この穴は、厨房脇の小部屋に付いている。
換気口かといえば、まあそうでもあるがと答えよう。
実際は吸気口である。
焼肉屋というのは、昔は室内がもくもくであったが、今は排煙設備が整って、きれいなものである。
そう、匂いも気にしなくて良いことが、女性も気軽に入れるようになった一因である。
さて、「をかしら屋松園東黒石野店」は無煙ロースターで、ロースターの下側から排気される仕組み。
一説には、この発明が現在の焼肉ブームを呼んだという。
「をかしら屋盛岡大通店」はというと、昔ながらのガスロースターで、上引きといわれる排気口がロースターの上にあるスタイルである。
個人的には、こちらの方がホルモンには適している気がする。
ただし、吸う力が強いから、脂の多い牛小腸などを焼くと、「ファイヤー!!」となり見応えも充分である。
さて、サラリーマンや女性客は煙の匂いを気にするから、当然のように排気の力をあげる。
汚れた空気が抜けるから、新しい空気を入れなければならない。
吸う力が強ければ強いほど、入れる空気の量も増やさなければならない。
排気と吸気のバランスが焼肉屋の設計の妙だ。
まあ、穴空ければ空気は入る。
しかし、鉄筋の借り物のビルに大きな穴を開ける訳にもいかない。
そして、外気を入れるということは、夏暑く、冬冷たい空気がもろに室内に流入するということだ。
全てエアコンで調整すればいいのだが、焼肉屋の必要とする吸気の量はすごい。
常連の空調屋さんが言うには、普通の三倍の設備が必要なそうだ。
まあ、そんな豪勢な設備に掛ける金が無いのは私だけでもあるまい。
従って、穴が多くなる。
直接、客席に熱いやら寒いやらの外気を入れる訳にはいかないから、無難なところを探す。
大体は、厨房とか、天井裏とか、倉庫とかそんなところだ。
そして、ここに穴があいている。
この小部屋で私は作業する時間が長い。
冬、冷たい氷点下の外気がこの小さい部屋に流れる。
やあ、ふたをしたくなるのもわかるかな?
天井には太い排気ダクトが何系統か走っている。
まるで工場みたいな裏舞台であります。
今日は、ほんの裏話でした。
PS:ところで暑がりの私。夏、この穴から入る熱気に耐えれるんだろうか?