛も、恋も、ロマンもすべて枯れ果ててしまったこの私の心の泉に、ふつふつと熱い感情が湧きでてきたのです。私はいくつになっても純愛に弱いんだなぁ、あらためて思い知った数日間。読み終わるのが惜しい。ラストで胸が熱く焦げてしまった。
バカバカバカ、桐生のバカ、でも好き、好き、好き、桐生大好き・・・しばらく本を胸に抱いていました。

最高の時間をくれたトンボさんに感謝です。
感謝の気持ちを素直に伝えたのに「喜んでくれてうれしいよ。いつも俺のこと軽い男だ、薄っぺらな男だ とののしるけど、薄っぺらなりに気に入ってもらえるような、いい本を探し当てたんだ。そりゃよかった。今から読むんだけ、あらすじを言うんじゃないけね。」とにべもない。このお方は人が下出にでると、高飛車にでる傾向があり、それを指摘すると、「人間なんてそんなものよ、長いものには巻かれろ的な 自分のそういう性格が大好きよ。」とバカなことを言う。
あぁ 超カッコいい桐生と大違い。
でも、でも 言いたい、言いたい、話したい、誰かにしゃべりたいそんな気分。困った、困った。
ブログに書くけぇ 読み終わるまで「ブレンド日記」開かんでね。

というわけなんですが・・
前作「天国への階段」でもそうだったが、またまた主人公たちが美男・美女だらけで、出来すぎ、誰もが振り向くようなハンサムってどんな顔と思ったけど、でも物語なんだから、いいか。、やはり主人公は綺麗である方が楽しめる、そう思いながら読み進む。アランドロン?なのか桐生のモデルは?。
物語の中で、「太陽がいっぱい」が出てくるのだ。うーん、日本人には桐生のようなハンサムはいないかも・・。

主人公は超ハンサム建築家桐生晴之。様々な過去を引きずって生きている。ストーリーは彼の妹として育った誰もがハッとするような美貌の美里の死の謎 そんな彼を追う元小樽署の刑事の執念 桐生の成り上がってゆく様 を中心に展開する。

その主人公の新進気鋭の建築家・桐生晴之は、新しい事務所の開設に向け、仕事の獲得に邁進していた。
桐生は小樽の貧しい家庭に生まれ、同じ境遇で妹のように面倒を見ていた美里とともに東京へ出てきた。
そして、チンピラ組織を束ね生活するようになっていた。
しかし、ある出来事をきっかけにこれまでの生活を改め、幼い頃からの夢だった建築家を目指すことにしたのだ。
桐生の大学の親友でライバルでもあった葛城が、高名な建築の賞を獲得した。
葛城は裕福な家庭に生まれ、縁故も多彩でいい仕事が舞い込んでくる。
桐生はもって生まれた美貌を生かし、女を利用してまでして仕事を取っているというのに。
しかしこの葛城にも恵まれたが故に悩みがあるのだ。
桐生はどんな手段を使ってでも、一流の建築家になって見せると自らの命を金に換えてまで学費の捻出をしてくれた、死んだ美里に誓うのだった。

そんな折、桐生は立ち寄った画廊で美里と瓜二つの女性を見かける。(これが出来すぎでも小説だからいいのだ)
その女性は、建設業界の大手・サンライズ実業の会長の孫・清家茜だった・・・
運命が仕組んだ見えない糸に操られながら迎えるラストには、深い哀愁が漂い満ちる。

うーん、読み出したらやめられない、大長編メロドラマである。
貧しい家庭に生まれ、努力してのし上がる美貌の主人公。
裕福な家庭に生まれたライバル。
大企業の会長の孫娘。
そして、執拗に主人公を追う老いた元刑事。

なんかこのあらすじどこかで読んだことがありそうで(飢餓海峡や砂の器、太陽がいっぱいも・・)でも、微妙に違うのは、以前読んだ「天国の階段」と同じように白川道らしいし、しつこいほど丁寧に描く人物描写もそして、なかなか進まないストーリーにイライラもするが、(生い立ちや、やくざ生活など何度も同じことが書かれている。)この作品は、細かい人の心の機微を堪能しないと理解できないんだと思うと我慢できる。そんなわけで少々中だるみしながらも、最後はしっかり着地していた。本当はみんないいやつなんだ、そう思える。

朝は平等にみなにやって来る。でも日が昇ってから不平等が、不公平がみなを襲う。でもまた明日の朝はみなに平等にやって来る。を読んでぐっと来た。日が当たる所に落ちた種子(生まれながらにして金持ちに生まれ苦労をせずにすむ子)がいて日が当たらない所に落ちた種子がいる。

この言葉がこの小説のテーマであると思う。

愛に飢えカサカサした日々を過ごしている寂しい方は、是非にも暇を見つけて読んでみてください。
青春時代に忘れてきたものが見つかるかもです。