人だすけ、世だすけ、けんすけのブログ

愛知13区(安城市・刈谷市・碧南市、知立市、高浜市)
衆議院議員 おおにし健介

訪台雑記②-偉大な哲人政治家李登輝

2007年01月14日 | 政治
 今回の訪台の最大の目的、それは李登輝前総統に会うことでした。

 李登輝前総統は、80歳を超えるというのに背筋はぴんと伸び、背が高いため威風堂々として見えます。何より驚いたのはその雄弁ぶりです。予定の一時間を越えて一時間半の面談時間ほとんどは、李登輝前総統の独演会状態でした。

 話は、最初は台湾と日本の政治経済の現状を憂う話から始まって、話は政治哲学にまで及びました。李登輝前総統はこう言います。
「人生は一回限り、意義ある人生をどう生きるかが大事。人間とは何ぞや、自分とは何かという哲学的な問いから出発することが必要。"I am not the I that I am."の境地。自我を否定した時に、人間はより高次の存在、それはある時は神かもしれない、に出会うことになる。ただ信じること、理屈は役に立たない。」
 つまり、「実践躬行」、これこそが李登輝の最も強調することの一つです。

 また、李登輝前総統はリーダーシップについて次のように語ります。
「『人民は人民自身を治めることはできない』だからエリートの育成が必要である。指導者たるものは教養を高め、国を愛し、人民を愛さなければならない。映画でUボートの艦長はリーダーについてこう言う。『私は分かりませんと絶対言ってはダメ』。またハイデッカーは『指導者としてやるには理屈を言う人間を煙たがってはいけない。そういう人間を上手く使うようでなければならない』と言っている。」

 李登輝前総統の口から出る言葉は一つ一つが至言であり、現代の政治家にない哲学を感じました。ただ、正直に言うと「ギラツキ」を感じて、20世紀最大の偉人に会えた素直な感動を感じるというのとは少し違っていました。
 私はワシントンにいるときに最晩年のマンスフィールド大使にお会いする機会がありましたが、マンスフィールド大使が枯れきった私欲のかけらもない高いところから日米関係の将来を語るのと比べると、李登輝はまだまだギラギラしていて、2008年ポスト陳水扁の政局にも影響力を発揮していく気が十分と感じられました。

訪台雑記①-台湾の過去と未来を映す女性たち

2007年01月14日 | 日常
 年始早々、民主党秘書会の訪台団の一員として、台湾を訪問しました。今回の訪台では、様々な台湾の人たちと会う機会がありましたが、なかでも印象に残ったのは、ここに紹介する女性たちでした。

 一人は、陳玉梅台北市議会議員。知日派経済人として知られた台湾ヤクルト元会長を父に持ち、自らも青山学院大学に留学した経験があるという知日派女性議員。昼食を取りながら、流暢な日本語で話をしてくれました。
 気さくな態度、会話の端々に出ているスマートさ、一線で活躍する日本の女性に時々感じられるような気負いのようなものが感じられない一方で、その堂々とした風格には恐れ入りました。
 先般の選挙でも二位のダブルスコアの得票でダントツのトップ当選を果たしたそうです。始まったばかりの市議会の会期では、副議長にとの声もありましたが、「まだ若すぎる」という反対の声もあり今回は見送られたとのことでした。ちなみに議長も女性だそうです。
 「若いことの不利を今回初めて感じた」と淡々言う陳議員。正確な年齢は知りませんが、30代後半?かどうみても40代前半という若さで既に三期目。台北市はごく最近まで国の直轄市として議員も選挙ではなく指名によっていたということもあり、台北市議は他の地方議員よりもはるかに地位が高いそうです。陳議員が将来台湾市長を経て台湾初の女性総統に名乗りを上げるのも夢ではないかもしれません。

 立法院で私たちを迎えてくれた外交委員長も女性の民進党若手議員、蕭美琴議議員。陳水扁総統の英語秘書を務めたという経歴もあり、これまでは米国問題を中心に外交問題に取り組んできたとのことですが、最近は日本語を勉強するなどに日本にも強い関心を抱いているとのことでした。

 二人の台湾の女性議員を見ていると、本当に自然体で颯爽としていて、台湾の将来はこのような女性たちによってリードされていくのではないかと感じました。

 彼女たちとは対照的に印象に残ったもう一人の女性、それは総統府を案内してくれたガイドの林玉鳳さんです。70代とは思えない快活で上品なおばあさんです。
 林さんは自らを「日本語族」と呼び、「こうして日本語を話して、若い人たちにお話をするのが楽しい」と言います。
 林さんは自分の話す日本語を「やまとことば」と呼び、「若い方々はお国の歴史を知らない」と言います。林さんは、私たちが戦後失ってしまった何か大切なものを体現しているように思えました。
 林さんは「台湾は日本の植民地なんかじゃなく領土だった」と誇らしげに言います。「あなたがたの先人は、台湾のインフラ整備や教育をやってくださったのよ」、「また、いらっしゃい」と笑顔で手を振る林さんに見送られて私たちは帰国のために空港に向かいました。

 台湾で会った印象的な女性たち、彼女たちが台湾の未来と過去を映し出す鏡のように思えました。

(写真は日本統治時代には台湾総督府だった総統府)