あれは,あれで良いのかなPART2

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ユニクロひとり勝ち状態に日本経済復活のヒントがある

2009年11月23日 15時56分56秒 | 経済全般
ユニクロが創業60周年を記念して,全国主要店舗で早朝大バーゲンを実施し,多数の来客がありました。また,5千円以上の購入者に対し,1万円が当たる抽選券を配布するなど,総額10億円キャッシュバックキャンペーンを繰り広げています。
衣料業界では,ユニクロがひとり勝ち状態にあり,年末商戦に向けたライバル各社の動きに注目が集まっているようです。

創業60周年キャンペーン開始=行列客にあんパン、牛乳-ユニクロ(時事通信) - goo ニュース

10年前の単純な「デフレスパイラル」とは事情が違いそうだ

ユニクロですが,正直,15年位前までは「さえないお店」というイメージしかありませんでした。「いかにも安い」服ばかり売っており,言ってしまえば「ダサイ」服しかなかったからです。もっとも,ファッションセンスがゼロだった私にとっては,その当時のユニクロも結構使い勝手がよかったのですが,とてもよそ行きの服などユニクロで買うなんてあり得ませんでした。
それが,10年位前から急激に変わってきました。まず,お店がおしゃれになり,商品もかなりおしゃれになってきました。「ダサイ服」ではなく,「よそ行きの服」として成立していたのです。その上,当時のデフレスパイラルの発端とも言える「激安商戦」の口火を切り,基本海外縫製にするなどしたコストカットを徹底し,とにかく「良い物を安く」という方針を築きあげ,一気にユニクロの名を全国区にしました。
そして,ここ数年のユニクロは,単に良い物を安いだけではなく,「新製品を安く広める」っていう方針にしたようで,他の店にない物を,しかも消費者が購入可能な金額で提供するという戦術に出ています。例えば,ヒートテックブラトップなどはまさにその例で,むしろユニクロで出た商品をライバル社がパクルという構造になっています。
こうした「単に安い」だけではなく,その時々の戦略をしっかり編み出すことで,ひとり勝ちの構造が完成していると言えます。

このユニクロの状況に対し,一部経済評論家は,「またしてもデフレスパイラルを作っている張本人であり,景気回復を阻害しかねない。」などと揶揄していますが,前述のとおり,今のユニクロの戦術は単純な激安戦争を仕掛けているわけではなく,「新商品開発」という戦略に出ているわけでですから,むしろ「市場拡大」が可能となる訳なのです。そして,その新商品開発には,国内の大手企業とのタイアップにより実現されるわけですから,大手企業も業績アップにつながっているわけです。
したがって,単純なデフレスパイラルであった10年前とは事情が全く異なります。むしろ,ライバル各社が類似品を出すであろうことを踏まえて,次なる新商品やラインナップをしっかり組み込んであるっていうことで,「単純激安祭り」にはしないというポリシーすら感じられますし,タイアップ企業も必死に企業活動を展開しているわけですから,単なるデフレの原因を作っているとは言い難い部分もあるのです。
のみならず,新商品を消費者が普通に買える価格に設定することで,単なる買い換え需要ではなく,市場が拡大されるということにすらなります。

ちなみに,ユニクロの今のキャンペーンですが,これはこれで立派な営業戦略です。早朝バーゲン商品は,当然原価割れしていますが,これだけ全国版ニュースに取り上げられるだけでも宣伝効果絶大です。のみならず,いわゆる新商品などを1つでも買ってくれれば,粗利は十分取れるわけですから,相当な売り上げ増加に貢献しているといえるでしょう。
また,あの抽選券もかなりのくせ者でして,端的にいうと,「全商品10%引き」よりもユニクロ側のリスクは低いのに,「全商品10%引き」よりも消費者の購買意欲を引き立てる威力があるのです。理屈を書くと複雑になるのですが,イメージとして「割引」より「お金が当たる」という方が人はお得感を覚えるという心理的効果はもちろんのこと,要するに抽選で1万円をあげるというのは,割引と同じ話ですから,売り上げ総額に対してどの程度キャッシュバックをするのかということで割引率を計算すると,おそらくせいぜい5%程度に過ぎないと思われます。
しかも,一律ではなく5千円以上という足かせを課することで,猫も杓子も割り引くわけではないですから,そりゃ売り上げは上がります。
のみならず,日替わり商品のバランスが実に絶妙で,要するに「一度に大人買い」が難しく,「何度もユニクロに行った方がお得」ということを消費者に思わせることで,リピーターを増やしているのです。

このユニクロ戦略,もちろん問題点もあります。従業員の待遇面での問題(いわゆる正社員が少ないなど。)や,日本経済という視点からすると「工場が海外」っていうことで,売り上げの多くが海外に流出してしまうという点などがあげられます。
しかし,やはり景気回復のカギとしては,「内需拡大」と「外貨獲得」という基本を踏まえると,ユニクロのような「新商品開発」は,内需拡大の大きなきっかけとなります。しかも,新商品というのは高額な物ではなく,比較的リーズナブルな物とすることで,誰でも買えるようにするわけです。さらに,こうした商品を世界(特に中国やインド)に輸出することで,そこから外貨を獲得することも可能となります。

各企業とも不景気を嘆いていますが,嘆くだけでは何も解決しません。やはり,ユニクロのように「攻めの戦略」も考えるべきでしょう。そして,そのカギは,「消費者の心をくすぐる新商品」にあります。「売れない」のではなく,「買いたくなる物」を売る,これが基本になるでしょう。
「公共事業なくなるからつぶれてしまうではないか」などとぼやく土建業だって実は同じことです。世界に誇れる土木建設のノウハウを「小さな需要」に還元することから,あらたな市場開拓の可能性も期待できるかもしれません。その辺は,「餅は餅屋」にお任せします。

ユニクロブーム,どこまで続くでしょうか。また,第2のユニクロが果たして登場してくるでしょうか。わくわくできるお店が増えることを期待したいものです。

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