あれは,あれで良いのかなPART2

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よく分かる(?)シリーズ 憲法9条について

2009年08月16日 22時45分07秒 | よく分かる(?)シリーズ
8月15日は終戦記念日でした。各地で,戦没者の慰霊や平和に関する集会などが行われました。また,テレビ番組などでは,戦争を考えるテーマのものが結構放送されていました。
ところで,戦争と平和を考える上で必ず問題となってくるのが「憲法9条」の問題です。そして,憲法改正の議論になると,必ず最初に出されるテーマであるともいえます。
といいつつ,実は結構,「憲法9条って戦争放棄のことが書いてあるの」程度のことしか知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで,今回は,久々の「よく分かる(?)シリーズ」として,憲法9条について簡単に説明したいと思います。<もちろん,いつものとおり,あくまでも客観的な説明に徹し,主観的な部分はできるだけ排除して説明したいと思います。

憲法9条
1項 日本国民は,正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し,国権の発動たる戦争と,武力による威嚇又は武力の行使は,国際紛争を解決する手段としては,永久にこれを放棄する。
2項 前項の目的を達するため,陸海空軍その他の戦力は,これを保持しない。国の交戦権は,これを認めない。


1 憲法9条の意味
  細かい問題点は後に譲るとして,まずざっくり説明するとこうなります。
  まず,1項では戦争や武力行使は一切行わないことを定め,2項では,陸海空軍を保持しないこと,そもそも戦争をしようという権利自体を認めないというものです。
  第二次大戦に負けた日本は,これまでの帝国主義を改め,何事も平和的話し合いにより解決するという手法を選択したのです。
  便宜「ドラえもん」を例にして説明すると,のび太君(日本)が,ジャイアンにいじめられて場合であっても,決してのび太君はジャイアンに対して喧嘩をしてはならず,「まず話し合いで解決しよう」という選択肢を取ることになるのです。
  もちろん,この話し合いを円滑に進めるために,ドラえもんやしずかちゃん等の力を借りることは可能です。

2 憲法9条の条文上の問題点
  ざっくりとした9条の意味は分かったかと思いますが,改めて条文を読んでみると,よく分からないところも多いかと思います。そこで,条文上の解釈が問題となっている部分を説明します。
(1) 1項中「国際紛争を解決する手段」の戦争とは何か?
 A説 およそ一切の戦争(自衛のための戦争も含む)
 B説 侵略戦争に限る(自衛のための戦争を除く)

  A説をとれば,過去の戦争の大義名分の多くは自衛戦争だったという歴史的経緯から,理由の如何を問わず,戦争は認めないとするもので,B説は自衛戦争は国際法的にも認められていることなので,あくまでも侵略戦争に限るとしています。
  政府はB説として説明しています。

(2) 2項中「前項の目的を達するため」の意味は?
 1説 戦争放棄に至った動機を一般的に指す(したがって,戦力は完全不所持)
 2説 1項のA説またはB説で定められた戦争を放棄する目的のために限定(したがって,目的外であれば戦力保持は可能。)。

  (1)とコラボするならば,B2説の場合のみ,「侵略戦争目的以外であれば戦力を保持することも可能」ということになります。それ以外の場合は,結局,戦力保持は許されません。

(3) 2項中「交戦権」の意味は?
 ア説 国際法上認められて権利(例えば,軍事施設破壊,領土占領,船舶拿捕など)
 イ説 およそ戦いをする権利
 ウ説 アイの両方

  イ,ウ説の場合,結局,理由の如何を問わず戦争はできないことになります。
  したがって,理論上,武力の保持及び他国に対する戦力行使が許される考え方は,B2ア説のみとなります。

3 じゃあ自衛隊って何?
  政府見解は,B2ア説となりますので,あくまでも「自国防衛目的」という範囲内であれば,必要最小限の戦力を保持することができると解釈しています。
  したがって,そのために整備された組織であり,決して「軍隊ではない」というのが政府見解です。

4 裁判所の見解は?
  それに対して,「自衛隊は軍隊なので憲法違反だ」という訴えがなされています(厳密には,ある事件を解決するたための主張として憲法違反を述べているのですが。)。
  これについて,地裁レベルでは「憲法違反」という判決を出した例がありますが,最高裁では明確に憲法違反とした判決は出されていません。正確に言うと,自衛隊自体の合憲違憲について真っ向から判断をした判例はまだない,っていうことになります。
  
5 憲法9条の現代的問題
  ところで,「憲法9条を改正しろ」っていう主張がされていますが,どこに問題があると主張しているのでしょうか。
  それは主に次のような点であるとされています。もちろん,これはあくまでも一面的な見方であり,それがすべて正しいとか誤りなどという意味ではありません。まさに,ここが改正賛成反対の論点と言えるのです。

