ガンプラ秘密工場(仮)

ガンプラ他、プラモデルを限られた環境下(ノンシンナー)で楽しもうというブログ
 

ABS樹脂についての想い

2007年02月13日 | プラモやってて思うこと&ガンプラの歴史
 最近では1/144HGクラスのキットでも当たり前のように採用されているABS(アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂製の可動パーツですが、昔は高級素材だったかも…というお話です。

 筆者が「ABS樹脂」という素材の存在を初めて知ったのは、1980年代前半(だったかな?)、「太陽の牙 ダグラム」が放映されていた頃でした。番組スポンサーのタカラ(現:タカラトミー)は1/72と1/48スケールをメインに、劇中に登場するコンバット・アーマーのプラスチックキットを発売していましたが、上級アイテムとして、「デュアルモデル」という完成品も発売しました。これは、プラスチックキットとは別設計の完成モデルで、筆者はおもちゃ屋さんの店頭に展示されていたのを見ただけなので詳細は不明ですが、「亜鉛合金」ダイキャスト製の内部メカ(骨格?)に、「ABS樹脂」製の装甲を被せるという複合(デュアル:デュエルじゃないですよ!)構造になっていたようです。
 「ABS樹脂って何? プラモデルのプラスチックとは違うん?」という疑問を持った小学生時代の筆者ですが、なにぶんデュアルモデルは高額商品で、実物を手に取るというチャンスはありませんでした。

 数ヶ月後、筆者はABS樹脂に触れることが出来ました。何かの食品のオマケとして付属しているスプーンの柄の裏側に「ABS」という刻印が! そのスプーンは何となく深みのある水色の成型色で、色といいツヤといい、普段見ているプラモデルのプラスチックとは違った雰囲気でした。高級感が感じられたのです(オマケなのに…:笑)。

 数年後、バンダイは「ハイコンプリートモデル(HCM:現在のハイコンプロの前身)」という完成品モデルを発売しましたが、どうやらこのHCMにもABS樹脂が使用されているようでした。この頃はABS樹脂というと完成品トイの素材というイメージがありましたねぇ。

 筆者がプラモデルでABS樹脂を見たのは1/100フルアクション・エルガイムでした。
 普通のプラスチック(PS)ともポリとも違う、黒いランナーのパーツを切ったり削ったりしているうちに、ヤスリで削ったりランナーを曲げた時のニオイが独特のものであるということに気付いたのです。PSの甘いニオイではなく、なんとも渋いニオイでした。「このニオイって、HCMのニオイやなぁ…」そこで、その黒いランナーがABS樹脂であることに気付いたのです。
 黒いランナーのパーツは、いずれも可動部の負荷がかかる部分に使用されていました。また、独特の粘りがあり、PSでは動かしているうちにユルんでしまうような場合でも、黒いランナーのパーツはなかなかユルまないことが分かりました。
 どうやらABS樹脂は丈夫で磨耗に強いという素材のようだと、中学生の筆者には強く印象に残りました。あと、やっぱり高級品だと…(笑)。
 1/100フルアクションエルガイムシリーズ(エルガイム・オージェ・Mk-Ⅱ)以降は、ABS樹脂は「マシンロボ」シリーズのキットに使われたぐらいだったと思います(これはガンプラの1/144ぐらいのサイズのキットで、パーツ全部にABS樹脂が使われていました)。
 あと、ガシャポンのミニスケール組み立てモデル(BB戦士のルーツといえるデフォルメモデルとか、Z・ZZの1/250スケールモデル)もABS樹脂製でした。小さいのに関節がユルまないスグレモノでした~♪

 1990年代はじめごろ、ABS樹脂に良く似たプラスチックがバンダイキットに採用されました。「EXG」と呼ばれる樹脂で、強度と高い質感が特長という樹脂ですが、筆者にはABS樹脂との区別が付きませんでした。このEXG樹脂は「ゲッターロボGO(←ホンマは「号」の横に「虎」と書く漢字なんですが、出ない…:汗)」と「1/60ガンダムF91」に使われていましたが、それ以後は見かけませんねぇ…。

 ガンプラで初めてABS樹脂を見たのは1/60V2ガンダムだったと思います。ヴィクトリータイプのガンダムは変形の際の可動部が小さいため、1/60でも部品の強度確保が普通のプラでは難しかったのではないかと想像しています。この後1/60のシャイニングガンダムやGガンダム、ウイングガンダムゼロでもABS樹脂が使われていました。やっぱりまだまだ高額キットの素材という感じです。


 マスターグレードシリーズでは旧Zガンダム以降はほとんど全てのキットにABS樹脂パーツが使われていますが、最近のキットではポリキャップレスの部分が増えているのでABS樹脂はなくてはならない存在になっていますねぇ。MGグフ以降、ポリキャップレス方式が試行錯誤され、F91で完全なポリキャップレスが実現しましたが、確かポリキャップレスのABS関節というと、「ヒメブレンパワード」のキットが最初だったと思うのですが、実際にはどうなんでしょうねぇ?
 
 可動性能とディテールの両立という点でABS樹脂は有利であるため(塗装も可能ですし)、ABS樹脂を使ったキットはどんどん増えていっています。HGクラスのキットにまで採用されるようになったのは個人的には非常にうれしいです。
 一方で、もっと昔から小スケールのキットにもABS樹脂製の可動部が使われていたら…という気持ちもあります。昔のキットの金型で普通のプラスチックの代わりにABS樹脂で成型することが可能なら、旧キットも無改造でユルまなくなるんですけどねぇ…。Z以前のガンプラとか、ザブングル・ダンバイン・エルガイムのシリーズはすぐユルユルになったという思い出がありますから…。どうでしょう、バンダイさん! やっぱり無理かなぁ…(汗)。