あれは,あれで良いのかなPART2

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最大のテーマは「無関心」だった群馬県議補欠選挙

2009年01月25日 23時36分17秒 | 政治・選挙
前橋市および富士見村における県議死亡等に伴う群馬県議選補欠選挙が25日に行われ(定数2,立候補者数5),自民党公認の山本龍氏と無所属の後藤新氏が当選しました。投票率は33.28%と前回の県議選と比較すると20%も下がるというきわめて低い結果に終わりました。

いやあ,選べない選挙だった

今回,前橋に引っ越して初めての選挙でしたので,選挙通としては当然投票はしたものの,初めて誰に投票しようか真剣に悩みました。悩んだ理由が,「誰に投票してよいか皆目見当が付かない」という状態だったからです。もっと,はっきりいうと,「積極的に支持できる候補者はいないが,一方で消去法を使うと全員消えてしまう」という内容だったからです。
前提として,次のような顔ぶれでした。
自民党公認1
共産党公認1
民主党推薦2
保守系無所属1


そして,当選は下馬評どおり自民と無所属でした。ただし,ここで注目するべき点は,「民主党2名の総得票数を足しても,自民党候補者に及ばなかったが,保守系無所属を越すことができた。」という点です。
つまり,形式的分析をすると,民主党は2名立てたことによる共倒れだったということができますが,実質はそんな生易しいものではありません。これだけ自民党の逆風の中においても自民党候補者は圧勝でした。もちろん,地域性の問題があるため,国政の影響がそのまま地方に結びつくわけではありませんが,それを割り引いて考えても,普通なら民主党にもっと追い風が吹いているはずです。それが,なぜこのような惨敗を帰したのでしょうか。
その原因は4つあると私は分析しました。1つは「群馬の自民王国(正しくは自民連邦国)による組織力の強さ」,2つ目は「昭和の選挙運動に固執しすぎ,浮動票を取り込めない選挙対策」,そして3つ目は「どんぐりの背比べ的公約による争点の埋没」,そして4つ目は「以上の事情から,有権者をないがしろにした内輪選挙活動による投票率の低下」です。これは何も民主党陣営に限った話ではなく,各陣営共通の話です。以下,簡単に説明します。

1 群馬の自民王国
  この言葉自体はよく耳にすると思いますので,改めて説明はしません。しかし,私は群馬の場合「自民連邦国」という呼び方が正しいと分析しています。
  まあ,言葉遊びではありますが,王国っていうと一人の王様が君臨しているイメージがありますので,自民王国というと自民党一つが県内を完全に掌握しているというように感じるかもしれません。
  しかし,実際は,群馬県内の自民党はかなり派閥が分かれており,時には敵味方に分かれて選挙をすることが普通にあります。逆に,「昨日の敵は今日の友」のように,前回は支持しなかったが今回は支持するなどということも普通に行われております。
  今回の選挙でも,このような「昨日の敵は今日の友」のような動きがあったほか,先週伊勢崎市で行われた市長選においても,このような動きが背後で見え隠れしていました。
  つまり,群馬県とは,実は「自民党を支持すれば選挙に出馬して勝てる」っていう生易しい場所ではないのです。
  ただし,連邦国は一本にまとまると,それはどんな敵をも寄せ付けないくらいの強大な力を発揮します。今回の補欠選挙は,いろいろな大人の事情から,自民連邦国は珍しく候補者を一本化できました。それゆえ,「確実な1議席」を確保できたということになります。結果論ですが,民主党同様2名の候補者を選出したとしたら,確実に「一人は落選」ということになり,数字如何では,共倒れもあったと思います。
  今回は,自民連邦国の大人の事情による勝利だったといえるのです。