 (1) 憲法がアメリカから押しつけられたものである。
   今の憲法は,日本の敗戦により,いわばアメリカの意向に添って作られたものであり,自主憲法とは言えないということを論拠としています。
   ドラえもんで言えば,ジャイアンに負けたのび太君に対し,ジャイアンが「今日から俺様が決めたルールに従って生活しろ」とのび太君に押しつけたということになります。

 (2) 国連活動やアメリカとの同盟関係などという国際協調を維持できない
   戦後,国際関係は大きく変動し,現代では日米安保や国連平和維持活動などにより日本も一定の国際的役割が求められるのに,憲法9条を理由に戦力を一切出さないとすると,他の国からむかつかれてしまうということを論拠とします。
   ドラえもんで言えば,のび太君がジャイアンに喧嘩をできない変わりに,ドラえもんに対して,「ドラえもんがのび太君の家にただで住んでいいから,そのかわりジャイアンにいじめられたら,いろいろな道具を使って懲らしめてやってくれ」と約束したわけです。しかし,ほかのクラスメートがジャイアンにいじめられていたために,クラスメートが一致団結して「ジャイアンを懲らしめようぜ」って学級会で決めたのに,のび太君だけが「あのー,僕は喧嘩しちゃいけないから,端で見てるよ。そのかわり,あとはドラえもんにまかせるし,懲らしめるためにお金がかかるなら,お小遣いすこしだすからさあ」っていうことを学級会で発言しているということになります。

 (3) 他の国になめられる
   武力がないことをよいことし,他の国が無理難題を押しつけてきたり,逆に日本からの要求に聞く耳を持たないこと,相手が聞く耳を持たなければ,そもそも話し合いで平和的解決を目指そうという憲法9条の趣旨がないがしろにされてしまいかねないということを論拠しています。
   ドラえもんで言えば,のび太君がジャイアンやスネ夫に対して「僕のおもちゃ返せよ」といっても,喧嘩できないことを知っている彼らは,「やーだね」と言って終わってしまうということになります。そうすると,あとはドラえもんに頼まざるを得ないのですが,当然,そうなると,今度はドラえもんの機嫌をうかがわなければならず,ドラえもんから「どらやき買ってこい」などと言われたら,それに応じるしかないっていうことになります。つまり,のび太君は,このままでは一生誰かの力を借りなければ生きていけないっていうことになるのです。

6 理想的な解決策は?
  分かりません。っていうか,それを国民みんなで考える時期に来ているといえるでしょう。
  ただ,ポイントは,単に「自衛隊は必要か否か」とか,「自衛隊の国際派遣は是か否か」という小さな話ではなく,「日本の平和を守るためにどうするべきか」,「国際貢献とは本当に武力のみで平和的解決が図られるのか」,「日本が世界の平和のために活動できることはどういうことなのか。」,「理想と現実のギャップはどのくらい時間をかけて,どのように解決していくのか」などという観点から考えることが大切なのです。
  一つ誤解のないようにいいますと,一部論者は「検討=憲法改正」と考えていますが,これは短絡的な発想です。当然,「検討したが憲法を維持しよう」っていうオチだってありなのです。

以上が憲法9条のざっくり説明です。
より詳しく知りたい方は,図書館などで憲法に関する本を読んでみてください。執筆者によってトーンは大きく違いますが,問題点等の深いところも十分理解できると思います。
ただ,ひとつ絶対に言えること,それは「国民が平和に過ごすことができる国家にしなければならない」ということです。ここを否定する論者は少数です。あとは,その目的達成のためのベクトルが問題なのです。

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2 コメント

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軽部雅一さま,コメントありがとうございました (おかにゃん)
2013-09-12 00:02:05
こんばんは。
憲法では,不文法はあまり積極的に解釈することは相当ではありません。これを極端に認めると,憲法を時の権力者がいいように解釈してしまうからです。
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Unknown (軽部 雅一)
2013-08-14 19:23:31
このサイトだけ読んでいると成文法と不文法の解釈がされていない。憲法9条だけはなにがあっても触れてはいけない。平和憲法を維持することが最大の国際貢献だとおもうからである。しかし自衛隊をもつことは私も賛成である。つまり、不文法としてあくまで解釈の問題として自衛隊法やPKO法などの特別法を創ることにより集団的自衛法を創るべきだと思う。裁判所が合法と判断すれはそれは合法と考えるべきだとおもう。あとは9条に関しては解釈の問題だとおもう。
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