アンティークマン

 裸にて生まれてきたに何不足。

偽装はダメ but 我々は偽装する…ウナギ組合の場合…

2010年07月27日 | Weblog
 土用の丑の日(どようのうしのひ)・・・子供の頃は「土曜の牛の日」と思い、何が何だか分かりませんでした。「今日から、土用だ」といわれても、「土曜日が連続18日間でもあるまいし…」「牛の日?馬の日もあるのかなあ」てな感じ。今は、土用は春、夏、秋、冬にある。つまり年4回あることも知っている(…誰でも知ってるってか)。

 で、土用というと「ウナギ」。ウナギはビタミンA・Bを豊富に含み、夏バテに効く。暑い時期を乗り切る栄養をつける、理にかなった食べ物。こういう話を聞くと、「マジカヨ?」と思います。土用丑の日にだけウナギを食べて、その夏を元気に過ごせる?そんなはずはないでしょう!
 昨日は、2010年の土用の丑の日だったので、ウナギを食べた方がたくさんおられたはず。その人たち、今日も皆さん元気か?今朝体調を崩された方もたくさんいるはず。また、ビタミンAだ、Bだは、別にウナギでなくてもよい。ブリでもアジでもサバでも…夏場に獲れる魚はみなビタミン豊富。ではなぜウナギだけが土用の丑の日の突出した食べ物なのか?
 土用にウナギをを食べる習慣について、平賀源内がウナギ屋のコンサルティングで…という話が一般的になっています。そうなると、江戸時代の末期から始まった…。陽炎の辻~居眠り磐音・江戸双紙~の坂崎磐音がアルバイトでウナギ屋でウナギを裂いていましたから、江戸時代にウナギがさかんに食べられていたことは間違いない。実際は大昔から鰻が食べられていた。
 大伴家持に、「石麻呂に吾物申す夏痩せによしという物ぞうなぎ取り召せ」がある。つまり、万葉集の昔から、ウナギは夏バテに効く食べ物だったことが分かる。平賀源内説はでっち上げかって?ウナギ業界が不振になって源内に相談したのは史実だと思います。「明和誌(青山白峰:1822年)」に記されているらしいので。私は、明和誌を見たことがありません。但し、明和中学校閉校記念誌は持っています。(閉校記念誌に、ウナギの記述はありませんでした)
 土用に食する物。ブリでもアジでもサバでもなく、「ウナギ」。これは、万葉集の時代に、安定供給できたのがウナギだったから。

 実は、我が家も昨夜、ウナギを食べました。こ、こ、国産のウナギ!どうして国産と分かったかって?ウナギが、日の丸のハチマキをしていたからです。うそです。魚屋が、「国産ウナギ」の注文を取っていたので、奮発して2本もお願いしました…。
 で、今日の本論に入りますが…前置きが長すぎる?私自身もそう思いますが、前置きだけで止める分けにも行かず…。

 昨日、私が食べた鰻が国産だという証拠は何もないのです。家内は、鼻の穴をふくらませて、「やっぱり国産は旨い」と…。そこで、恒例のバトルが…
 「国産と、中国産に味の違いなどあるはずがない!あったとしても区別できない」
 「こ、国産は…お、おいしい。何より、安心して食べられます」
 「では、中国産ウナギには、おかしな物が入っているのか?」
 「中国産農産物の残留農薬が問題になっているでしょう」
 「ウナギは、農産物か?!今食べているウナギだって、国産の証拠がないだろう」
 「だって、魚屋さんが…」
 「産地偽装など平気で行われている。魚屋だってまんまと騙されているかも知れない」
 「だ、だ、だって値段が中国産の倍以上ですよ!」

 この不毛な論戦…我が家を混乱に陥れた犯人の談話は、「質の悪いウナギでも、国産だといえば売れる」。中国・台湾の他、インドネシアからもウナギが入ってきており、質も国産と何らかわりがない。食べ比べて産地が分かるはずがない…。
 日本鰻輸入組合…数年前、ウナギの産地偽装が発覚した際経営陣が、「許し難い消費者への裏切り行為。われわれ正常な取り引きをしてるところは非常に迷惑なんですよ」と痛烈に批判していた。その陰で今年5月に摘発されるまで産地偽装を続けていた。消費者を騙し続けてきた。消費者のみならず、ウナギ屋も、ウナギ職人も騙されていた…。

 年金生活で米びつの底が見える暮らしの中から、年に一度大枚を叩いて、「国産のウナギ」を食べる。騙されているかもしれないが、「国産」と信じておいしい、おいしいと食べるのが一番か…