2 昭和の選挙
  改めてびっくりしました。これは,民主党陣営だけの話ではなく,各陣営とも,ここまで古い形の選挙活動をやっているとは正直思いませんでした。
  誰がどうという具体的なことはあえて言いませんが,特に古いと感じたところをいくつか述べます。
(1) 駅前での遊説は皆無(選挙中はもちろん,選挙前にいたっては直前に1党がなんとなく流しでやっていた程度でした。したがって,候補者の顔も人となりも分かりません。ちなみに,前橋市議についても来月選挙がありますが,この1年,駅前で遊説し,ビラ配りをしている市議を一人も見たことがありません。普通の時間帯に通勤しているはずなのですが・・。)。
(2) 組織固め中心の活動(士農工商を中心とする組織分捕り合戦が繰り広げられていました。自治会はもちろんのこと,青年部,婦人部などの組織力が,当落を決めたという部分もあります。浮動票獲得は二の次です。)。
(3) うるさい選挙カー(法律の規制で連呼しかできないことは承知していますが,ボリュームが大きすぎる。あそこまでやかましい選挙カーは以前別の地域で聞いて以来でした。ちなみに,そこではやかましい候補者は落選していました。今の時代,基本的に選挙カーとは「騒音カー」と捉えられてしまいます。)。
(4) 脱法的選挙カーの暗躍(本来は選挙カーは1台という決まりなのですが,政治団体は別途車を出せるので,実質2台をぶいぶい言わせていました。選挙カーを複数だして,脱法ビラが配れるのが本来の政治団体ではないのですが・・。)。
(5) 演説が恫喝(たまたま聞いたある候補者の演説では,自分がいかに偉い人間か,そして,「いいからついてこい」的なことを延々と言ってました。「候補者でしょ,あんたは!」って突っ込みたくなりました。)。
(6) 基本「村会議員型」選挙活動(エリア担当的選挙活動。「おらが村の代表だあ」みたいなノリだけで攻めていた。)
(7) だから公約は五十歩百歩(そもそも,有権者に公約をまともに提示していない。だって,組織固めて,あとは恫喝して票を入れてもらえればそれで十分だから。)

3 争点の埋没
  今回の選挙は,特に有権者の興味も関心もありませんでした。だから,投票率が33%というありえない結果に終わったのです。
  でもなぜか?それは私も実感できました。「候補者の公約に個性がまったくない」ということだからです。まあ,あえて言うと,共産党候補者は若干他の候補者と違う公約を掲げていたものの,基本的にはみな「雇用促進による景気回復」,「高齢者医療などの福祉充実」,「前橋市の活性化」,「人や環境にやさしいまちづくり」,「安心と安全の暮らし」ということを縷々述べているが,一方で具体的内容についてはほとんど触れていないため,結局「じゃあ,何がやりたいのか,どうしたいのか。」がまったく見えてきませんでした。
  つまり,書面だけで判断してしまうと,「この5人はだれが議員になってもやることは同じだ」と思われても仕方がなかったのです。これでは,有権者として投票する興味はわきません。このような「どんぐり選挙」になると,浮動票は入ってきませんから,組織力の勝利となります。
  前述のとおり,私も今回の投票は相当悩みました。ここまでどんぐりって本当に珍しかったからです。

4 投票率の低下
  以上の事情から,有権者の関心はなくなります。もちろん,どんなことがあっても選挙に行かなければ,それは県がどんな政策を出そうとも文句は言えない,っていうことになります。そうはいっても,「選挙に行きたくなる候補者をだす」ということが重要なのです。そのためには,「選挙は有権者を向いて行う」というごく当たり前のことをやらなければなりません。これをやらなければ,必然的に投票率は落ちます。
  投票率が低ければ,当然組織力の強い自民党が有利になります。今回,民主党候補者が共倒れした理由は,単に「二人だから」ではなく,こうした背景による「投票率の低下」だったのです。しかも,その原因の一部は自分たち自身にもあったといえるのです。
  ちなみに,来月の前橋市議会議員選挙,ますます「どんぐり選挙」のような気がしてなりません。未だに,誰一人議員が何をやっているのか,本当に私には分かりません。

以上が,今回の選挙分析です。
これを国政と比較すると,次のようなことがいえます。
1 自民党の地方組織は,なんだかんだ言ってもまだまだ強い(ただし,山形県知事選のような例もあるため,地域によっては自民党の地方組織の基盤が緩んでいるところも出始めている。)。

2 民主党の主力組織である労組は,今の景気により実はかなり力が弱くなってきている(都市伝説的な話としては,今回の派遣切りや大規模リストラは,労組の力を弱くして次の選挙の組織力を弱めようとするために行っているという説もある。信じるか信じないかは,あなた次第!)。

3 民主党が政権奪取できるかどうかの鍵は,「自民党との明確な違いを示す」ことと「投票率を上げる」こと。逆に,自民党が政権を維持する鍵は,「いかに政策を民主党と違わないか」を示すことと,「政権維持すれば生活は大きく変わらない」ことをアピールできるかにある。

4 国政選挙では,いかに「昭和の選挙活動」を排除できるかがキモ。


先週の伊勢崎市長選挙もそうですが,群馬の選挙,結構調査するといろいろおもしろいことが見えてきます。選挙通としては,次の市議会議員選挙も含め,さらにいろいろ分析してみたいと思います。

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