東京都議選は,小池知事率いる都民ファーストが圧勝し,公明党と合わせて過半数を確保しました。一方,自民党は30議席を割り23議席の過去最低の議席となり,また民進党も一けた台となりました。
投票率は,前回より約7%上がり,約51%となりました。
8年前の民主党圧勝の時に似ているなあ
まず,前提として,投票率が低いのが残念です。前回より上がったものの,都民の半数は,都政に白紙委任をしてしまいました。現状を守るも変えるも,意思表示をしない限り,都議会議員の奴隷になるだけですから,ここはもう少し投票率が上がるようにしてほしいなあっていうのが正直な感想です。
さて,今回の選挙結果ですが,正直,予想以上の動きでした。公明党の全員当選は織り込み済みですが,都民ファーストはほぼ全員が当選するというのは,相当な強風が吹いていたなあっていう感じです。特に,1人区ではほぼ都民ファーストが独占し,2人区でも,自民党をほとんどはねのけるなど,強みを発揮しました。
もっというと,自民党の負け方が半端じゃありません。議長や幹事長等の重鎮が相次いで落選するほか,現職の負けっぷりも得票数からは完全にたたき切られる状態でした。
ただし,自民党の敗北にばかり目が行きますが,実は,民進党の負け方も半端じゃありませんでした。そもそも,民進党は,多くの議員が都民ファーストに鞍替えしたという背景もあり,結果的に残った議員がなんとかやりくりしたものの,反自民の受け皿がすべて都民ファーストに持っていかれたことから,存在意義をなくし,相次いで落選していたというのが実情です。
さて,今回の選挙結果から何がうかがえるでしょうか。安倍政権云々についての評価は多くの方がやっていますので,同じようなことを言っても芸がないので,ちょっとだけ違う視点で分析してみようと思います。
1 公明党がいないと自民党は勝てない組織
今回,公明党は,自民党との連立をやめて都民ファーストとの連携を図りました。これにより,自民党は,独自組織による選挙戦を余儀なくされました。
その状態で,今回は,国政の影響から浮動票獲得が期待できない状態であったこともあり,組織戦だけでは勝てなかったということになります。
これは,東京と地方とでは,若干違いがあるとは思いますが,少なくとも東京では自民党プロパーの組織力が弱くなっているということの表れと言えます。
となると,国政でも公明党の力を借りないとまだまだ当選できる状況ではないということがいえ,そうなると,国政での連立解消は不可能だろうといえるでしょう。
2 劇場型選挙だった
今回の選挙は,小池知事の戦略がちです。自民党は抵抗勢力という構図を明確にすることで,反自民の世論を高め,そしてその受け皿は都民ファーストがすべてもらうということとしたのです。
これは,民主党政権誕生時の状況によく似ています。
劇場型選挙の場合,注意するべき点は,「次の選挙」です。議員のスキルが問われる4年間となり,ここで劇場の化けの皮が剥がれると,次回の選挙では惨敗するということが結構多いからです。
3 少なくとも東京都での国政への影響は大きい
地方議員の役割の一つは,地元国会議員の集票マシーンとなることです。ところが,今回,自民党議員が惨敗となると,地元での集票マシーンとしての機能が低下します。
そうすると,少なくとも東京の衆院選小選挙区では,自民党議員は結構苦しい戦いを余儀なくされる可能性が高くなります。
4 国政への影響は実はそんなに大きくない
今回の都議選と国政との大きな違いは,「公明党の関係」と「野党の受け皿」です。都政では,前記のとおり,都民ファーストが完全に反自民の受け皿になりました。
ところが,国政では,現在,そこまで強力な受け皿となっている野党が存在しないのが実情です。少なくとも,民進党は今回の選挙結果からみると,むしろ自民党より支持が低いため,受け皿として期待している有権者はまだまだ少ないと思われます。また,維新の会も,まだ全国区ではありませんし,共産党は多少受け皿とはなっているものの,基本的には共産党アレルギーがまだまだ国民にはあるため,究極の受け皿にはなりません。
とすると,極論ですが,明日衆議院を解散したとしても,自民党が政権与党となることはほぼ確実ですし,議席も,東京以外では,現状とそんなに変わらないだろうと思われます。
もちろん,そもそもの国政での課題(森友,加計問題や,共謀罪,安保法案対応等)への対応は,別の話ですが,いずれにせよ,野党各党は,都議選の結果であぐらをかいていると,思ったほど票は取れないということになります。おそらく,現状の国政では,反自民の有権者の多くは,「棄権」という選択肢をとってしまうと思われます。
こんな感じで見ています。
さて,都議会はどうなるでしょうか。最初のうちは,議会改革等が進んできて,いろいろ動いてくると思います。しかし,都民ファーストの議員は,若手が多く,技量がまだまだという人も多いです。また,そもそも,都民ファーストは,正直,まだ寄り合い所帯です。したがって,今後,知事の方針に対して若干異論が発生した場合,かつての民主党政権のように,一気に内部分裂,空中崩壊をする可能性も十分考えられます。
したがって,都民ファーストの各議員は,まず自分の足腰をしっかりと固め,名目通り,本当に都民ファーストで仕事をしなければ,4年後には有権者から「期待外れ」という評価を食らいかねません。
オリンピックも控えていることから,これから発生する多くの問題に対し,真摯に対応するとともに,有権者にも分かりやすい説明を常に行っていくということが必須となるでしょう。
とりあえず,今回の都議選のざっくり分析結果です。
