おじたん。的ぶろぐ生活。

おじたん。である。語るんである。

エレベータークライシス。

2006-06-15 08:51:50 | 我思う、故に書くなりよ。
そうそう壊れるモノでも無いので、いざ壊れると大変なコトになってしまう。

だけれど、一応、製品として市場に出るにしても、それなりの基準を基に作られていなければならなかったり、建物への設置後も検査はあるので、やたらと変な製品がそこいらじゅうにあったりもしないもんなのだけれど、不思議とトラブルが多いんだなぁ…。

そう考えると、最初から欠陥商品だとすると、もっとトラブルだらけでおかしくないんだけれど、そう言う感じも無いし、やはりメンテナンスの不備と検査が盲目的に形骸化していたんじゃなかろーかと。

不動産会社の管材なんかやってたりすると、この手のメンテナンスに立ち会う機会は頻繁にあって、わけも判らないままに付き合ってサインだけしておく…と言うコトが日常茶飯事だったりもしたのだが、私がやっていた頃はバブルが弾け切っちゃって、他にする事も無かったりしたので、キッチリと付き合った。

メンテナンスを代行する管理会社も、これまたキッチリとした会社で、いい加減な不動産会社とどうして長年付き合っているのか不思議なくらいに真面目な会社。そこで働いている人も極めて真面目で優秀なもんだから、こうしたメンテナンスとか検査に立ち会うのが「面白い」んである。

ビルの所有者は税金すら長年滞納して、税事務所から頻繁に呼び出しを喰らうほどに「いーかげん…」なのだが、そこに利用する人間がいるとなれば、こうした検査を「いーかげん…」に済ませるワケにも行かないので、保守管理ってのはキッチリとやってもらうのだけれど、古いビルに備えられたエレベーターであっても、保守だけしっかりやっておけばトラブルも無く動いてくれる。

戦後間もない頃に建てられたビルに、恐ろしく旧式なエレベーターが付いていたけれど、ちゃんと動いていた。人生の中で、手動で外側と内側の蛇腹な檻を開け閉めして、乗り降りするエレベーターに乗れたってのは後にも先にもこのビルだけだったけれど、確か舶来のモノだったと思う。シンドラーのものかどうか判らないけど、当時は国内にメーカーがあまり無かったと聞いていた。

でまぁ、いろんなビルで保守作業に立ち会うと、その裏側なんてのが見られるので、乗ってる限りは余程のコトが無いと見られない部分が遠慮なく見られる。

「金属のカゴ吊ってるだけですからねぇ…放っておくと堕ちますから…」

とか、あっさり言われてしまう。確かにそうなんだけれど、そうならないために、構造的にも制御的にも2重3重に安全策が付いている。それであっても、放っておけば堕ちると言う。

「手入れしなけりゃ壊れますよ。そうなると、余計にお金掛かりますから、おじたんの所の会社も大変でしょ?」

そうなんだよねぇ。壊れると途方も無い金額になっちゃうんで、手入れしながら、維持費を安くしつつも長く使わざる得ないんだよねぇ…。いい加減、汚いから買い換えろ…なんて声も出るんだけれど、そんな金も無いしねぇ…。

んまぁ、管理会社の人も、メンテナンスするエレベーターメーカーの人に付き合っているだけなんだけれど、ちゃんと見なけりゃイケナイ所を知っているので、ツッコミをちゃんと入れたりしてくれているので、こっちとしては安心。

「だって、堕ちたら俺の責任だもの。代金値切られても見るトコ見とかないとさぁ。」

んだんだ。もうこれ以上は勘弁…って程に値切ってもらっているので、恐縮しかりなんだけれど、大変に助かった。と、同時に、ちゃんとやっておけば長く使えるってコトや、いろいろと勉強にもなった。

そうした、使用者の知らない部分でキチンと目配りをしているビルやらエレベーターが日本に幾つあるのかと。構造計算書偽装問題しかり、建てるだけならどんなもんでも建てられる。そのオーナーやら、テナントやら、必ず人がそこにいて、日々使うワケで、使っていくうちに起きる様々なトラブルは避けられないが、そうした所にも人が関わってくる。器の問題と人の問題がうまく関わらないと、どんなに出来の良いビルでも小さなトラブルが大きくなってしまう。

「管理記録残ってないスかねぇ? あれ無いと困るんですよぉ…グイグイ…」

と、管理会社の人によく突っ込まれた。なんせ、後先考えずに手当たり次第に中古ビル買うもんだから、残っていなけりゃならない書類も残っていない。建築図面や構造計算書なんてのはそこそこ残っていたりもするが、ビル管理の記録なんてのは真っ先にどこかへ消えていたりする。

頼めば管理はしてくれるが、するからにはキチンとやる…ってのが管理会社。過去にどんなトラブルがあったのか残っていれば、後々の管理が当然楽にもなるし、オーナーにとっても不慮の事故やら出費が避けられるんであるね。そうした点では、いい加減にビルばかり所有している企業の社員としては肩身が狭かったのだが…。

まぁ、エレベーターも商品だから、扱うに当たって個性がそれぞれ出たりするのは当たり前だったりもする。それが事故を起こしてしまった場合、やはり製造者としての責任ってモノは避けられないし、その対応もしかり…なんだけれど、釈然としないものが残る。また、それらを管理していく者の責任も当然大きく、報道で知る限り、その大きさをあまり感じていない様にも思える。安全に寄与すると言う姿勢があれば、そうした管理に関してもキッチリとした姿勢が見えて来なければならないが、ほとんど見えてない。管理会社としては、名前はTVのCMでよく聞くのだが、CMどおりのメンテナンスを行う姿勢に全く無いんではないか?

まぁ、メンテナンスはエレベーターに限ったものでは無いのだけれど、専門に扱うならなおのコト、幅広く何もやってないに等しい…なんてのは詐欺。きっちりとやっているなら、イザと言う時に、記録として現れる。そして、そこに姿勢がちゃんと読み取れるもんだ…。

それは、管理を請け負う会社の責任でもある前に、担当者の責任でもある。もし、おじたん。が残りの人生で万が一、ビルのオーナーにでもなれたら、全てをお任せしようと思う会社は五反田にある。不動産会社が消えてしまって、疎遠にはなってしまったけれど、偉い肩書きの付いた人でも、泥まみれ油まみれになって、メンテナンスをキッチリとしてくれる人がいるからなのだ。

製造者の責任を問う姿勢ばかりが強くなりがちだけれど、それは当然として、管理を行う者の責任にも目をしっかりと向けていないと、日本中のあちこちで大変なコトが続いたりするんじゃなかろーか。

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