アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

風評に惑わされなかったパピヨン

2011年04月28日 | Weblog
 風評被害・・・そ、それはないべ!と思うのは、福島県から避難したり、旅行したりする人々がホテルの宿泊を断られたり、入店を拒まれたりしているという事実。 なかには「放射能がうつる」と、いじめを受けた子供もいたという。嗚呼!風評被害!という感じ。子供を犠牲にしてしまうのは…ダメダァ!

 過去に重大な風評被害を受けたのは、ハンセン病の患者さんでしょう。伝染力は非常に弱いにもかかわらず、見た目から、歴史的に差別・偏見の対象となってきました。
 どんな差別・偏見かって?
 まず、外見です。「前世の罪業の因果を受けた者のかかる病」と、思われてきました。らい菌保有者との濃厚な接触が原因とされ、「性的虐待を受けた」などの偏見が助長された。
感染症なのに、遺伝するとも思われていた。鼻が欠ける場合があるため、梅毒と混同されてもいた。これら風評では、怖い病気ですよ。「ハンセン病患者が触れたモノに触ると移ってしまう」…実は、私自身幼少時はそう思っておりました。当時は、「らい病」と呼ばれておりました。(今は、らい病は、差別用語になっている)

 「パピヨン」を観て、衝撃を受け、感心させられました。
「パピヨン」40年近くも前の映画です。今では、パピヨンといえば、「耳のでかい小型犬」。当時はパピヨン(フランス語で蝶の意味)は映画の題名でした。
 アンリ・シャリエールの伝記小説を映画化したもの。胸に蝶の刺青をしていることで「パピヨン」と呼ばれた男が、無実の罪で終身刑となったものの、脱獄に成功。後にベネズエラ市民権を取得した。

 パピヨンは、終身刑の判決を受け、南米ギアナのデビルズ島で過酷な強制労働をさせられていた。逃げる、捕まる。逃げる、捕まる。…これらのいきさつもおもしろいが、いちいち書いていたら1日かかってしまう。
 あるときの脱獄…逃亡には、ボートが必要だった。ボートをもっていたのは、ハンセン病患者の集落。集落の長が、自分が口をつけた飲み物をパピヨンへ渡した。
 ここですよ、私が凍りついて観ていたシーンは!ハンセン病患者が口をつけたものに口をつけたら、移る。しかし、逃亡のためにはボートがほしい。自分ならどうする?「自由の身ながら、ハンセン病患者となる道」を選ぶか、「吸血コウモリとムカデが住む独房で、ムカデ、ゴキブリを食べながら餓死していくか」。この選択は、微分積分より難しい。

 パピヨンは、器を受け取り飲み干した!私は凍りついたままでした。息さえしていなかったはず。ハンセン病患者の長は、それを見てパピヨンにボートを与えた。
 パピヨンは、風評など気にしなかったのです。パピヨン凄い!と、いうわけで、「風評」と聞くと、パピヨンを思い出すんです。

 今、日本どころか世界中を覆っている風評。被害は甚大です。世界のみなさん、風評に惑わされないように宜しくお願いしまーす。