よろしければ1クリックお願いしますm(__)m→人気blogランキングへ
投票率は,前回より約7%上がり,約51%となりました。
8年前の民主党圧勝の時に似ているなあ
まず,前提として,投票率が低いのが残念です。前回より上がったものの,都民の半数は,都政に白紙委任をしてしまいました。現状を守るも変えるも,意思表示をしない限り,都議会議員の奴隷になるだけですから,ここはもう少し投票率が上がるようにしてほしいなあっていうのが正直な感想です。
さて,今回の選挙結果ですが,正直,予想以上の動きでした。公明党の全員当選は織り込み済みですが,都民ファーストはほぼ全員が当選するというのは,相当な強風が吹いていたなあっていう感じです。特に,1人区ではほぼ都民ファーストが独占し,2人区でも,自民党をほとんどはねのけるなど,強みを発揮しました。
もっというと,自民党の負け方が半端じゃありません。議長や幹事長等の重鎮が相次いで落選するほか,現職の負けっぷりも得票数からは完全にたたき切られる状態でした。
ただし,自民党の敗北にばかり目が行きますが,実は,民進党の負け方も半端じゃありませんでした。そもそも,民進党は,多くの議員が都民ファーストに鞍替えしたという背景もあり,結果的に残った議員がなんとかやりくりしたものの,反自民の受け皿がすべて都民ファーストに持っていかれたことから,存在意義をなくし,相次いで落選していたというのが実情です。
さて,今回の選挙結果から何がうかがえるでしょうか。安倍政権云々についての評価は多くの方がやっていますので,同じようなことを言っても芸がないので,ちょっとだけ違う視点で分析してみようと思います。
1 公明党がいないと自民党は勝てない組織
今回,公明党は,自民党との連立をやめて都民ファーストとの連携を図りました。これにより,自民党は,独自組織による選挙戦を余儀なくされました。
その状態で,今回は,国政の影響から浮動票獲得が期待できない状態であったこともあり,組織戦だけでは勝てなかったということになります。
これは,東京と地方とでは,若干違いがあるとは思いますが,少なくとも東京では自民党プロパーの組織力が弱くなっているということの表れと言えます。
となると,国政でも公明党の力を借りないとまだまだ当選できる状況ではないということがいえ,そうなると,国政での連立解消は不可能だろうといえるでしょう。
2 劇場型選挙だった
今回の選挙は,小池知事の戦略がちです。自民党は抵抗勢力という構図を明確にすることで,反自民の世論を高め,そしてその受け皿は都民ファーストがすべてもらうということとしたのです。
これは,民主党政権誕生時の状況によく似ています。
劇場型選挙の場合,注意するべき点は,「次の選挙」です。議員のスキルが問われる4年間となり,ここで劇場の化けの皮が剥がれると,次回の選挙では惨敗するということが結構多いからです。
3 少なくとも東京都での国政への影響は大きい
地方議員の役割の一つは,地元国会議員の集票マシーンとなることです。ところが,今回,自民党議員が惨敗となると,地元での集票マシーンとしての機能が低下します。
そうすると,少なくとも東京の衆院選小選挙区では,自民党議員は結構苦しい戦いを余儀なくされる可能性が高くなります。
4 国政への影響は実はそんなに大きくない
今回の都議選と国政との大きな違いは,「公明党の関係」と「野党の受け皿」です。都政では,前記のとおり,都民ファーストが完全に反自民の受け皿になりました。
ところが,国政では,現在,そこまで強力な受け皿となっている野党が存在しないのが実情です。少なくとも,民進党は今回の選挙結果からみると,むしろ自民党より支持が低いため,受け皿として期待している有権者はまだまだ少ないと思われます。また,維新の会も,まだ全国区ではありませんし,共産党は多少受け皿とはなっているものの,基本的には共産党アレルギーがまだまだ国民にはあるため,究極の受け皿にはなりません。
とすると,極論ですが,明日衆議院を解散したとしても,自民党が政権与党となることはほぼ確実ですし,議席も,東京以外では,現状とそんなに変わらないだろうと思われます。
もちろん,そもそもの国政での課題(森友,加計問題や,共謀罪,安保法案対応等)への対応は,別の話ですが,いずれにせよ,野党各党は,都議選の結果であぐらをかいていると,思ったほど票は取れないということになります。おそらく,現状の国政では,反自民の有権者の多くは,「棄権」という選択肢をとってしまうと思われます。
こんな感じで見ています。
さて,都議会はどうなるでしょうか。最初のうちは,議会改革等が進んできて,いろいろ動いてくると思います。しかし,都民ファーストの議員は,若手が多く,技量がまだまだという人も多いです。また,そもそも,都民ファーストは,正直,まだ寄り合い所帯です。したがって,今後,知事の方針に対して若干異論が発生した場合,かつての民主党政権のように,一気に内部分裂,空中崩壊をする可能性も十分考えられます。
したがって,都民ファーストの各議員は,まず自分の足腰をしっかりと固め,名目通り,本当に都民ファーストで仕事をしなければ,4年後には有権者から「期待外れ」という評価を食らいかねません。
オリンピックも控えていることから,これから発生する多くの問題に対し,真摯に対応するとともに,有権者にも分かりやすい説明を常に行っていくということが必須となるでしょう。
とりあえず,今回の都議選のざっくり分析結果です。
よろしければ1クリックお願いしますm(__)m→人気blogランキングへ