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乙女高原ファンクラブ活動ブログ

「乙女高原の自然を次の世代に!」を合言葉に2001年から活動を始めた乙女高原ファンクラブの,2011年秋からの活動記録。

晩秋の乙女高原

2016年10月01日 | 乙女高原観察交流会
今年度7回目となる「乙女高原自然観察交流会」。今回は山本さんがレポートしてくださいました。写真も山本さんです。

私の花観察仲間のお一人で、高尾山でボランティアをされている東京の岡崎さんが、先月のマルハナバチ調べ隊を兼ねた観察交流会にも来られていて、その折に図鑑でしか見たことがなく実物を見てみたいと思っていたというホソバツルリンドウを見つけられ、花も見てみたいといわれていたので、今頃が花期ということから今月も同行参加されることになり、山梨市駅でピックアップしてから道の駅に向かいました。駐車場について間もなく井上さんが来られ、今日の観察会はこの3人ということで井上さんの車で乙女高原まで行くことになりました。

杣口林道途中のサワラ林の所で車を停止して、岡崎さんにサワラの天然林を紹介しました。サワラとヒノキの違いを判別するため葉裏の白い模様を観察、写真に撮りました。近くにあったウリノキが黒い実をつけていました。
林道わきで観察していると、植原さんが通りがかりました。草刈りボランティアのチラシができてきたので、金峰山荘と焼山峠のトイレ、乙女高原グリーンロッジに配置しに行くとのこと、ちょうど不明な虫をみつけたところだったので、ジュウジナガカメムシだと教えてもらうことができました。





少し遅れて林道を進んで再び停止、この場所は7月の観察交流会の折にやはり停止してナツツバキなどを見た場所です。カツラの木があり近づくと綿菓子のような甘い香りがしました。ここで植物の実やタネ、昆虫の写真を撮ったりしましたが、一番時間をかけたのがアカマンマことイヌタデの花でした。一個の花が小さく写真に撮るのが大変ですが、目玉のような黒っぽいコブが膨れ出ているものがあり、これは実なのか何なのかと時間がかかってしまいました。



林道の観察で大分時間をかけてしまい乙女高原に着いた時には11時近くになっていました。さっそく草原下の駐車場近くに見つけてあったホソバツルリンドウを観ることにしました。



この日の天気予報は良くなく、霧が立ち込めたりしていましたが、花は咲いていてくれました。念入りに写真を撮っていると井上さんが防鹿柵のフェンスにカラハナソウがからみついて実をつけているのを見つけて来られたので、これも写真に撮ったりしてからやっとロッジの駐車場に到着です。



もう一人の花観察仲間の大江さんがすでに来られていて、ここで植原さんにお会いして、「もうすぐ来るよ」と言われたようですが、大分待ったことでしょう。昼前だったので少し林道を散策してから昼食をとることにして、オオヒナノウスツボの実を見に行きました。

アキノキリンソウには虫こぶ(虫えい)がついていました。図鑑でアキノキリンソウミフクレフシだとわかりました。アキノキリンソウミタマバエによって実に形成されたものです。虫えいはタマバエやタマバチ、アブラムシ、それに菌もつくりますが、名前の付け方にはルールがあって、「植物名+虫えいの出来る場所+虫えいの形+フシ」が一般的だと書かれていました。



岡崎さんがタニソバの花を見つけ、この花の花序下の茎に腺毛があるのを確認することができたといわれ、1個1個の花は小さく写真に撮るのが大変であり、さらに腺毛の写真も撮るということで、これまた大変時間がかかってしまいました。駐車場から歩いて数分の所ですが、駐車場に戻った時には12時を回っていました。温度計は18.5度でした。



草原の観察スタートは午後1時、その前に昼食をとったベンチわきの朽ちた木に赤いコケの花がついていると岡崎さんがいうので、その写真を撮ってからです。コアカミゴケという地衣類の子器でした。



防鹿柵の中に入って森のコースを上って行きました。途中にたくさんのクチベニタケがあって袋を押すと白い埃のような胞子が飛散するので、みんなで押してみては「ほんとだ」と楽しみました。



花はヤマラッキョウ、リンドウ、ノコンギクが咲いていて、ノハラアザミ、シラヤマギク、ヤマハハコは終わりかけでした。



葉の上にお腹が膨れている小さな黒い虫を見つけました。後で図鑑で調べるとハムシの仲間のメスはお腹が膨らむとあり、キク科の葉の上にいたのでヨモギハムシだと思います。



ロッジのよく見える場所にタマゴタケによく似たベニテングタケがありました。



森のコースをそのまま進み、ツツジコースに出ました。リンドウの花が多く見られ、花が動くのを見ていると中からマルハナバチが出てきました。



この日、トラマルハナバチとミヤママルハナバチが中から出てくるのを見ました。



リンドウの花などは自分の花粉が柱頭に着かないよう雄性先熟で、花粉を出し終えてから柱頭の先が開いて花粉を受けられるようになりますが、その雄性状態と雌性の状態の花が1株に並んで咲いているのを見つけ、開花の仕方の事例としていいなと写真を撮りました。



リンドウなどの花で、とっても小さな黒っぽい光沢のある虫をたくさんみました。ルリマルノミハムシかコマルノミハムシのようですが、判別は脚が黒色か褐色の違いということで、撮った写真を見てみると黒色なのでルリマルノミハムシですね。



エゾアオカメムシやツマジロカメムシ、コアオハナムグリなどもいましたが、なんとハネナシサシガメがルリマルノミハムシのお腹に口吻を突き入れて体液を吸汁しているのを目撃してしまいました。









ノダケにキアゲハの幼虫がいました。若齢の幼虫もいたのでいまからで蛹になって越冬するのに間に合うか心配に思いました。



ロッジに戻った時にはすでに3時を回っていて、草原コースを見て歩く時間はありませんでした。ベンチで休息をとりながら昆虫図鑑で同定作業をしますが、すべては判明できず、家に帰ってからの宿題です。下りは塩平経由で、林道途中にも立ち寄ったりしましたので、道の駅に着いた時には5時になってしまっていました。雨模様の天気予報で心配でしたが一度も雨には降られることもなく終わりました。

今日の観察交流会は、花や昆虫の写真を撮り、その名前を記録するだけの観察ではなく、花や昆虫の特徴や生態を確認する観察作業ができたかと思いますが、まだまだ不十分で、もっともっとおもしろい観察ができるかと思いました。さまざまな植物や昆虫が生活しているわけですから、訪れるごとに異なった様子を見せてくれますので、四季折々何度訪れてもいいというより、繰り返し何度も訪れなければとあらためて思いました。

追記:同行の岡崎さんから観察交流会の感想コメントをいただきました。
今回は普段見逃してしまいそうな植物や昆虫類の特徴や生態をじっくりと観察できたのでとても充実した一日でした。曇り空の中、念願のホソバツルリンドウが咲いていてくれて感激しました。来月は是非とも実を観察したいです。同じ植物の成長過程や特徴をじっくり観察できるのは本当に素晴らしいことであり贅沢なことですね。
またイヌタデの目玉おやじは実ではなく、タデ類に発生する黒穂病というものがあるようです。


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