おじたん。的ぶろぐ生活。

おじたん。である。語るんである。

癌という病気とどう向かい合う? その9。

2005-08-12 05:36:14 | 我思う、故に書くなりよ。
逆転ホームランは難しいみたいだなぁ。

スタートが末期の肺ガンだから、難しい状況にある事は理解しているんだけれど、現状維持すらも難しく、相変わらずガンの侵攻は衰えを知らない…って感じだそうだ。

クスリの効果がどれだけあるのか、定かじゃないけれど、現状を維持出来ていないのは間違いない。じゃあ、効き目無いんだから止めちゃえば…となると、ガンの侵攻はそのスピードに加速が付いたりもするので、止めるワケにも行かない。

最近の父は通いで治療を受けているので、私が特に付き添ったりはしていない。
んで、これらの「近況」的な様子は主として付き添う母から得られる情報なんだけれど、要領よく話す事が無理みたいな典型的な話し方する人だもんだから、聞いてる方も「要領を得ない」。

つい先日聞いた話では、とても「憤慨」しており、全く要領を得ない。
何に憤慨してんのかさえ、掴みづらい…話だったが、要約すると…

「医者が言う事がとても患者を勇気付けるモノでは無い」

と、言うことらしい。現状でどういう状態か、担当医から説明を父と一緒に受けたそうだが、母の受けた印象では…

「病気と闘うのに頑張っている人を奈落の底に突き落とす様な事を言われた…」

のだそうだ。元々が要領を得ない話だから、どうなんだか定かじゃないが…

「今頃はとっくに『新盆』だろう…」
「治療はやめてもらっても結構…」

なんて事を言われたらしい。こうした言葉に、母が憤慨している…と言うトコロは掴めたが、これが初めてでは無いらしく、「そういう先生なんだ…」とも言っており、最後の決まり文句は「では頑張りましょう…」でいつも終わるんだとも言っていた。

理路整然に話が聞ければ、

「そりゃひでえ!」「なんだその医者は!」「う、訴えてやる!」

なんて事もあるかもしれないが、理路整然に聞けないので、本当がどーなんだかサッパリなんである。ただ、そう言われた悔しさはとても大きかったらしく、良い方向に

「少しでも長く生きて見返してやろう!」

って事になっている。

ま、医者もいろいろいるんで、優秀な医者だとしてもこうした「突き放した」言い方をする人もいれば、さほど優秀でなくても「優しい」言い方をする人もいる。どちらがどうって事は難しい。

患者の家族として、贔屓目に見れば「ひでぇ医者だ!!」とも言えるかもしれないが、現実をリアルに伝えるとなれば、多少はシビアにならざるを得ない。その点でどう患者と接するのか、どう医者と接するのか、どっちも「難しい」。

ま、「死」と言う結果が非常に近い病気の、非常に近い状況だから、難しいながらも「思いやり」が欠けるとこうしたトラブルも出て来るんだろうし、起き易くもなる。
希望を持たせるためにはいろいろと言う事は簡単だけれど、それが結果的に「ウソ」であっては医者としてやはりマズイ。死期迫る患者の方としては「もうダメ…」とか「長くもたない…」とか「手立てが無い…」とかは聞きたくは無い。

その狭間ではこうした感情の行き違いは起き易いし、医者と患者と言うよりは「人間と人間」の問題なんじゃないだろうか。

「全ては患者のために…」

と、スローガンだか標語だか目標だかを掲げた病院の中で働いた事がある。まず先にこれが無ければ良好な医療を提供する事も出来ないし、これは医者だろうが看護士だろうがコメディカルだろうが一緒だと、教え込まれた。患者さんと直接触れ合う事の無い業務に携わる人も病院の中にはいるんだけれど、もちろんその人も含めての話が前提となっていて、そこに従事する者は決して忘れちゃいけない言葉として、日々従事するんである。

それでも、こうしたトラブルってのは起きる。皆無にするべく努力はしても、起きるんである。得てしてそうしたトラブルが起き易い現場に近かった所で働いていたからって事もあるが、医者の要請で患者さんの病変部の写真を撮ったりする時に、医者が患者さんにちゃんと説明しておかないと、そりゃトラブルになる。

トラブルだけ避けるための努力ってのもある。意外に簡単だが、得てして機械的、事務的にコトを進めれば、あたらずさわらず…って感じでトラブルも少ないが、それが「医療」かと言えば違うだろう。だからこそ「全ては…」が生まれたんじゃないかと思っている。

どこもかしこもの病院がそうだったら、こうしたコトも書かなくて済むが「医は算術…」と昔から言うように、算術と関係ない面まで算術の影響があったりで、算術=お金…ってもんでもないからやっかいだ。

まぁ、父に関して言えば、あまりヒドイ事言われるようなら、私が直接対峙しなきゃならんかな…とは思ってる。

「院長を出せコノヤロー!」

って騒ぐのは素人。医事課の偉そうなのか、総務の偉そうなのを最初に相手にしないと出て来る者も出て来ない。県立の医療組織だから話の持って行き所はいろいろとあるだろうしね。

「じゃあ来るんじゃねぇ! この死にぞこないめがっ!」

って病院だったらそれはそれで面白いが、そんな病院も珍しいし、大方の従事者は患者さんのために…働いているのがほとんど。そう言う人にまで迷惑かけちゃいけないし、迷惑をかけられるようなコトもしちゃいけないんである。

癌と闘うには、他にもいろいろと闘う必要が出て来るんだよねぇ。
出て来なくていいものなんだけど、やれやれ…である。

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